フロアには所狭しと間口の小さいショップが多数並んでおり、ほぼすべてが携帯電話ショップだ。フロアのエリアごとにショップの形態が若干異なるが、いずれも携帯電話を売る販売店であることには間違いない。ところどころに他の業種の店もあるが、おそらく90%以上の敷地を携帯電話ショップが占めているだろう。入っている店の数は百どころではなく、おそらく数百に達しているのではないだろうか。
MBKのワンフロアはとにかく広く、右も左も前も後ろも、歩けど歩けど携帯電話ばかりが目に飛び込んでくる。同じ携帯電話専門ビルである香港の先達廣場は狭いビルに携帯電話を密集させた"密度の高さ"で圧倒されるが、MBKの4階は行けども行けども携帯電話だらけという"規模の大きさ"で圧倒してくれる。携帯電話好きなら1日いても飽きないだろうし、バンコクでの「いつもの観光」に飽きたときなど、海外の携帯電話を眺めてみるのもおもしろいだろう。
品揃えはショップごとに異なり、新品専門店でもタイの正規品のみを売る店、並行輸入品を売る店、両方を売る店などがある。また中古も多く、新品と中古を並べている店もよく見かける。アクセサリ類も豊富で液晶保護シールや携帯ケースなどの専門店も揃っている。またところどころに修理店もあるので、自分の携帯が不調であればその場で見てもらうことが可能だ。ただしメーカー正規修理ではないので保証は効かないため、注意が必要である。自分の携帯電話を買い換えたければその場で下取りもしてくれるので、予算が足りないときなどは利用するのもよい。
またプリペイドSIMカードも豊富に売られている。前述したようにタイの人は電話番号の良番にこだわる人が多く、ショップの壁に貼られた電話番号一覧表を眺めながら番号選びに熱中する姿もよく見かける。もちろん良い番号は値段が高く、ぞろ目などは携帯電話が1台買えるくらいの高値が付けられている。ためしに買うなら番号にこだわらず安いSIMカードを買うのがいいが、何回もタイを訪問する予定があるなら、いつかは「タイ版良番」を手に入れてみてはいかがだろう。
ひとつひとつのショップをすべてくまなく見て回れば、おそらくあっという間に1日が過ぎてしまうに違いない。疲れたときはMBKの1階にファーストフード店がいくつか入っているのでそこで休むこともできるが、4~6階にはフードコートもあり、安価にタイの料理を味わうこともできる。タイ料理と冷えた飲み物を片手にながら、買ったばかりの携帯電話の動作チェックをフードコートで行えば、ちょっとした現地の人気分に浸れるかもしれない。携帯電話好きならば、バンコクへ行ったらMBKは絶対にはずせないポイントだ。