1725 年、広島藩の藩校「講学所」を起源として創立され、約 290 年の歴史を持った広島県屈指の進学校、修道中学校・修道高等学校。「責任ある自由」を校風に掲げる同校では、教員と生徒それぞれが高い自主性をもって行われる教育により、建学の精神である「道を修めた有為な人材の育成」を実践し続けています。
修道中学校・修道高等学校では、個々の教員が持つ高レベルな知見を教員間で共有することで同校の教育をさらに豊かにできると考え、2014 年 4 月に設置されたシステム委員会にてその実現策が検討されました。そこで業務検討を重ねた結果、全教職員で 2 in 1 Windows タブレット デバイスを利用した情報共有の強化を決定しました。全教室への無線ネットワーク環境やプロジェクターの整備を経て、2015 年 9 月より運用が開始されたタブレット デバイスは、知識の共有化のみでなく、生徒面談の緻密化やインタラクティブな授業の実現、さらには会議におけるペーパーレス化という面でも、大きな効果を果たしています。優れたプロダクト デザイン、インターフェイスの優位性が評価され、教員へ配付するデバイスには日本マイクロソフトの Surface Pro 3 が採用されています。
プロファイル
1725 年に創立され、約 290 年という長い歴史の中で、政財界を始めとしたさまざまな分野における有能な人材を多く輩出してきた 修道中学校・修道高等学校。「責任ある自由」を校風に掲げる同校では、教員と生徒それぞれの高い自主性のもとで行われる教育により、建学の精神である「道を修めた有為な人材の育成」を実践し続けています。
導入の背景とねらい
教員が持つ知見の共有とインタラクティブ性を持った授業の実現へ向けて、教員の 2 in 1 タブレット デバイス利用を核とした ICT 環境の整備を検討
1725 年に創立され、約 290 年という長い歴史の中で、政財界を始めとしたさまざまな分野における有能な人材を多く輩出してきた 修道中学校・修道高等学校。厳しい校則で生徒を縛るのではなく、「責任ある自由」を校風に掲げた同校の教育は、生徒 1 人ひとりの自主性と正しい判断力を培うための大きな特徴となっています。
この「責任ある自由」は教員についても同様で、高い自主性と知見を有する教員の存在も、修道中学校・修道高等学校の教育の強みといえます。しかし一方で、そこには同校の校風ゆえの課題も存在していたといいます。
修道中学校・修道高等学校 中学教頭 藏下 一成 氏は、同校の特徴と、存在していた課題について次のように説明します。
「『責任ある自由』という当校の校風は、教員や生徒の持つ自主性を大きく高めています。中高 6 年間の一貫教育を行う当校では、『6 つの学校がある』といわれるほど、学年ごとで異なった特色ある授業が行われ、それをもって建学の精神である有為な人材の輩出を実現してきました。ですが一方で、たとえば『この学年のこの取り組みはすごく良かった』ということがあっても、それが他のクラスや次の学年には活かされにくいこともあり、情報共有の面でまだまだ発展の必要があると感じていました」(藏下 氏)。
情報共有の発展に加え、修道中学校・修道高等学校では、全教室への無線ネットワークとプロジェクター整備による、よりインタラクティブな授業の実現についても、藏下 氏が委員長を努めるシステム委員会にて検討されたといいます。
「成績管理向けにスクラッチで開発し 10 年間運用をしていた教務システムがあるのですが、これを汎用的なシステムへリプレースするべく、2014 年 4 月にシステム委員会を設置しました。当初システム委員会は新しい教務システムの策定に重点を置いていましたが、徐々に ICT の最適な運用に議論の中心がシフトしていきました。情報共有の発展方法についても検討を行いましたが、よりインタラクティブな授業を目指すことで相乗効果を生み出せるのではと考えたのです。当校の教員は、授業へ向けた自己開発に貪欲です。プロジェクターや無線ネットワークを教室に整備しインタラクティブな授業環境を提供すれば、自発的にその活用がなされます。それとともに情報の共有が進めば、当校の教育はさらに豊かになるはずです」(藏下 氏)。
システム委員会では、翌年に控えた教員用 PC のリプレースと同タイミングでこれらの実現を進めるべく、検討が行われました。同校の ICT 運用と管理を担当する、修道中学校・修道高等学校 財務課財務係 友田 孔平 氏は、PC のリプレースを端に全プロジェクトを推し進めた狙いについて、次のように説明します。
「インタラクティブな授業を実現する場合、デスク ワーク用途とは別に、新たに授業用のデバイスを導入する必要があります。当初は 1 人の教員に対し、デスク ワーク用にノート PC を、授業用にタブレット デバイスをという風に 2 台の配付を行うことを考えていましたが、その場合、紛失リスクや運用工数、コストが高まってしまいます。ノート PC とタブレットの両方の側面を持つ 2 in 1 タブレット デバイスであれば、教員へ配付するデバイスはこれまでどおり 1 台で済み、インタラクティブな授業へも対応できます。2015 年に控えていた教職員のノート PC リプレースが、全プロジェクトを進めるタイミングとしてはベストだったのです」(友田 氏)。
システム概要と導入の経緯
豊富なインターフェイスと優れたプロダクト デザインが教職員の活用意欲を高めると判断し、Surface Pro 3 の採用を決定
情報共有の発展とインタラクティブな授業の実現を、教務システムのリプレースと並行して進めるべく、修道中学校・修道高等学校は 2014 年 5 月、2 in 1 タブレット デバイスの選定をまず行いました。そこでは Windows OS の採用を前提に検討が進められたと、友田 氏は続けます。
「教務システムは既存のものも新たなものも、『.NET Framework』で構築されています。デスク ワークのみでなく、新たなデバイスでは生徒との面談時においても教務システムの利用を考えていました。その場合 Windows でなければ動かすことができませんので、採用する 2 in 1 デバイスは Windows 製品であることを前提に、検討を進めました。国内メーカーを含め 4 製品を比較し検討を行ったのですが、Surface Pro 3 は当時検討した製品の中で唯一、フルサイズの USB ポートを備えていたのです。携行性を重視しつつインターフェイス面も充実している Surface Pro 3 であれば、授業ごとの持ち運びで不便さがなく、拡張性も担保できると考えました」(友田 氏)。
さらに藏下 氏は、Surface Pro 3 の高いデザイン性も、教職員の活用意欲を向上する点で重要な要素だったと加えます。
「デスク ワークから授業にいたるまで常に教職員が利用するデバイスになりますが、積極的に利用されず『業務に有用であること』が理解されなければ、活用はされず目指す情報共有もなされません。友田も触れましたが、Surface Pro 3 は性能やインターフェイス面が優秀であると同時に、プロダクト デザインも非常に優れています。さらに薄型キーボードと保護用カバーが一体化したタッチ カバーについては、カラー選択も可能です。業務に用いるツールとはいえ、自分の好みに合ったデザインにした方が愛着もわき、活用意欲も増しますので、当校では教職員ごとに好きな色のタッチ カバーを選んでもらっています。これは細かいながらも、積極利用を促す点で重要な要素となり、こういった選択性を備えた製品は Surface Pro 3 のみだったのです」(藏下 氏)。
豊富なインターフェイスによる拡張性と優れたデザイン性を特に評価し、修道中学校・修道高等学校では 2014 年 12 月に Surface Pro 3 の採用を正式に決定しました。同時にインタラクティブ性を持たせた授業の実現へ向けて、無線ネットワークとプロジェクターの整備も検討開始されました。
「各教室には 29 インチのテレビをこれまで配置していましたが、画面サイズやシステムとの連動性で課題がありました。こういった投影デバイスの拡充については教員からの要望も多かったのですが、特定の教室のみでの採用では、活用もその方法の共有も十分には行われないと考えました。そこで、すべての教室について、同機種のプロジェクターと無線ネットワークを整備することに決定したのです」(藏下 氏)。
一方、情報共有に向けては、ドキュメント スキャナーの採用と教職員向けのファイル サーバー構築までにとどめ、それほど大規模なシステムの導入は行わなかったといいます。
「これまで教職員ごとに蓄積していた教材などをまず電子化するべく、ドキュメント スキャナーを研究室ごとに配備しました。また、それらのデータを横断的にどの教職員でも閲覧できるようファイル サーバーを構築し、Active Directory で教員のデバイスだけがそこへアクセスできるしくみを構築しました。実は同時期、会議に用いる資料印刷にかかる準備工数やコスト、アーカイブ性にも頭を悩ませていたのですが、このしくみであれば知見の共有とペーパーレスの双方を改善できると考えたのです。ストレスなく教員がこれらを利用できるよう取り組んでいます。ですが、その利用については強制していません」(藏下 氏)。
「用意した環境の利用については『責任ある自由』という当校の校風にもとづき、教職員それぞれの判断に任せています。不足があると思われるかもしれませんが、たとえば放課後に教室をふと覗くと、教員どうしが集まってお互いに Surface Pro 3 やプロジェクターの効果的な使用法を教え合ったり、サーバー上でのドキュメントを共有したりといったことをその場で行っているのです。重要なのは、いかに『有効と認識される環境』を提供するかです。先のとおり教員は自発的に活用してくれており、会議で使用する印刷物も劇的に減らせていますので、情報共有とペーパーレス化については Surface Pro 3 とドキュメント スキャナー、ファイル サーバーの整備で十分だったのだと実感しています」(藏下 氏)。
デスク ワークと授業に用いるデバイスを Surface Pro 3 へ一本化し、教員間の情報共有を行うファイル サーバーや生徒の成績管理を行う教務サーバーへのアクセスも統合。デバイスや各システムの有効性を上げ、ストレス原因を解消することで、修道中学校・修道高等学校の教員は自発的にそれらを活用している |
導入製品とサービス
- Surface Pro 3
導入メリット
- 教員の活用意欲を重要視し Surface Pro 3 を採用したことで、教育現場で積極的に活用され、有効性の理解が深まると同時に教員個々が持つ知見の共有が促進できた
- プロジェクターと連携した知覚的な授業の展開により、生徒の積極性が向上できた
- 教務システムと連携した Surface Pro 3を利用した生徒面談により、教員ひとりで対応できる面談数やその密度、説得性の高めることができた
- Surface Pro 3 とドキュメント スキャナー、ファイル サーバーによる環境整備によりペーパーレス化も実現でき、会議などにおける印刷工数とコストの削減ができた
導入の効果
ICT を活用した授業で生徒の積極度が向上。有効性が教職員に理解され、その活用と知見共有がまたたく間に広がる
修道中学校・修道高等学校では、2015 年の夏休み期間に全教室への無線ネットワークとプロジェクター整備、ファイル サーバーなどシステム面の構築を行い、2015 年 9 月より、Surface Pro 3 を活用した授業と情報共有の取り組みを開始しています。2016 年 4 月からは、新たな教務システムも稼働開始する予定です。
Surface Pro 3 の導入から半年ほどしか経過していませんが、既に授業での有効活用とその情報共有の面で効果が現れていると、藏下 氏は語ります。
「Surface Pro 3 導入以前のことですが、英語科で PC とプロジェクターを授業で利用したところ、生徒が積極的に授業に参加しているようすが見受けられ、『これを他の教科の授業でも使いたい』という機運が高まりました。今ではさまざまな授業で Surface Pro 3 とプロジェクターを用いた授業が行われています。より効果的な授業ができるよう、Surface Pro 3 の有効な活用方法が各教員によってあみだされ、さらにそれが構想どおり共有されているのです。デバイスに Surface Pro 3 を選択したことは間違いなかったのだと強く感じました」(藏下 氏)。
「教科によってはデジタル教科書を導入していますが、基本的には各教員が作成しファイル サーバーに格納した教材をもって授業が進められています。これは、当校がこれまで培ってきた授業のスタイルや文化を維持しながらデジタル化を行っていくことを狙ってのものですが、教材を作成する手間や工数から、導入当初はうまく活用されるか不安だったのも事実です。ですが、ドキュメント スキャナーを配付したこともあって、ファイル サーバー上の教材はすぐ充実していきました。教材が充実すれば教員はファイル サーバーが有用だと感じてくれますので、教材のみでなく会議用の資料格納やその閲覧場所としても積極的に活用するというサイクルが生まれています」(藏下 氏)。
教員それぞれが独自のスタイルと文化を教材に落とし込み、授業での活用が行われている |
ICT を活用した授業の有効性が教員に理解されたことで、さまざまな授業で Surface Pro 3 が利用され、教材とともにその知見の蓄積と共有が進められている |
また、同校での Surface Pro 3 の活用シーンは授業や会議だけでなく、面談や学習指導にも用いられていると藏下 氏は続けます。
「受験シーズンになると、多くの生徒との面談が行われます。こちらも従来は印刷物を準備し臨んでいたのですが、事前準備の工数もあり、面談を行える回数やその密度にはどうしても限界があったのです。Surface Pro 3 では教務システムへもアクセスできますので、事前準備の工数を減らすことができ、成績推移のグラフなど、面談の内容によって必要な情報をグラフィカルに提示することも可能です。対応できる面談数やその密度、説得性の面で大きな効果をもたらしているといえ、ペーパーレス化による効果は大きいと感じます」(藏下 氏)。
今後の展望
2017 年度には ICT 支援員の採用を行い、生徒 1 人 1 台の配付へ向けた準備を進めたい
Surface Pro 3 を導入し、「教育に有効だ」と教職員に理解される環境を整備することで、教員どうしの自己開発や情報共有の促進を実現した修道中学校・修道高等学校。同校では現在、よりインタラクティブな授業を展開するべく、生徒へのデバイス配付を視野に入れた活用範囲の拡大について検討が進められています。
「生徒へのデバイス配付は行っていませんので、教員が課題をデジタル データで作成しても、今のところ生徒へはプリントして渡す形となり、無駄な部分がまだ残っています。また、プロジェクターや教員向けのタブレット デバイスだけでは、授業のインタラクティブ性を高めるのにも限界があります。ICT を活用した授業の有効性は今回の取り組みで教員へも十分に理解されましたので、生徒 1 人ひとりへデバイスを配付することは、これらの課題を一気に解決していけるものだと考えています」(藏下 氏)。
「生徒側が ICT を積極的に活用したいという思いを持っている点も、1 つの理由としてあります。当校の体育祭ではクラスごとでダンスを競うプログラムがあるのですが、その振りつけをクラス全員で覚えるために、Surface Pro 3 に備わるカメラで見本となる生徒のダンスを撮影してそれをプロジェクターで映したいという要望が上がったのです。こういった前向きで自発的な生徒の意向は、当校の方針としてぜひ応えてあげたいと思っています」(藏下 氏)。
一方で生徒へのデバイス配付については、教員への配付よりも留意しなければならない事項が多いと、藏下 氏は続けます。
「生徒へのデバイス配付に際しては、その意義に加えて、セキュリティや運用面について保護者の方に説明し、納得していただく必要があります。教員への配付と比較するとどうしても運用工数やセキュリティ リスクは高まってしまいますので、単に環境を整備するだけでなく、それを管理する体制の強化も並行して検討しなくてはなりません。そのために ICT 支援員の配置を考えています」(藏下 氏)。 グローバルで活躍できる有為な人材の育成を実践し続ける修道中学校・修道高等学校。高い自主性のもとで行われる教育とそこでの ICT 活用が、同校のリーダー輩出を今後も加速していくことは間違いありません。
ユーザー コメント
「Surface Pro 3 導入以前のことですが、英語科で PC とプロジェクターを授業で利用したところ、生徒が積極的に授業に参加しているようすが見受けられ、『これを他の教科の授業でも使いたい』という機運が高まりました。今ではさまざまな授業で Surface Pro 3 とプロジェクターを用いた授業が行われています。より効果的な授業ができるよう、Surface Pro 3 の有効な活用方法が各教員によってあみだされ、さらにそれが構想どおり共有されているのです。デバイスに Surface Pro 3 を選択したことは間違いなかったのだと強く感じました」修道中学校・修道高等学校
中学教頭
藏下 一成 氏
(マイナビニュース広告企画:提供 日本マイクロソフト)
マイクロソフト法人導入事例サイトはこちら
[PR]提供: