茨城県の中西部に位置する桜川市では、市内にある小中学校 16 校のもとで、「子供たち 1 人ひとりへの、質の高い教育の提供」を目指した教育が実践されています。

茨城県桜川市に 16 ある公立小中学校の 1 つである、桜川市立岩瀬小学校

この教育をさらに発展すべく、桜川市教育委員会は各校の ICT 環境の整備に注力。2013 年度から小中学校へタブレット デバイスを導入し、無線 LAN の敷設も行うなど、より快適な学習環境の構築を進めています。さらに 2016 年度からは、校務用と教務用デバイスの Surface Pro 4 への一本化を実施。授業における ICT 活用の、全校的な促進を実現しました。この取り組みで生まれた効果を知見とし、PDCA を回すことで、桜川市の教育は今後さらなる発展を続けていきます。

プロファイル

首都圏から約 70 km 圏内、茨城県の中西部に位置する桜川市は、2005 年 10 月 1 日に旧岩瀬町、真壁町、大和村の 3 町村が合併し誕生しました。同市では、質の高い行政サービスや市民、地域活動の創出を目指すべく、まちの将来像である「伝統と豊かな自然に恵まれた田園文化都市 やすらぎのまち 桜川」を実現するための各種施策に取り組んでいます。

導入の背景とねらい
タブレット デバイスの活用を促進すべく、校務デバイスと教務デバイスの一本化を検討

茨城県の中西部に位置し、緑豊かな自然環境に囲まれる桜川市。同市では現在、質の高い行政サービスの提供や、市民、地域活動の活性化を目指した取り組みを進めています。この活動は教育においても同様であり、たとえば市内に 16 ある小中学校では、桜川市教育委員会のもと、ICT 環境の整備が推し進められています。

桜川市教育委員会では、ICT の利用を目的とするのではなく、あくまでも授業内容を充実させる手段として ICT 環境の整備を実施しています。

桜川市教育委員会 学校教育課 企画・営繕グループ グループ長 佐谷 智 氏は、この方針について、次のように説明します。

桜川市教育委員会
学校教育課
企画・営繕グループ
グループ長
佐谷 智 氏

「ICT を活用することで、先生方は教材の拡大や、子供の活動を録画し授業で簡単に利用できます。子供たちのノートや作品などを大画面テレビやタブレットに写すことで、インタラクティブ性を持った学びを提供することも可能です。また、立体図形などをタブレット デバイスで操作することにより理解度も向上し、優れた携行性も持つため屋外授業などでも活用することができます。このように桜川市教育委員会では、子供たち 1 人ひとりに質の高い教育を提供したいという願いから、ICT 環境の整備を進めています」(佐谷 氏)。

同方針のもと ICT 環境を整備すべく、桜川市教育委員会では、毎年必ず新たな機器をいずれかの学校に導入し、そこで得られた知見を次年の別学校での導入へ活かすという PDCA サイクルを採っています。しかし、「授業内容を充実させる手段」である ICT 環境が実際に授業の現場で機能されるまでには、さまざまな試行錯誤があったといいます。以前から桜川市内にある各小中学校へは、教務用で 40 台の PC が設置されていました。しかし、利用場所が PC 教室に制限されるという背景もあり、授業で積極的に活用されているとはいえない状況だったのです。

授業での ICT 活用を促すべく、桜川市教育委員会では 2014 年度に、2 クラスに 1 台の割合でタブレット デバイスを配布。場所を制限せず、教員がどのような教育シーンでも ICT が活用できる環境を整備しました。この取り組みは教員から好評を得ることができた一方、2 クラスあたり 1 台という「共有デバイス」としての導入であることを背景に、教員が自由な時間に使用できない、教員ごとでのカスタマイズができないといった、利便性の課題も生み出したといいます。

桜川市教育委員会では、こうした試行錯誤の結果生まれた課題や知見を踏まえ、翌年の 2015 年より、「教務用タブレット デバイスの利便性向上」を主題とした取り組みを検討。その結果、2016 年度に控えた校務用の PC リプレースにおける、2 in 1 タブレット デバイスの導入を検討しました。

システム概要と導入の経緯、構築
「アプリケーションへの対応」と「画面サイズ」、「携行性」を考え、Surface Pro 4 の導入を決定

全教員へ配布する校務用 PC を 2 in 1 タブレット デバイスへリプレースすることで、教員は普段利用しているデバイスをそのまま授業で活用できます。そこでは前述の課題が解決されるだけでなく、教員自身が授業でデバイスを活用しようという意識の向上も期待できたのです。

桜川市 教育委員会 学校教育課 企画・営繕グループ 主事 杉本 吉行 氏は、このねらいについて次のように説明します。

桜川市教育委員会
学校教育課
企画・営繕グループ
主事
杉本 吉行 氏

「検討の背景には、先生方が ICT を活用した授業を行う回数を増やしたいという思いがありました。2014 年度に導入したタブレット デバイスは、台数の問題から、専用デバイスとしての利用ができません。活用数を増やすことが難しく、これでは先生方の『授業での ICT 活用スキル』の向上も期待できないでしょう。しかし校務用 PC のリプレースとして貸与することで、その教員専用のデバイスとなりますから、授業で利用される機会も増え、先のスキルも向上すると考えたのです」(杉本 氏)

桜川市教育委員会がこの 2 in 1 タブレット デバイスに求めた条件としては、まず、これまで使用してきたアプリケーションが問題なく動作することが挙げられます。「SKYMENU」をはじめとする教育支援アプリケーションや、校務で使用する Microsoft Office を動作させるには Windows 搭載のデバイスであることが必須条件でした。

さらに、液晶ディスプレイの画面サイズとそこでの視認性も重要な評価指標だったといいます。画面サイズが小さいと、校務で用いるアプリケーションが使用しにくく、また授業においても、生徒が画面に近寄らないと内容の判別ができないといった問題がありました。実際、2014 年度に導入したタブレット デバイスは、画面サイズの小ささが教務用途での扱いにくさを生んでいるという指摘が挙がっていたといいます。

画面サイズは、こうした利便性だけでなく、児童生徒の健康配慮という観点からも重要な事項だったと、桜川市教育委員会 学校教育課 企画・営繕グループ 上野 崇 氏は続けます。

桜川市教育委員会
学校教育課
企画・営繕グループ
上野 崇 氏

「ICT 環境の整備は重要なテーマですが、同時に我々は子供たちの視力を低下させたくないという思いを持っていました。これまでも、LED モニターのブルー ライトを軽減すべくブルー ライト フィルターを貼付するといった取り組みを行っています。授業でのタブレット デバイス活用が増加すると考えた場合、子供たちがその画面を見る頻度も多くなるわけですから、できるだけ画面が大きくて発色がよく、文字が読みやすい製品を採用したかったのです。子供たちには ICT に親しみつつも、眼を大事にしてもらいたいと考えています」(上野 氏)。

一方で、一般的な画面が大きく重いデバイスでは、教員が持ち運ぶのを敬遠したり、落下時の機器の破損が増えたりするため、教員による活用のボトルネックとなっていました。

これら、「アプリケーションへの対応」と「画面サイズ」、「携行性」を鑑みたとき、そのすべてを高水準で備えたデバイスとして筆頭に上ったのが、2015 年 11 月に提供が開始された Surface Pro 4 でした。

12.3 インチの液晶ディスプレイを備える Surface Pro 4 は、教務用途として十分な画面サイズを備えていながらも、携行性にも優れています。また、縦横比が 3: 2 であるため、文書作成ソフトを多用する教員にとっても校務での利便性が担保できたのです。さらに、Surface Pro 4 のキーボードは、マグネットによる H/W 接続のため、簡単に脱着でき、Bluetooth 接続のような障害もありませんでした。そのため、ノート PC 用途とタブレット用途を柔軟に切り替えながらの、校務教務での確実なシームレス利用が期待できました。

これらのメリットが実際に教育現場で機能するかを判断すべく、桜川市教育委員会は 2016 年 4 月より、検証機をもった各学校での試用を実施。そこでの高評価を受け、同年 6 月に、Surface Pro 4 の導入を正式決定しました。

導入製品とサービス

  • Surface Pro 4

導入メリット

  • Surface Pro 4 の導入により、校務用と教務用デバイスの一本化を実現。教員個人専用のデバイスとして校務、教務でタブレット デバイスの利用機会が増えることで、全校的な教育シーンでの ICT 活用が推進された

  • マグネットによる H/W 接続が可能な Surface Pro 4 により、校務利用と教務利用のシームレス化が実現できた

導入の効果
校務と教務の双方で利便性高く利用できる Surface Pro 4 により、教員のタブレット デバイスへの理解や習熟度が向上

Surface Pro 4 による校務と教務のデバイス一本化へ向け、桜川市教育委員会はそこでのセキュリティを担保すべく、教務用と校務用のネットワーク分離を実施。無線時は教務用ネットワークに、有線時には校務用ネットワークへ自動接続されるしくみを構築しました。その後、デバイスのキッティングと教員への講習を経て、2016 年 10 月より、Surface Pro 4 の運用を開始しています。

桜川市教育委員会
教育指導課
指導主事
藤田 清一 氏

Surface Pro 4 の最大のメリットは、普段の校務で使用している PC 環境をそのまま教室に持ち運んで教務活用できるという点にあります。指導主事として教員の研修や学校運営の指導に携わる、桜川市教育委員会 教育指導課 指導主事 藤田 清一 氏は、次のように語ります。

「これまではノート PC とタブレット デバイスが別々の機器として存在していたため、ノート PC で自作した教材を授業のたびタブレット デバイスへ移す必要がありました。これは単純に手間になりますし、うまくデータを移動させられないといったトラブルにつながることもありました。教員は多忙ですので、そうしたわずかな時間や労力さえも、デバイス活用を躊躇するきっかけとなってしまいます。Surface Pro 4 を導入したことで、こういったトラブルを減らすと同時に、積極的な活用を促すことにも期待できるでしょう」(藤田 氏)。

校務と教務が一台の PC で一貫し行えることで、教員のタブレット デバイスへの理解や習熟度はおのずと向上します。そこでは、藤田 氏が語る利用シーンの増加やトラブル減少などに加えて、新たな利用アイデアの創出による活用の幅の広がりも期待できるでしょう。

また、Surface Pro 4 を導入した各校の教員や ICT の担当員からは、ディスプレイの画質も高く評価されているといいます。解像度だけでなく発色にも優れる Surface Pro 4 は、視認性が高く、目の負担の軽減が期待できるため、児童生徒の視力への影響に配慮したうえで ICT の活用が推進できるのです。

Surface Pro 4 を利用した授業風景。校務と教務でデバイスのモードをシームレスに切り替えられるため、授業でのデバイス利用回数が増加した

机上巡視ではデバイスの画面を児童生徒に見せながら授業が進められる。Surface Pro 4 は解像度が高く発色にも優れるため、以前のデバイスと比較しそこでの視認性が向上した

今後の展望
質の高い教育をすべての児童生徒へ提供すべく、PDCA を実践し ICT 環境の整備を進めていく

導入から間もないこともあり、Surface Pro 4 の導入効果が目に見える形で現れるのはこれからとなります。上野 氏は、今後、教育指導課の職員と各学校を回り、今回の取り組みをはじめとした ICT 環境整備の効果を検証するとともに、そこでの課題を探りさらなる PDCA を実践していきたいと意気込みます。

「Surface Pro 4 はたいへん優れたなデバイスだと感じています。当然これは子供たちの未来に対する投資となるため、現環境でしっかりとした導入効果を出し、それをもって次の段階の ICT 環境整備へ繋げるという好循環を実現できればと考えています。そのためには、すべての先生に ICT 機器を使用してもらうことが前提となり、ハードウェアだけでなくそこで動作するソフトウェアもまた重要になるでしょう。これまでの試行錯誤で得た知見を活かし、環境の整備に加えて、活用方法の指導といったアフター フォローまで教育委員会で行い、先生の ICT 活用を支援していきたいと考えています」(上野 氏)。

こうした好循環の先にあるのは、児童生徒全員へ向けた、質の高い教育の提供です。その一方で、ICT はあくまでツールであり、ICT の導入自体を目的にしてはいけないと、藤田 氏は桜川市教育委員会の考えを繰り返します。

「教育の目的はあくまでも『子供たちの学習』です。鉛筆とノートといったアナログ ツールの効果が高い領域であれば、その領域ではそちらを使うべきでしょう。ICT 環境の整備を急ぐあまり学習効果を下げてしまっては本末転倒なのです。ですが、Surface Pro 4 といった最新の ICT が新たな可能性を生み出すことは間違いないと断定できます。さまざまな可能性を模索すべく、各校での活用状況とそこでの課題を次年度に反映しつつ、『教育のツール』として自然なかたちで取り入れていきたいと考えています」(藤田 氏)。

Surface Pro 4 の導入により、授業における ICT 活用の大きな前進を期待する、桜川市教育委員会。これまで PDCA の実践により着実な成果を挙げてきた同委員会は、Surface Pro 4 においても確かな導入効果を生み出すに違いありません。すべての児童生徒へ質の高い教育を提供するというビジョンの実現へ向け、桜川市はこれからも新たな可能性を切り拓いていきます。

ユーザー コメント
「Surface Pro 4 はたいへん優れたなデバイスだと感じています。当然これは子供たちの未来に対する投資となるため、現環境でしっかりとした導入効果を出し、それをもって次の段階の ICT 環境整備へ繋げるという好循環を実現できればと考えています。そのためには、すべての先生に ICT 機器を使用してもらうことが前提となり、ハードウェアだけでなくそこで動作するソフトウェアもまた重要になるでしょう。これまでの試行錯誤で得た知見を活かし、環境の整備に加えて、活用方法の指導といったアフター フォローまで教育委員会で行い、先生の ICT 活用を支援していきたいと考えています」

桜川市教育委員会
学校教育課
企画・営繕グループ
上野 崇 氏

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