44th Design Automation Conference(DAC)の特別テーマである「自動車関係のエレクトロニクス」に関して、セッション21で「自動運転する車」(Developing Cars That Drive Themselves)という招待発表が行われた。発表者はIntelとカーネギーメロン大学に所属するDave Ferguson氏だった。
砂漠での自動運転にチャレンジ
この背景を説明すると、米国下院では2015年までに地上戦闘用車両の1/3を無人化するという決議があった。これを受けてDARPA(Defense Advanced Research Projects Agency:米国防総省の防衛高等研究計画局)は無人で走行できる車の開発に取り掛かり、2004年から「Grand Challenge」というコンテストを開始した。
2004年に開催されたこのコンテストは、モハーベ砂漠の中の約140マイルのコースを10時間で走るというものだった。この中で最も成績の良かったカーネギーメロン大学の車でも、わずか7.4マイルを8時間39分もかけて走行したうえにリタイアするという惨憺たる有様で、目標達成はかなり先という印象であった。
しかし2005年に開催されたコンテストでは、スタンフォード大学の車が131.6マイルのコースを6時間53分で走破した。続く2位と3位にはカーネギーメロン大学の車で、7時間強でゴールした。この後の4位までが制限の10時間以内にゴールし、もう1台も10時間を若干越える程度の時間で完走するという大幅な進歩を遂げた。
2007年は市街地での自動運転にチャレンジ
砂漠を走行するGrand Challengeは終了し、2007年からは市街地を走る「Urban Challenge」というコンテストが開始される。このUrban Challengeでは、対向車が走行し、交差点では横方向から車が来るという道路で所定のチェックポイントを通過し、合計60マイル程度を6時間以下で走行するというものである。今回は単に走るだけでなく、車の流れの切れ目を見つけて右折して合流するとか、駐車場の指定されたスポットに止まる車庫入れも行い、そこから再度発進するという操作なども含まれる。
Urban Challengeの最終レースは11月3日に行われる予定であるが、その前に技術審査や予選があり、これらを潜り抜けなければならない。
現在、Urban Challengeには53チームがエントリしており、カーネギーメロン大学のTartan Racingは最有力候補である。しかし油断はならない。一昨年に優勝したStanford Racingチームもエントリしているし、昨年4位だったチームはまったくのダークホースであったように、思いがけないチームが健闘する可能性もある。レースの行方は予断を許さない。