ICTは全社員が有効活用してこそ、最大の効果を発揮します。しかし、せっかく入れたICTが社員に利用されないという悩みを抱える企業は少なくありません。株式会社レコチョクはこの課題に対し、「社員が能動的にICTを活用したい」と思う環境づくりを推進。大きな効果を生み出しています。

音楽市場に多くの変革を生み出してきた株式会社レコチョク。こうした「先進性を持ったビジネス」を継続するうえで、全社での情報共有、部門を横断したプロジェクトの推進が重要なのはいうまでもありません。この部門間のコミュニケーションを加速すべく、同社はOffice 365を導入。並行して、それを利用する環境に先進性を取り入れることで、社員が興味と意欲をもって自らICTを活用する環境を実現しています。

この取り組みの肝として同社が採用したのが、2 in 1タブレットデバイス「Surface Pro 4」と、コラボレーションデバイス「Surface Hub」です。

株式会社レコチョク

プロファイル

音楽配信のリーディングカンパニーとして、スマートフォン、PCなどさまざまなデバイスへ向け、音楽配信を中心としたコンテンツサービスを展開する株式会社レコチョク。近年では、各種企業とのパートナーシップによる協業サービスをはじめ、新たに音楽の体験型サービスを展開するなど、音楽を基軸とした幅広い事業展開を行っています。

導入の背景とねらい
部門間の連携をいっそう強化することが、先進性を持ったビジネスの継続につながる

世界初となる「着うた(R)」、「着うたフル(R)」の配信を開始、以来、数多くの音楽配信サービスを展開する株式会社レコチョク(以下、レコチョク)。マルチデバイス向け音楽配信サービスの先駆けともいえる「レコチョク」、定額制音楽配信サービスなど、同社ではこれまで、音楽市場に多くの変革を生み出してきました。レコチョクが持つ先進性は衰えることなく、協業での車載用サービスの提供や店舗用BGMの展開、CD購入者がスマートフォンでも簡単に収録曲を聴くことができる「プレイパス」、アーティストとファンの想いをつなげる音楽分野に特化した共創・体験型プラットフォーム「WIZY」など、次代の音楽市場の創造に向けた新たな取り組みを進めています。

「先進性を持ったビジネス」を継続するうえでは、全社で情報を共有し、部門横断でプロジェクトを展開することが求められます。同社には、レコード会社との交渉窓口となる部門、サービスの企画開発部門、サイトの編集・制作部門、ユーザーインターフェイスの設計と実装やアプリケーション開発に携わる開発部門、基盤となるICTインフラを管理する情報システム部門など多くの部門が存在しますが、1つのビジネスを生み出す場合、これらの部署が密接にかかわることとなるのです。

株式会社レコチョク 管理部 人事・総務グループ 金井 美玲氏

株式会社レコチョク 管理部 人事・総務グループ 金井 美玲氏は、近年同社において、部門間を横断したプロジェクトや共同作業の重要度が増していると語ります。

「新たなサービスを生み出すまでには、数多くの『部門間のコミュニケーション』を必要とします。音楽産業を巡る環境は変化が激しく、サービスの企画から設計、開発、ローンチまでの期間を短期化することが重要になります。そうでないと、企画段階では先進的だったものが、ローンチのころにはもう後発になっているということが起こり得るのです。音楽業界の変化を見極め、さらに先進的なサービスを提案するには、企画を創出するための『部門間の円滑なコミュニケーション』が不可欠となります。こと、当社では近年、音楽を基軸とした新規事業の展開を強化しているため、この重要度合いは高まっているといえます」(金井氏)。

部門間を横断したコミュニケーションを加速するうえで、多くの企業の悩みの種となるのが「物理的な壁」です。この「壁」は、単に部門間で部屋が区切られているということだけでなく、拠点間や外出が多い部門とのコミュニケーションレスなど、多くの課題を内包しています。

レコチョクにも同様の課題が存在し、それを解消すべく、かねてより積極的に社内での情報共有、部門を超えたコミュニケーション強化と並行して、ICT基盤の整備も進めてきました。その1つに挙げられるのが、Office 365をはじめとするクラウドの活用です。

株式会社レコチョク 管理部 社内ITグループ 藤川 大氏

株式会社レコチョク 管理部 社内ITグループ 藤川 大氏は、同社がクラウド活用に着目した背景について、次のように説明します。

ユーザーが、必要な時、適切な方法で即座にコミュニケーションが取れる環境を整備する必要がありました。たとえばメールの場合、以前は社内にSMTPサーバーを立てていたために、その利用は社内に限られていました。そこでまず、2013年にメール基盤をExchange Onlineへ移行し、翌年にはSkype for Businessの提供を開始。メール以外のコミュニケーションも行えるようにしました。2015年からはSharePoint OnlineやOne Drive for Businessでドキュメントが共有できる環境も整備しています。『いつでも、どこでも利用できる』というクラウドの利点は、出張や外出時におけるコミュニケーションを円滑にするうえできわめて有効だったのです」(藤川氏)。

同社ではExchange Onlineを導入後、クラウド活用をICT戦略の重要項目と掲げ、クラウド化を推進。2014年から2年間かけて、情報系システムやサービス基盤など多くのシステムにクラウドを適用してきました。さらに2016年からは、クラウド化の推進で整備してきたICTを有効に機能すべく、新たな一手を投じます。

クラウド化によるICT基盤の整備は、2015年までの取り組みで概ね完了したといえました。しかし、こうしたICTは積極的かつ有効に利用されて初めて機能するため、「社員が積極的にICTを活用する環境」をいかにして整備するかが命題となったのです。

業務の電子化やシステムの切り替えにともなう業務フローの変更は、ユーザー心理として「面倒」と思われがちです。そこで同社では、ICTを利用するフロントデバイスの切り替えや、オフィス環境自体の工夫によって、社員が能動的に「ICTを活用したい」と思う環境づくりを進めることを計画します。

金井氏は、この環境づくりにおいて、「先進性」をキーワードに検討を進めたと語ります。

「稚拙な表現かもしれませんが、ICTを利用する環境に先進性を取り入れることで、社員に『わくわく感』を生み出せないかと考えました。そうすれば、興味と意欲をもってICTを活用してくれます。これによって、共同作業の加速だけでなく、個の能力の最大化も期待できたのです」(金井氏)。

システムの概要
Surface Hubがもたらす「わくわく感」により、自発的なICT活用が期待できた

レコチョクが2016年から新たに開始した主の取り組みは、業務用PCの刷新とオフィス環境の改善の2つとなります。

これまでも同社では、十分な機能を有したモバイルノートPCを社員へ配付してきました。しかし、従来の業務用PCは「作業デバイス」と捉えられがちでした。藤川氏はそこに存在していた課題について、次のように説明します。

「これまで配付していた業務用PCは、単なるビジネスツールとして扱われていたため、1 人ひとりが業務用PCに愛着を持ってほしいという思いがありました。PCを利用すること自体が楽しくなる、そんな意識改革を目指して、全社員を対象とした業務用PCの刷新を計画したのです。また、協業での事業展開や新サービスの立ち上げなどに伴い、取引先での打ち合わせも多くなったことも念頭に置き、検討を進めました」(藤川氏)。

部門を横断したプロジェクトでは、かかわるメンバーが多くなりますが、会議の参加者が多いと、メンバー間で情報の浸透レベルに差が生じることも懸念されます。チームとして生産性を高めていくうえで、会議をより有効活用するためのツールの導入が必要だったのです。

こうした課題の解消に向けてレコチョクが注目したのが、2in1タブレットデバイス「Surface Pro4」と、コラボレーションデバイス「Surface Hub」です。

Surface Pro4とSurface Hub

藤川氏はまず、数あるデバイスの中でもSurface Pro 4に注目した理由について、次のように説明します。

「業務用PCの採用にあたって4ベンダーの製品を比較検討しました。特に重視したのは、『デザイン』と『ブランドイメージ』です。Surface Pro 4は、洗練された製品デザインもさることながら、市場の口コミやPRなどで既に『先進的なデバイス』というブランド イメージが確立していました。実際に、先進的なテクノロジといえる生体認証機能『Windows Hello』に対応したインカメラも備えており、イメージと実態を高い水準で備えていたのです」(藤川氏)。

Surface Pro 4ではタイプカバーを5色から選択することが可能です。たとえばこれを社員が自ら選べるようにすれば、単なる作業用端末ではなく、「自分のデバイス」として愛着を抱かせることができます。1人ひとりが強い愛着のもとデバイスを利用することで、間接的にシステムの利用頻度も高まるでしょう。既に導入しているOffice 365が、より有効利用されるようになるのです。

藤川氏は、Surface Pro 4に加えて、Office 365と密接に連携するSurface Hubも同時に導入することで、共同作業の生産性のさらなる向上が期待できたと語ります。

「Surface Hubには製品発表時から興味を持っていました。しかし、これまで世の中になかった製品ジャンルのため、どのように活用できるのかが不明瞭でした。そこで、品川の日本マイクロソフト本社でデモを見せていただきました。参加メンバーの中には『大きい電子黒板』という認識を当初抱いていた者もいましたが、デモでその認識は一変しました。一般的な電子黒板とはコンセプトも実装機能もまったく異なっており、まさに当社が求めていた『共同作業を支援するツール』だったのです」(藤川氏)。

Surface Hubでは、あらかじめ準備せずともクラウド上のOne Driveから社員のドキュメントを表示することができ、そのドキュメントに対して出席者全員が情報を書き込みながら議題を発展させていくことができます。議論の中で書き込んだドキュメントは、Surface Hubから参加者にメール送付することも可能。これにより、メンバー間の情報の浸透レベルが均等化できるのです。さらに、その場にいないメンバーをSkype for Businessで召集することで、物理的な壁を越えて共同作業を進められます。

「Surface Hubは、デモに参加したメンバーの間で『すごい』『社内にあれば積極的に使いたい』と話題になりました。Surface Hubの導入によって、部門間のコミュニケーションが加速するだけでなく、こういった感想が社員の『わくわく感』を大きく増徴することも期待でき、Surface Hubの導入を決定しました」(藤川氏)。

導入の効果
会議体が変革。そこから生まれるアウトプットの質も向上

レコチョクは2016年7月、全社員へのSurface Pro 4の配付を完了。同年10月からは2台のSurface Hubを、システム部門と開発部門を対象に設置しています。

既述のとおり、こうした新たなICTは、ユーザーにとって「面倒さ」が先行するため、浸透までに時間を要することが少なくありません。そのため製品の展開においては、浸透スピードを高めるべく工夫してこれを進めたと、藤川氏は語ります。

「Surface Pro 4とSurface Hubの利用を浸透すべく、新技術を率先して利用しそうな社員に対して重点的に利用方法をレクチャーしました。たとえばシステム部門は、導入時に期待した『先進性』や『わくわく感』をどこよりも強く感じてくれるため、すぐ使い方を習熟し積極的に活用してくれます。一部門でもよいので、まずは利用が徹底されることを重視しました。というのも、当社においては、業務が単一部門で完結することがまずありません。システム部門で活用が徹底されれば、他の部門との共同作業を経てスムーズに全部門へ浸透すると考えたのです」(藤川氏)。

この結果、システム部門では既にSurface Pro 4とSurface Hubを活用した会議が一般化。さらに他の部門でもSurface Hubを活用した会議が始まるなど、藤川氏の構想どおり高いスピードで活用が広がっています。

Surface Hubを利用した会議のようす。社内にいるメンバーだけでなく、外出しているメンバーも、Skype for Businessを介して顔を合わせながら、議論を進めることが可能

「2017年3月現在、2台それぞれに割り振ったSurface Hubアカウントのスケジュール(利用状況)は連日埋まっています。マイクロソフト本社で見たSurface Hubの活用が、当社でも日々、会議や部門を横断した共同作業で実践されていると考えています。そこから日々生まれていくアウトプットは、これまで以上に高い質となっていくはずです」(藤川氏)。

Surface Hubは、作業したドキュメントを参加者へいっせいにメール送付する機能も備える。生産性向上に加え、会議内容の浸透度の均一化も図ることが可能

今後の展望
「積極的に利用されるICT」という土壌を活かし、働き方改革の取り組みも進める

Surface Pro 4とSurface Hubの導入により、主体性をもったICTの活用と、共同作業の生産性向上を実現したレコチョク。同社が実施した「ICTの活用を促す取り組み」の数々は、同様の課題を抱える企業にとって有益なモデルケースとなるでしょう。

もちろん、レコチョクの取り組みはこれで終わりを迎えるわけではありません。藤川氏は、個人と組織の生産性をいっそう高めるべく、今後もさらなる取り組みを進めて行くと語ります。

「新たなサービスをより業界の変化に追従したスピードで提供していくには、個人と組織の双方の視点から、生産性向上を図る必要があります。組織という視点においては、Surface Pro 4とSurface Hubの導入で、今後も生産性が日々高まっていくと考えています。幸い、当社には『社員の能力の最大化』に向けた投資は惜しまないという社風があります。組織だけでなく、社員1人ひとりの要望にもしっかり耳を向け、小さな課題であっても逐一解消していくことで、レコチョク全体の事業価値を最大化していきたいと考えています」(藤川氏)。

こうした個と組織の生産性向上は、昨今注目される「働き方改革」というテーマを実現するうえでも有効です。レコチョクでは現在、フレックス制を導入していますが、将来、テレワークや在宅勤務といった働き方を取り入れていくことができれば、働き方改革の実現、ひいてはサービス品質の向上にもアプローチしていけるのではないかと、金井氏は語ります。

「ソリューション型ビジネスを強化した背景で、サービス提供やサポートに求められる水準が高まりつつあります。24時間365日を前提とした要求レベルを担保するうえで、出社を前提とした現環境のままでは難しい場面も出てくるかと思います。ダイバーシティへの対応だけでなく、当社のサービス品質の向上という意味でも、在宅やテレワークといった働き方を整備することは、将来有効な手段となるはずです。既に、社外でも業務が行える環境自体は整備できています。今回導入したSurface Pro 4やSurface Hubも活かすことで、今後、働き方改革の取り組みも進められればと考えています」(金井氏)。

日本の音楽市場に多くの変革を生み出してきたレコチョク。Surface Pro 4とSurface Hubでいっそう高まった創造性と生産性をもって、同社は今後も新たな変革を生み出していきます。

「新たなサービスをより業界の変化に追従したスピードで提供していくには、個人と組織の双方の視点から、生産性向上を図る必要があります。組織という視点においては、Surface Pro 4とSurface Hubの導入で、今後も生産性が日々高まっていくと考えています。幸い、当社には『社員の能力の最大化』に向けた投資は惜しまないという社風があります。組織だけでなく、社員1人ひとりの要望にもしっかり耳を向け、小さな課題であっても逐一解消していくことで、レコチョク全体の事業価値を最大化していきたいと考えています」

株式会社レコチョク
管理部
社内ITグループ
藤川 大氏

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