タイの首都・バンコクには、世界中からの観光客を飲み込むかのように巨大なショッピングセンターが繁華街を中心にいくつも乱立している。その中のひとつ、MBK(Mar Boon Klong、マーブンクロン)センターは衣服や雑貨、貴金属店などから日系スーパー、映画館などあらゆる店舗が詰まった7階建てのショッピングビルだ。両替店も各フロアにあるため、海外からの渡航者も気軽にショッピングを楽しむことができる。そしてこのMBKの4階が、おそらくアジアでも最大級の携帯電話マーケットとなっている。広大なフロアのほぼすべてを携帯電話販売店が占有しており、フロアのどこを歩いても見えてくるのは携帯電話だらけなのだ。
タイの携帯電話は海外で主流のGSMと、CDMAの両方式が利用されており、またバンコク市内には日本のPHS方式が「PCT」という名称でサービスされている。GSMとCDMAはSIMカード方式であり他のアジア諸国同様、携帯電話は端末だけを単体で買うことが可能だ。キャリアによるSIMロック販売も数年前に廃止されたため、市販されている端末はどのキャリアのSIMカードを入れても利用できる。もちろん日本のNTTドコモ、ソフトバンクのUSIMカードも使えるのだ。
またタイはプリペイドユーザーが非常に多く、プリペイドSIMカードも活発に販売されている。とくにタイでは電話番号の良番にこだわる人が多く、語呂のいい番号は高値で取引されている。プリペイドゆえ、電話番号の変更もSIMカードを買い換えるだけと簡単だ。このプリペイドSIMカードは外国人でも身分証明書による登録で簡単に買うことができるので、現地で気に入った電話番号があったら土産ついでに買うのもいいだろう。
バンコク市内を走る高架鉄道"BTS"シーロム線の終点、ナショナルスタジアム駅にMBKは直結している。駅から陸橋づたいにMBKにそのまま入ることが可能だ。ここには東急ストアが入っており、スーパー内を眺めているとここが異国の地であることを一瞬忘れてしまうかもしれない。しかしエスカレーターで4階まで上がり携帯電話フロアに一歩足を踏み入れてみると、そこには驚くべき光景が広がっているのだ。