OpenJDKのリリースも大きなニュースではあったが、このGeneral Sessionではさらに大きなインパクトを与えるプロダクトがGreen氏より発表された。それが「JavaFX」だ。
JavaFXはPCや携帯端末、セットトップボックスなどをターゲットにしたJavaベースの新しいソフトウェア製品ファミリである。簡単に言ってしまうと、携帯電話などをはじめとするモバイル端末からBlu-rayディスクプレイヤー、PC上のブラウザに至るまで、あらゆる環境にJavaによるコンテンツやアプリケーションを搭載できるようにすることを目指す製品ということになる。JavaFXはJava SEをベースとした技術であるため、これを利用すればJava SEによって実現するリッチなコンテンツも携帯電話などのモバイル端末に搭載できるようになる。
JavaFXの最初のファミリとしては、「JavaFX Script」「JavaFX Mobile」の2つが発表されている。JavaFX Scriptはシンプルなコードでインタラクティブなコンテンツやアプリケーショを開発するためのスクリプト言語である。Sunは昨年11月にFlashライクのリッチコンテンツを記述するための「F3」というスクリプト言語を発表しているが、それが今回"JavaFX Script"として登場したわけである。
セッションではJavaFX Scriptで記述されたアプリケーションの見事なデモが公開された。また、この日の午後に行われたTechnical KeynoteにおいてもJavaFX Scriptによるデモアプリケーションが発表されている。JavaFX ScriptはOpenJFXプロジェクトよりオープンソースライセンスによって提供される予定だ。
JavaFXのもう1つのファミリであるJavaFX Mobileは、携帯電話向けのJavaFX環境である。同社では今後、各家電製品向けのJavaFX製品を順次提供していくとのことで、JavaFX Mobileはその第一弾ということになる。これによって、携帯電話端末上でJavaFXによるリッチなコンテンツを動作させることができるようになる。当然、前述のJavaFX Scriptによって開発されたアプリケーションも動作する。
気になるのはこれまでのJava製品群に対するJavaFXの位置づけだ。SunはPCやモバイル端末上で動作するクライアントアプリケーションの開発がこのJavaFXによってきわめて容易になり、それに加えて提供されるコンテンツはよりインタラクティブで楽しいものになると指摘している。従来はこれらのコンテンツの開発をJava SEやJava MEを用いて行っていたわけであり、Sunの狙いに従えばそれがJavaFXに取って替わられるということになる。すなわち、JavaFXがユーザに対するフロントエンドになり、Java SEやJava MEはシステムのバックグラウンドに隠れることになる。
JavaFXはまだ未完成のもので、今後どのような方向に位置付けられていくかがまだはっきりしていない。これについては続報と今後の展開に注目していきたい。