通信キャリア各社の携帯電話を販売する「認定ショップ」を全国展開するコネクシオ株式会社は、業界を牽引するリーディング カンパニーの 1 社です。同社は、直営店で 268 店舗、運営委託先も含むと 420 店舗の通信キャリア認定ショップを運営しています (2016 年 9 月現在)。
同社は、2013 年から通信キャリア認定ショップ直営店で稼動する POS システムの刷新を検討。いくつもの商品検討の末、株式会社インターネットイニシアティブが提供する、タブレット デバイス「Surface Pro 3」を活用した POS システム「IIJ GIO POSサービス」の導入を決定しました。2016 年 2 月に開発を完了させ、翌月より運用を開始し、大幅なコスト削減と、従来型の POS システムが抱えていた業務効率面での課題解消が期待されています。
プロファイル
1997 年に設立されたコネクシオ株式会社は、通信キャリア各社の一次販売代理店として、携帯電話が普及する以前から全国で通信キャリア認定ショップを運営しています。市場の拡大とともに成長を続け、現在では、直営店で 268 店舗、運営委託先も含むと 420 店舗を運営しています (2016 年 9 月現在)。法人向け端末や携帯関連ソリューション、IoT ソリューションの提供といった法人事業も展開する同社は、業界のリーディング カンパニーの 1 社として、数多くの通信キャリア認定ショップを運営する販売力、企画力を活かし、携帯電話業界のさらなる発展に貢献していきます。
導入の背景とねらい
クライアント サーバー型 POS システムからの脱却を図るべく、タブレット型 POS システムへの移行を検討
1997 年に伊藤忠商事株式会社の 100% 出資子会社として設立されたコネクシオ株式会社 (以下、コネクシオ)。通信キャリア各社の一次販売代理店として、携帯電話が普及する以前から通信キャリア認定ショップを運営する同社は、市場の拡大とともに成長を続け、2006 年には東証二部へ上場。翌 2007 年には東証一部への指定替えを果たしています。
現在 268 の通信キャリア認定ショップ直営店を運営するコネクシオですが、店舗数の増加に伴い、既存の POS システムに課題が生まれてきたといいます。コネクシオ株式会社 情報システム部 部長 高木 健一 氏は、従来型 POS システムの課題について、次のように説明します。
「これまで通信キャリア認定ショップでは、コンビニエンス ストアなどで使われているものと同じようなクライアント サーバー型の POS システムを導入していました。こういった POS システムは、5 年に 1 度のサイクルでハードウェアをリプレースする必要があり、そこには巨額のコストが発生します。200 以上の店舗を運営する当社にとっては大きな負担であり、新店舗開店の際にも同システムを調達する必要があるため、店舗拡大においてもコストを引き上げる要因となっていました。さらに、POS レジは使っていくうちに故障することがあり、故障時のダウン タイムによる機会損失も課題のひとつでした」(高木 氏)。
こうしたコスト面の課題に加え、従来型 POS システムには、通信キャリア認定ショップを運営する同社ならではの「業務効率の課題」もあったといいます。POS システムの移行プロジェクトを指揮した、コネクシオ株式会社 情報システム部 業務システム課 課長 黒崎 健宗 氏は、次のように説明します。
「通信キャリアごとに、POS 業務で必要となるシステム要件が異なります。従来型 POS システムの場合、そういった異なる要件への対応ができず、またレジの操作も物理キーに縛られてしまうため、帳票の作成といった手作業を必要とする業務が多く発生していました。また、コストの背景から、ほとんどの店舗では POS レジを 1 台しか設置することができず、接客スペースにレジを設置できない店舗が多かったのです。そうすると、スタッフはレジを使うたび、接客スペースから離れてレジまで行き来する必要があります。これらは業務効率化を図るうえでの大きな課題でした」(黒崎 氏)。
これらの課題を解消すべくコネクシオが注目したのが、タブレット デバイスを活用した POS システムです。物理キーに縛られないタブレット デバイスであれば、同社が求める通信キャリアごとの要件に沿った POS 業務を行うことが可能です。処理作業はデータセンター上で行われるため、店舗にはタブレット デバイスを整備するだけでよく、コストや設置台数の問題もクリアできます。コネクシオは同ソリューションが、従来のクライアント サーバー 型 POS システムの抱える課題を解消し得ると考え、導入へ向けた情報収集を開始しました。
システム概要と導入の経緯
IIJ が提供する POS システムを採用。バック オフィス業務への対応も見据え、Windows タブレット デバイスの採用を検討
2013 年より開始した POS システムの移行検討にあたり、コネクシオでは RFI (情報提供依頼書) を作成のうえで、6 社のベンダーを対象に情報提供を依頼しました。同プロジェクトの企画立案を行った、コネクシオ株式会社 情報システム部 システム推進課 課長 山田 伸二 氏は RFI に記載した条件について次のように語ります。
「条件としては、まずタブレット デバイスを使用すること。次に当社が必要とするセキュリティ要件を満たすこと。そして、これらを当社が目指すコスト内で実現することの 3 点がありました。クラウドとオンプレミスのどちらで処理を行うかは限定していませんでしたが、おそらくクラウドになるだろうと考えていました」(山田 氏)。
その後、ベンダーを 4 社にまで絞り込み、RFP (提案依頼書) を出したうえでコンペを実施。最終的に、株式会社インターネットイニシアティブ (以下、IIJ) が提供する「IIJ GIO POSサービスを利用したネイティブ アプリ開発」を採用しました。検討当時、IIJ GIO POSサービスは iOS を活用したソリューションであり、本件においても iOS での開発を予定していました。しかし、各店舗へ配置するタブレット デバイスを業務用 PC としても利用することで、同社が目指す業務効率化がさらに進められると考え、急遽 Windows OS への切り替えが検討されました。この仕様変更には、同社の次のような思いもあったと、高木 氏は語ります。
「当社をはじめとし、通信キャリア認定ショップを運営する販売代理店のほとんどは従来型 POS システムを利用していますが、いずれはタブレット型の POS システムが業界標準になるだろうと想像していました。iOS も優れた OS ですが、システムの汎用性や、POS 業務以外でのデバイス用途も考えた場合、汎用性の高い Windows OS であることが、業界的には望ましいでしょう。IIJ も従来型 POS に対抗していこうという立場かと想像しましたので、無理を承知で Windows OS への変更をお願いしました」(高木 氏)。
Windows OS への対応について、株式会社インターネットイニシアティブ 産業プロフェッショナルサービス本部 プロフェッショナルサービス1部 プロフェッショナルサービス3課 課長 太田 淳 氏は、その経緯を次のように振り返ります。
「IIJ GIO POSサービスを Windows OS で実装することは、技術的には可能でした。しかしその場合、クライアント サイドのネイティブ アプリはほぼ新規で開発しなければなりません。また、ストア アプリとして開発することが予想されましたが、当時はその技術を持った開発者も多くはありませんでした。ですが、当社サービスが業界のスタンダード ソリューションとなる大きな機会でしたので、Windows OS での開発をお引き受けし、ストア アプリ専任の開発チームを結成しました」(太田 氏)。
システムの構築
現場からの高い評価を受け、「Surface Pro 3」の採用を決定
Windows OS の実装が可能であることを受け、コネクシオは 2014 年 3 月に、IIJ GIO POSサービスの採用を正式に決定。同年 4 月より、通信キャリア認定ショップの業務担当者も交え、業務内容の洗い出しを実施。新たな POS システムの要件定義を開始しました。
同時期よりスタートした 2 in 1 タブレット デバイスの機種選定では、現場からの高い評判を受け、Surface Pro 3 の採用を決定。当初、コネクシオでは Surface Pro 3 ではなく、他社製のデバイスを導入予定だったといいます。高木 氏と山田 氏は、Surface Pro 3 の採用を決定した経緯について、次のよう説明します。
「2014 年秋の段階では、別の 2 in 1 タブレット デバイスの採用を予定していました。同デバイスでコスト試算もしていたのですが、そのタイミングで発売開始した Surface Pro 3 を目にして、こちらに変更できないかと考えました。Surface Pro 3 は、まずデザイン性に優れており、お客さまの目の前で操作し画面をお見せするデバイスとして非常に魅力的でした。また、実際に現場のスタッフに試用して比較してもらったところ、デザインだけでなく、たとえばスタンドで自立するといったような利便性においても優れていることがわかり、Surface Pro 3 を希望する声も多かったのです。現場のスタッフが有効に活用してこそ効果を成すシステムですので、予算も含め計画を見直すことにしました」(高木 氏)。
「当初予定していたデバイスと比べ、Surface Pro 3 は高価でした。何千台も導入するとなると、コスト面では悩ましい部分がありました。しかし、POS 業務だけでなく業務用 PC としても活用する以上、業務効率化や現場の士気向上という観点は非常に重要となります。結果、Surface Pro 3 が最適という結論に至りました」(山田 氏)。
Surface Pro 3 の採用に伴い、画面サイズなどの仕様も確定し、ネイティブ アプリを含む本格的な開発がスタートしました。開発は、システムの完成度を高めるべく約 1 年半ほどかけて進められ、2016 年 3 月より、IIJ GIO POSサービスと Surface Pro 3 を活用した新 POS システムの運用が開始されました。
同プロジェクトをリードした、コネクシオ株式会社 情報システム部 業務システム課 二宮 智和 氏は、綿密な開発を進めたことで、クオリティの高いシステムが完成したと笑顔で語ります。
「特に時間を使ったのは基本設計の部分です。要件定義のフェーズで現場のスタッフへのヒアリングを行い、業務上で必要となる機能を過不足ないよう盛り込みました。結果的に時間はかかってしまいましたが、キャリアごとに求められる要件をシステムに反映することができ、納得のいく POS システムを完成できました。細かな部分まで IIJ に対応いただけた点も、高クオリティなシステムを完成できた要因だと考えています」(二宮 氏)。
導入製品とサービス
- Surface Pro 3
導入メリット
Surface Pro 3 とタブレット型 POS システムへ移行することで、大幅なコスト削減を期待
Surface Pro 3 で稼動するネイティブ アプリにより、キャリアごとに異なる POS 業務をデバイス上で完結できるようになった。また、帳票作成とその保管業務が省け、業務効率とセキュリティ リスクが改善できた
店舗での接客時間が短縮され、CS 向上が期待できるようになった
すきま時間を活用して Surface Pro 3 で事務作業を行うことで、さらなる業務効率化が期待できるようになった
導入の効果
大幅なコスト削減の見通し。接客時間の短縮により、CS 向上にも期待
2016 年 3 月より新たな POS システムの運用を開始したコネクシオですが、その効果は既に現れ始めているといいます。二宮 氏は、業務改善面の効果を挙げます。
「導入後、1 週間は現場からの問い合わせもありましたが、その後は大きなトラブルもなく、これまでの POS システムと比べてもスムーズに運用できています。具体的な効果としては、まず帳票作成や保管の手間が省けたことが挙げられます。また、接客現場では契約時に、PC 画面に表示される情報を紙に書き写して、お客さまにお見せすることがあるのですが、新システムでは Surface Pro 3 の画面を見せるだけで確認いただけるようになりました。こういった帳票類は個人情報にあたるため、厳重な保管が必要でした。ペーパーレス化は、業務改善に加え、セキュリティ リスクの低減としても大きな効果があるといえるでしょう」(二宮 氏)。
こうした業務改善の効果は、顧客満足度 (CS) 向上にも結びつくことが期待されています。たとえば、Surface Pro 3 上で接客にかかわる全業務を完結することにより、接客時間と顧客の待ち時間を短縮できます。また、手元のデバイスで在庫状況をリアルタイムに確認できるため、オペレーション ミスの低減も期待できます。さらに、すきま時間に Surface Pro 3 をノート PC として活用することで、事務作業も効率化でき、そこから生み出された時間を接客に充てることが可能です。
高木 氏はこれら業務改善や CS 向上といった効果に加え、従来環境と比較し大幅にコストを削減できる点も、高く評価します。
「新 POS システムへの移行により、(従来型 POS システムを使い続けた場合と比較して) 大幅なコスト削減を見通しています。これはデバイスの調達やシステム開発費用、IIJ のクラウド利用料なども含めた見通しです。コスト削減という観点だけでも、新システムへの移行は大きな意義があったと考えています。また、万が一デバイスが故障した場合にも、予備機の Surface Pro 3 をフロントに出すだけで、店舗運営を継続できます。このように事業継続性が向上できた点も、評価できるでしょう」(高木 氏)。
今後の展望
順次導入店舗を拡大。変化の早い携帯業界に対応すべく、今後も POS システムのアップデートを続けていく
コネクシオは現在、通信キャリア認定ショップの直営店へ、新 POS システムの導入店舗拡大を計画しています。
「2016 年 10 月 8 日現在、新 POS システムを導入しているのは 8 店舗のみですが、順次導入店舗を拡大していきます」(黒崎 氏)。
また、高木 氏は、IIJ の技術力と Surface Pro 3 のデバイスとしての優位性を評価し、今後も POS システムのアップデートを続けていくと語ります。
「今回のプロジェクトを通じ、IIJ の高い技術力と優れた進行管理能力、そして Surface Pro 3 のデバイスとしての優位性を実感することができました。携帯業界は非常に変化が早く、通信キャリア認定ショップに求められる指標やシステム要件も日々変わっていきます。IIJ やマイクロソフトをパートナーとして、今後も順次、POS システムのアップデートを続けていきたいと思います」(高木 氏)。
ユーザー コメント
「新 POS システムへの移行により、(従来型 POS システムを使い続けた場合と比較して) 大幅なコスト削減を見通しています。これはデバイスの調達やシステム開発費用、IIJ のクラウド利用料なども含めた見通しです。コスト削減という観点だけでも、新システムへの移行は大きな意義があったと考えています。また、万が一デバイスが故障した場合にも、予備機の Surface Pro 3 をフロントに出すだけで、店舗運営を継続できます。このように事業継続性が向上できた点も、評価できるでしょう」
コネクシオ株式会社
情報システム部
部長
高木 健一 氏
パートナー企業
- 株式会社インターネットイニシアティブ
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