"刻をこえて"命を吹き込んだアルバム
今回リリースする新アルバム「ガンダム! ヒストリー・ヒット・ソング」を企画したのは、鮎川さん自身である。アルバムには、鮎川さんのセルフカバー「Z・刻をこえて」「星空のBelieve」の2曲を含む7曲が収録されているが、うち5曲は、当時、他の歌手が歌っていたものだ。歴代ガンダムソングの中から鮎川さんが曲をピックアップして、自分ですべてを歌い上げている。
--鮎川さんは、「Zガンダム」の主人公カミーユに重大な影響を与える人物「フォウ・ムラサメ」の名を冠したアルバム「PSYCHEGUNDAM ~逆襲のフォウ~ 」を1999年に出されていますよね。
鮎川「あのアルバムは、亡くなった池田貴族さんが企画されたんです。当時、ガンの闘病生活をされている中、ご自身の大好きなガンダムに自分の何かを残したいという気持ちがおありだったと思うんです。体調が厳しい中で頑張って仕事をされていました。オファーいただき、新録で「Z・刻をこえて」を歌ったのですが、これが私のセルフカバーの1曲目ですね。ただ、池田貴族さんの作風にアレンジされていて、まったく原曲と違う感じになっています。このアルバムは、いろんな方がセルフカバーで参加されていて、面白かったですね」
--今回の「ガンダム! ヒストリー・ヒット・ソング」をご自身で企画されたとお聞きしていますが、きっかけはなんですか?
鮎川「去年のゴールデンウィークに、ガンダムソングを集めたライブイベントに出させていただいたんです。それは、オリジナルを歌ったアーティストが集うイベント(「スーパーロボット魂 2006"春の陣"II GUNDAM」)で、周りを見たら、私が一番年齢が上じゃないですか?! え~! と驚きました(笑)。考えてみたら「Zガンダム」はかなり古いほうなんですよね。そこで、ふと思ったんです。こんなに後輩がいるんだなあと。それで改めて、ガンダムの大きさを感じました。ああ、こんなにガンダムは成長したんだと。振り返ると、私自身もいろんな歌を歌って成長してきました。そこで、ヒストリーを重ね合わせてみたいなと思ったんです。ガンダムソングをいろいろ聴いてみて、歌ってみたい曲をピックアップして、なおかつ、ファンの方にも喜んでいただけるように考えて企画を創ってみました」
「ああ、こんなにガンダムは成長したんだと。振り返ると、私自身もいろんな歌を歌って成長してきました。そこで、ヒストリーを重ね合わせてみたいなと思ったんです」 |
--ガンダムで、一人の方が他の方の曲まで歌われる企画はこれまで聞いたことがないと思いますが。
鮎川「たぶんないですね。しかもガンダムもこれだけ大きな市場となっているので、実現するまでに大変でした(苦笑)」
--3歳から音楽を習われていたそうですが、そのきっかけは? ご両親が音楽をされていたとか?
鮎川「まったく逆で、母は歌が苦手だったらしいんですね。それで、歌で娘には苦労させられないと考えて、クラッシックの声楽家にしようと思ったらしいんです。ところが、途中でバンドを始めてしまってガッカリはしたようですが、デビュー当時からとても喜んでくれていて、今でも応援してくれています」
--鮎川さんといえば、コーラス・グループ"jive"をされていたり、仲間と一緒に作り上げるのがお好きなのかな、という印象がありますが。
鮎川「バンドは高校時代から始めたのですが、最初はコピーばかりで早くオリジナル曲を作りたいと思っていました。短大に入ったころからオリジナル曲をやるようになったんです。それからですよね、バンドメンバーで、ああでもない、こうでもないとやり出したのは。当時からJポップ全般をやっていました。あとは、よくいろんな音楽を聴いていましたね。とにかくあらゆるジャンルを聴いていて影響を受けていました。だから、私の音楽は"ミックス弁当"みたいだな、という気がしますね」
--アニメソングは好きだったんですか?
鮎川「子供のころからアニメソングは好きでした! まず、歌っている方たちが上手かった! すごくハリのある声の方が多くて、TVを見ながら一緒に歌っていました。「ケロッコデメタン」などがすごく好きでしたね。弟がいたので「仮面ライダー」「ウルトラマン」とかも見ていました。子供心に、ちゃんと歌える方の曲が好きでしたね」
--ご自身がアニメソングを歌うようになって、その頃のことが、なにか影響していますか?
鮎川「はい、ちゃんと良いものを届けようという思いを強く持つようになりました。主題歌としての使命もありますし。アニメのオープニングを任されるわけですし、そういうものを背負っているんだ、という気持ちがありましたね。オープニングソングは、自分一人のものではないのだと」