6月4日~8日の5日間、米カリフォルニア州サンディエゴにあるSan Diego Convention Centerにて、LSI設計の自動化(EDA:Electronic Design Automation)とそれを実現する"EDAツール"と呼ばれるツールに関する学会および展示会「44th Design Automation Conference」(DAC)が開催されている。主催はThe Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)。

DACの会場案内 - 展示会に加えてテクニカルセッションやワークショップなど、さまざまな催しが用意されている

DACは論文発表が行われるテクニカルセッションと展示会が併設された学会で、毎年6月に米国にて開催されている。昨年の参加者は11,952人で、EDA業界最大のイベントとなっている。また、IEEEが主催する学会の中でも最大規模の学会でもある。

EDA業界の課題

前述のように、DACはEDAとそれを実現する"EDAツール"と呼ばれるツールに関する学会および展示会である。LSIは、大規模なものになると数十億という膨大な数のトランジスタを集積している。そのため、LSIの設計には、上流工程である動作レベル設計から機能設計、論理設計、フロアプラン、各工程での検証、最終製品の検査などに至るまで、EDAツールが不可欠である。

集積するトランジスタ数は年々増大し、それに伴って大きくなる消費電力量の削減が大きな課題となっている。そのため、設計の初期の段階から消費電力量を見積もったり、消費電力量を抑えるための回路を生成するといった機能もEDAツールに要求されるようになっている。また、プロセスの微細化に伴って増加する半導体の製造ばらつきを統計的に考慮して最適な回路設計を行うツールや、最近の傾向であるマルチコア化やマルチプロセサ化に対応したツールなども必要とされている。