ユーザやマネージャ、デベロッパにとってもそうだが、FreeBSDにおける最大の利点の1つに大量のアプリケーションのビルドカタログであるPorts Collectionsがある。現在、登録されているアプリケーションやライブラリなどのportの数は17,000ほど、メンテナは1450人ほどに及んでいる。これを処理するデベロッパであるFreeBSDのportsコミッタの総数は170人弱ほどだ。
Ports Collectionsではメカニズムの要望やコンセンサスなどが状況に応じて刻々と変わっていく。ここ最近、多くの重要な変更があったので、今後の取り組みなども含めて紹介しておく。
X.Org 7.2.0への移行
FreeBSDはここしばらくの間、X.Org 6.9.0を使い続けてきた。7系へ移行するにあたっていくつもの変更が伴うためportsの開発に時間がかかっていたこと、移行に問題が発生しないように確認作業を入念に行っていたことなどが主な要因。2007年5月17日現在、メインのports treeにX.Org 7.2.0をマージしている最中であり、近いうちに解禁される見通しだ。少なくともFreeBSD 7.0-RELEASE、6.3-RELEASEではX.Org 7.2.0がデフォルトになる。
X.Org 7.2.0と6.9.0ではかなり多く点が異なっている。まず、portsの構成が細かいportsの集まりへと分割されており、関連するportsの数が大幅に増えている。また、/usr/X11R6/へのインストールはなくなり、/usr/local/以下へインストールされるように変更された。設定ファイルの変更やパスの整理などが必要だ。
6.9.0から7.2.0への移行手順は、/usr/ports/UPDATINGファイルに記載されることになるので、アップグレードの際には注意が必要だ。自信が持てない場合はいったんすべて削除してからのクリーンインストールをお薦めする。X.Org 7.2.0がマージされたports treeにはBerylのportも含まれている。BerylはGnomeやKDE、またそのほかのウィンドウマネージャと併用できる。