福井市中心部にある北陸学園北陸高等学校(以下、北陸高校)は、1880 (明治 13 )年創立という長い歴史を持つ学校です。さまざまな部活動でも名を知られ、とくに運動部は全国的に活躍する競技が数多くあります。北陸高校では 2022 年度の新入生から 1 人 1 台端末に、教育機関向けの専用端末として発売された「 Surface Laptop SE 」を世界に先駆けて導入。Office などの Microsoft の様々なアプリとの組み合わせにより、教育での ICT 活用を積極的に推進しています。
GIGA 以前から ICT 活用を積極的に推進し、コロナ禍にも柔軟かつ迅速に対応
北陸高校は、親鸞聖人が開いた浄土真宗の教えをはじめとする仏教精神を教育の根本に据えています。2020 年に開学 140 周年を迎えた歴史の長い学校で、各界に多彩な卒業生を送り出してきました。普通科に特別進学コース、進学コース、普通コース、商業科に情報処理コースと 4 つのコースがありますが、校長の朝倉 乗恵 氏は「卒業してから社会に出て、自分自身の考えを持って提案し、助け合い、協力し合いながら生きていくために本校で学ぶという目的は、すべてのコースに共通しています」と語ります。
運動部の部活動が盛んで、男子バスケットボール部や男子ハンドボール部はインターハイを複数回優勝するなど全国的な強豪校として名が通っています。春夏の甲子園に出場経験がある野球部も、2022 年秋の北信越大会を制し、明治神宮野球大会で準決勝に進出しました。一方、文化部の活動でも吹奏楽、ダンス、合唱部などが地域の文化活動に積極的に参加し、「地域貢献度はかなり高い」と朝倉 氏。総じて「コロナ禍の中でも運動、文化の各部活動が県内外から称賛を浴びており、学校の意気を上げてくれています」と話します。
同校では 2012 年の新校舎建設時より、段階的に全教室の情報環境を整備。この頃から ICT に詳しい教員は学校にある端末で PowerPoint などを使い、授業を行っていたといいます。また、コロナ禍より前に Web 会議ツールを使い、離れた地域の有識者が行う講演を校内中継したこともありました。
その後、2019 年末に文部科学省が GIGA スクール構想を打ち出す以前から、1 人 1 台端末導入に向けた動きを校内でスタート。時間をかけてコースごとの導入方法や端末選定の検討を進めていきました。
この過程で、新型コロナウイルスによる感染症が発生。通常の対面授業を思うようにできなくなったこともあり、まずは生徒のスマートフォンなどで Microsoft Teams の活用をスタートします。以降、学級閉鎖もある中、生徒とは Teams で連絡を取り合うようになり、Forms を使った健康観察、資料配布や、PowerPoint 、OneNote などを用いた授業の全家庭配信なども行いました。
そんな中、2020 年にまず教員用端末として Surface Go 2 (以下、Go 2 )を導入。これは職員室と教室間の持ち運びを念頭に、壊れにくさとサイズ、そして軽さを重視して選んだといいます。続いて、福井県が公立高校の 1 人 1 台端末導入を前倒しで進めたことから、北陸高校でも検討を加速させ、2022 年 4 月入学の 1 年生から Surface Laptop SE (以下、Laptop SE )の導入を決定しました。
生徒に最適な環境を提供すべく、 Windows と Surface にこだわる
1 人 1 台端末の選定にあたっては、まず何より管理面を重視したと藤森 氏。「 OS の選択に際し、もともと校務で Windows を使っているため、教員に混乱が起きないようにと基本的に Windows 1 択で臨みました。この大前提のもと、どの Windows 端末が最適かを検討していったのですが、実は Surface しか念頭になかったんです。中学校では他社 OS 製端末を導入しているのですが、そこで使っている MDM (モバイルデバイス管理)では二重の管理が発生していました。Surface を入れるとなれば MDM は必然的に Microsoft Intune が選択肢になりますが、これなら一元管理ができますし、マイクロソフトの端末なら Intune との連携にも間違いないだろうとの思いがあり、Surface の採用を校内検討委員会で強くお願いしました」と振り返ります。
OS については、福井県の公立高校で Windows 以外の OS が採用されていたこともあり、使いやすさなどを含め再検討したそうですが、やはり最終的に Windows に落ち着きます。「そこは、マイクロソフトへの信頼感ですね」と藤森 氏。他社 OS 製端末の場合、教員が Windows で作成した資料のフォーマットが崩れてしまうことが多く、変換の手間が生じてしまう点なども、Windows を選択する後押しとなりました。
加えて、Windows を選択することは、同校が掲げる ICT の教育方針にもつながっているといいます。「情報の授業を担当していて、ここ数年、パソコンが使えなくなった生徒が多いと感じていました。ICT 方針である “ 社会に出てから問題なく使えるように ” を目指すには、やはり社会で最も使われている Windows を習得し、そのうえで必要があれば他の OS も学べばいいと考えています。それに加えて、当校は大学に進学する生徒が多いのですが、大学で使われる端末も Windows が主流です。これらを考えると、Windows はベストな選択だと思います」(藤森 氏)
2021 年 12 月、教育機関向けの新製品として Laptop SE が発売されることを知った藤森氏。「保護者の負担で購入していただくので、あまり高額な製品をお願いするのは難しい部分もあります。その点、Laptop SE は手ごろな価格ながら、学習に必要な性能と機能を満たしていることに魅力を感じました。加えて、耐久性の面でも、教育向けであるからには “ 壊れるもの ” という前提でしっかり作っているとの安心感がありました。それでも修理が必要なときはあると思いますが、Laptop SE は部品の交換が簡単にできる点も評価したポイントです。」と語ります。
Laptop SE は従来の Windows ではなく、教育機関向けの新しい専用 OS となる Windows 11 SE を搭載。藤森 氏は「検証した結果、教員用の Go 2 と比べても遜色なく、快適かつ安定して動作しているとの印象を受けました。予想よりはるかに本格的なパソコンだなと思いましたね」と話し、導入に向けて手応えを感じた当時を振り返えります。
授業のさまざまな場面に取り入れ、積極的な活用が進行中
2022 年度からの 1 人 1 台端末導入はまず 1 年生のみで、翌年度以降、新入生が購入する形で進んでいきます。学校内での本格的な利用は 9 月から。まずは 1 年生の教室で Forms による健康観察から利用が開始されました。それまでは登校前にスマートフォンで入力していたところ、登校後のホームルームで Laptop SE から入力させています。
まだまだ手探りの部分も多く、Laptop SE に 1 日 1 回触れることを目標とする教員もいれば、生徒たちが自由に使うところを見てみたいという教員もいるようで、教員によりさまざまな取り組みが進められています。よく使っている教員のクラスでは、Laptop SE を開きながら面談を行う姿も見られるようになりました。
「まずは先生自身が十分に使えていないと、授業に用いるのも難しいですよね」と語る常廣 氏は、自身がマイクロソフトの研修と自学によって使い方や活用方法を日々勉強中だといいます。
「生徒の理解度を高めるのが大切ですから、生徒たちの Laptop SE ではどう見えるんだろうと気になります。わかりやすいようにアニメーションを使ったり、フォントを変えて見やすくしたり、毎日が試行錯誤の連続ですね」(常廣 氏)
実は、1 年生以外でも常廣 氏が担任する普通科 2 年 5 組は、モデルクラスとして学校購入分の Laptop SE が全員に貸与され、授業での活用が始まっています。「私は ICT についてまったくの素人です」と謙遜する常廣 氏ですが、勉強と工夫を重ね、「まず自分が先行して試行錯誤をすれば、他の先生の参考になる」との思いから、率先して Laptop SE の使用を授業に取り入れています。
取材時は、2 年 5 組で ICT を組み入れた国語の授業が行われていました。生徒たち一人ひとりが机の上で Laptop SE を開き、授業前半は古典のテストを実施。いつもは Forms で作成したテストを Teams の課題機能で配信していますが、この日は実験的に、Forms を OneNote の クラスノートブック を使って生徒に配信しました。
「私にとって、プリント代わりのツールとして最も取り組みやすいのが Forms です。Forms を使って行うテストは結果と回答をすぐに確認できますし、教員が生徒の反応を見て必要なことをその場でアドバイスできます。また、これまでの回答データから、生徒が同じところを間違えている、この部分はきちんと振り返ってきたんだなといったことも判断できるので、とても便利に活用しています」(常廣 氏)
授業の後半は、Laptop SE を使ったグループワークを実践。生徒各自のノートをリアルタイムに閲覧し、その内容に則した授業ができないか……、ということを検証するため、常廣 氏はグループワークに OneNote クラスノートブック を活用しました。
「 OneNote クラスノートブック では、クラス全生徒のノートを教員がまとめてリアルタイムに閲覧できるので、生徒一人ひとりのそばに行き各生徒の進度を確認する机間巡視と同様のことが可能になります。今日は自分のノートに書いたことが私の手元に一覧で見えることをまず理解してもらい、これからの授業に役立てられると感じました。また、紙のプリントを読むとどうしても目線が下がるのですが、パソコン画面を見るときは自然と目線が上がるので、みんなが参加している雰囲気も生まれました」(常廣 氏)
常廣 氏は、生徒たちの高揚感を肌で感じているといい「これまでの授業では私が何時間もかけてテンションを上げていたのに、Laptop SE を開くとわずか数秒でテンションが上がるんです。特に、Forms や、Teams の Reading Progress 機能を使ったときは大いに盛り上がっていました。OneNote に個人のノートがあることを知ったときも喜んでいましたし、やっぱり “ 自分だけ ” のプレミアムな端末を持てたことがワクワク感につながっているのだと思います」と語ります。
現在、2 年 5 組の Laptop SE は基本的には学校に保管し、週 2 回、充電のため各家庭へ持ち帰らせるようにしています。ただ、最近は生徒から「家での学習にも使いたい」という声が多く上がり、持ち帰りを認める機会が多くなっているそうです。生徒の主体性が Laptop SE によって育まれていることを常廣 氏も実感しています。
わずか数カ月ながら、生徒の利用面でさまざまなメリットを実感
Laptop SE の端末が揃って本格利用を始めた 9 月から、取材時点でわずか 3 カ月。まだまだ活用方法を模索していく時期ですが、常廣 氏をはじめとする教員たちが積極的に取り組んでいることもあり、端末の利用は数カ月とは思えないほどの浸透具合を見せています。
藤森 氏はこの数カ月を振り返り、Laptop SE の動作感が快適な点を改めて感じています。また、実際に使う中で Laptop SE がオフラインでも使用できることを評価しており、「常にクラウドにつながっていなくても使えるのは便利ですし、オフラインからオンラインに切り替わった時点で作業中のデータは OneDrive に同期されます。使う場所を選ばないということもメリットだと感じています」と話します。
今後の ICT 活用について、常廣 氏は次のように語ります。
「教員の立場から今後取り入れてみたいことを具体的にいうと、例えば漢文は音読すると力がより身につくので Teams の機能で漢文音読をさせてみたいですし、画像を読み込んでテキスト化する機能ももっと活用してみたい。新しいことができるようになると、教員もどんどん欲張りになっていきますね。Laptop SE には、教員の欲張りを受け止めるとともに、生徒たちがやりたいと思うことを後押ししてくれるツールであり続けてほしい。ICT を使ってやりたいことをどんどん広げてほしいですし、教師としてはそれを手助けできる存在でありたいと思っています」(常廣 氏)
校長の朝倉 氏は「 ICT を使った学びの先で、生徒たちが社会に対し自分自身の考えを提言できる力を、北陸高校での 3 年間の学びの成果として身につけ、社会に羽ばたいてほしい」と語ります。
朝倉 氏が示した未来像の実現に向けて、現場の教員はすでに多くのシーンで Laptop SE を活用し、試行錯誤の中から ICT 活用の意義を実感し始めています。それは生徒たちが Laptop SE を好意的に受け入れ、活用の場を自ら模索している点からも見受けられます。朝倉 氏が望むビジョンは、そう遠くない未来、北陸高校からはばたく生徒たちが描いてくれることでしょう。
※Surface Laptop SE には、教育機関向け OS の Windows 11 SE が搭載されています。 Windows 11 SE には、Windows 10や11とは異なる独自の仕様があります。詳細は、https://aka.ms/Windows11SE_MSLearn をご確認ください。
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