毎日コミュニケーションズ主催、りそな銀行共催、大和投資信託・江崎グリコ協力のリタイアメントセミナー「おもろく生きよう! ~定年バ・ン・ザ・イ~」が7月29日、東京・竹橋パレスサイドビルにて開かれる。主催は今後の資金運用(生活設計資金)を含めた賢いお金の使い方や、最近話題となっている投資信託の動向、誰もが気になる相続対策など、定年後を豊かに暮らすためのノウハウを満載した金融トーク&セミナーとなっている。講師はテレビ・ラジオで活躍中の生活経済ジャーナリスト、いちのせかつみ氏が務める。そこで、いちのせ氏に定年を向かえる男性はもちろん、誰が聞いてもためになる同セミナーのポイントや聞きどころについてうかがった。

――定年後の生活について、いつ頃から考えるべきですか?

「一番多い相談は『いつ会社を辞めたらいいか』。今は昔のように定年退職の日が決まっていません。55歳からの早期退職制度や定年延長というパターンもあります。ただし、いつ辞めるかという問題は、『どうしたら得をするか』というお金の話だけではありません。辞めてから考えたらいい、と思っている人がいらっしゃいますが、本当は辞める前が大事なんです。たとえば55歳の方がこのセミナーに参加されて、58歳で会社を辞めようと考えたとします。すると3年間の準備期間ができますよね。その3年間でその後の人生をどうするかと考えたり、勉強したりできますよね。そうすれば、定年後の生活準備も余裕を持って進めることができます」

――定年後も楽しく安心して生きていくための条件とは?

「単刀直入に、『定年後、どれぐらい(お金が)要りますか? 』『私にはどの金融商品がいいですか? 』と相談される方がいます。でも、私はすぐに答えることができません。なぜなら、その人の家庭の状況や奥さんの話を勘案して、家族全員が納得するカタチにしないと、あとでトラブルになるからです。男の人は自分で勝手に決めるきらいがありますが、もしかすると奥さんは年金分割で年金を半分もらって別れようと思ってるかもしれないのですよ」

――では、楽しく生きるカギは?

「奥さんでしょう。第二の人生は夫婦の考え方の違いが一気に出てきて、お金の管理も今までとは違ってきます。よくあるのが、ご夫婦でいらして『(株式に投資可能な全ての投資信託である)株式投信するよう女房を説得してくれ』という話です。しかし、全額を定期預金してしまうより、きちんと上限を決めて分散して投資すれば、低いリスクで楽しく運用ができます。それに、資産運用というのはただお金を増やすだけのものじゃなく、経済の動きや政治に関心を持ち続け、社会へ関わるためのものでもあるのです。全額を定期預金してしまっては、極端な話、新聞も読まなくなって社会と隔絶してしまうことだって考えられます。そういった資産運用の意義を奥さんに知ってもらういいチャンスだと思います」

――定年後、自分の投資スタイルを確立するには?

「まずは定年後の人生にどれくらいお金が必要かを考えて、手持ちに必要な最低限の金額を把握したり、公的年金の上乗せとして受け取るための商品選びをします。商品選びの際は、ひとつではなく2つ3つの違う商品で組んだ方がいいと思いますが、このように定年後に必要なお金の配分をきちんと考えることで、自分なりの投資スタイルとなっていきます。また、定年時に予想される支出についても考えておかねばなりません。定年時にお子さんがちょうど大学入学を迎え、大学の学費などにお金をかけてしまうと、老後の蓄えがなくなってしまいます。そうなると結局、後々で子供に迷惑をかけることになるので、教育ローンを使ったり、奨学金を利用した計画を立てる必要があるでしょう」