本格的な国際化が進行する昨今においては、「これまでにない新しいものを生みだす力」をもつ人材が必要とされています。東海大学付属高輪台高等学校・中等部はそこへ向け、「自ら考え、解決していく力の育成」であるアクティブ ラーニングを実践すべく、積極的な ICT 環境の整備を推し進めています。

東海大学付属高輪台高等学校・中等部

2007 年度にアクティブ ボード (電子黒板) を導入し、2015 年度には、生徒向けに 600 台の Surface Pro 3 を配付することで、アクティブ ラーニングに不可欠な授業の双方向性を創出してきました。さらに 2016 年度には、教員の、ICT を活用した授業スキルをさらに高めるべく、教務と校務を一本化したデバイスとして、110 台の Surface Book を教員向けに配付しました。

プロファイル

人生の基盤となる正しいものの見方と考え方を養うことを方針とし、「夢を実現させるための価値ある一貫教育」を実践する、東海大学付属高輪台高等学校・中等部。同校は 2004 年度から、文部科学省の定めるスーパーサイエンスハイスクール (SSH) に 3 期連続 13 年間採択されるなど、その教育力が高く評価されています。同校は今後も、グローバルで活躍する人材を輩出する学校として、成果を上げていきます。

導入の背景とねらい
教員の ICT 教育への理解とスキルを強化すべく、校務用と教務用で分かれていたデバイスの一本化を検討

「人生の基盤となる正しいものの見方と考え方」を教育方針に掲げ、国際化が増す社会で活躍できる人材育成を目指す、東海大学付属高輪台高等学校・中等部。同校は、先の教育方針を実現すべく、アクティブ ラーニングに注力。2007 年度にアクティブ ボード (電子黒板) を導入し、2015 年度には生徒向けに 600 台の Surface Pro 3 を配付するなど、積極的な ICT 環境の整備を進め、授業のインタラクティブ性を高めています。

東海大学付属高輪台高等学校・中等部だけでなく、(文部科学省の方針もあり) 昨今、教育機関の ICT 化が急速に進んでいます。たとえば 2015 年には、東京都荒川区が小学校全 24 校へ Windows タブレット デバイス を配付するなど、教育環境の変化は活発化しているといえるでしょう。

東海大学付属高輪台高等学校・中等部 校長 片桐 知己治 氏は、こうした変化を受け、単に ICT 環境の整備だけではない、一歩進んだ取り組みの必要性を語ります。

東海大学付属高輪台高等学校・中等部
校長
片桐 知己治 氏

「今後、小学校で ICT 教育を経た児童が (当校をはじめとした) 中学校へ入学するということを前提に、ICT への取り組みを考えねばなりません。デジタル ネイティブ世代が中学校、高校へと進学する場合、もはや『そこで初めて ICT に触れる』という状況ではないのです。十分な ICT 教育が提供できない場合、生徒やその父兄は、以前の環境と比較して『この学校 (先生) で大丈夫だろうか』と感じてしまいます。そのため、これからは単なる ICT 環境の整備だけでなく、それを活用した教職員のスキルや理解の向上も求められるでしょう。当校では、それを見据えた取り組みを現在進めています」(片桐 氏)。

片桐 氏が語るとおり、東海大学付属高輪台高等学校・中等部では生徒向けの ICT 環境整備と並行し、教職員向けのプログラムも進めてきました。たとえば、2015 年度では、生徒への Surface Pro 3 の配付と並行し、教務デバイスとして同じく Surface Pro 3 を教員向けに導入しています。

教員向けに導入した Surface Pro 3 は、成績処理や資料作成を主用途とした校務用ノート PC とは別に配付。これまで、教務における電子教材の活用は、教室備え付けのノート PC に、校務用ノート PC で作成した電子教材を USB メモリ経由で保存、そこから電子黒板などへ表示させるという方法を採っていました。Surface Pro 3 導入の狙いは、電子教材の保存先が Surface Pro 3 になることによるシームレス化と、それに伴う、教員による電子教材の積極活用にありました。

しかし、校務用と教務用で 2 台のデバイスを利用するという環境が、結果として、ICT 教育を「積極的に行う教員」と「そうではない教員」のギャップを生むこととなったと、片桐 氏は説明します。

「これまで校務用や教室備え付けのものをメインに利用してきた背景から、教員は従来のノート PC での操作に慣れていました。そのため、2015 年度に導入した Surface Pro 3 は、積極的にそれを活用しようとする教員以外ではあまり利用されず、結果として教員間のギャップを生んでしまいました。このギャップを解消し、当校の全教員が高いレベルの ICT 教育を実践するには、教務用デバイスをまず『使わせる、慣れさせる』ことが不可欠です。校務で利用するデバイスが教務でも活用できれば、必然的に、教員は教務用デバイスを日々利用することとなります。ちょうど、2016 年 4 月に校務用 PC のリプレースを控えていましたので、教務デバイスと校務デバイスの一本化について検討を開始しました」(片桐 氏)。

システム概要と導入の経緯
ノート PC 用途、タブレット用途それぞれに求められる要件を高いレベルで備えていることを評価し、Surface Book の採用を決定

東海大学付属高輪台高等学校・中等部は、2016 年 1 月より、教務と校務を担うデバイスの検討を開始。デバイスの一本化においては、デバイス選定と並行し、ネットワーク構成の見直しとセキュリティについても検討が必要でした。

東海大学付属高輪台高等学校・中等部 情報管理室室長代行・SSH担当 教諭 山田 武範 氏は、次のように説明します。

東海大学付属高輪台高等学校・中等部
情報管理室室長代行・SSH担当 教諭
山田 武範 氏

「当校では、生徒の成績管理システムなど機密情報へアクセスする教員用ネットワークと、生徒向けに一部開放された生徒用ネットワークを敷いています。これまでは、教員用ネットワークへのアクセスを校務用ノート PC のみに制限することで、セキュリティを担保していました。デバイスを一本化する場合、教員用ネットワークと生徒用ネットワークへのアクセス権限を、セキュリティを保った状態で、環境ごとシームレスに切り替えられるよう整備する必要がありました」(山田 氏)。

同背景から、教務と校務を行うデバイスに求められる要件として、まずセキュリティ性が挙げられました。また、校務用デバイスには、画面サイズや性能といった面で高い作業性が必要になります。さらに、常に持ち運ぶための携行性、机上巡視といった場面でスムーズな作業を行うための操作性など、教務用と校務用を一本化したデバイスに求められる要件は多岐にわたりました。

片桐 氏と山田 氏は、検討から間もなく提供を開始した Surface Book が、これら要件のすべてを高水準で備えていたと語ります。

「2016 年 2 月に Surface Book の案内を受けましたが、ノート PC としても、そしてタブレット デバイスとしても非常に完成度が高く、その場で『これだ』と感じたことを覚えています。Surface Book はまず、優れた性能と大きな画面を搭載しながら、携行性に優れていました。また、Surface Pro 3 の導入で、ペン入力の精度を含む、タブレット用途としての高い完成度も理解していました。現在まだ未実装ですが、Windows 10 で搭載された生体認証機能『Windows Hello』に対応するカメラも搭載しており、セキュリティ レベルの向上も期待できます」(片桐 氏)。

「Surface Book ほどの性能が必要なのか、という意見があるかもしれませんが、教員は同デバイスを 4 年間利用することとなります。中には、動画教材を積極的に作成し授業で活用する教員もいます。今後の当校における ICT 教育の (教員理解やスキルの) 発展に、デバイスがボトル ネックにならないという点で、性能を含む作業性は非常に重要となるのです。Surface Book は Windows 10 を搭載しているため、既存の業務アプリケーションとの互換性が懸念されましたが、その検証工数を経てでも採用すべきデバイスだと感じました」(山田 氏)。

Surface Book の案内から間もなく、東海大学付属高輪台高等学校・中等部は同デバイスの採用を正式決定。その後、デバイス調達とアプリケーション互換性の検証、そしてネットワークの構築が進められ、2016 年 4 月より、Surface Book 110 台の全教員への配付を実施しました。

セキュリティを強化すべく、USB 型のセキュリティ キーを採用。職員室内のネットワーク内でかつ、セキュリティ キー をもつ USB を挿さないと教員ネットワークへアクセスできない構成をとることで、利便性とセキュリティの担保を実現している

導入製品とサービス

  • Surface Book

導入メリット

  • 教務用と校務用のデバイスを Surface Book へ一本化することで、授業への ICT 活用を「積極的に行う教員」と「そうではない教員」とのギャップが解消できた

  • ノート PC 用途、タブレット用途それぞれで完成度の高い Surface Book を採用したことで、これまでの校務の効率を落とすことなく、電子教材活用の利便性も高めることができた

  • これまで ICT を積極活用できなかった教員の教務用デバイス利用が推進されることで、今後、ICT 教育を次の次元へ発展させるための土壌が整備できた

導入の効果
電子教材活用の利便性が向上。ICT 教育をさらに発展していくための土壌が整備できた

全教員のデバイスを Surface Book へ一本化した、東海大学付属高輪台高等学校・中等部。片桐氏はこの取り組みにより、今後、同校の ICT 教育をいっそう豊かなものにしていくための土壌が築けたと語ります。

「Surface Book の導入により、今後、ICT 教育を次の次元へ発展させるための土壌が整備できたと思います。昨年度に教務用デバイスとして Surface Pro 3 を導入したこともあり、Surface Book へ一本化したことによる劇的な変化というのは、実はまだありません。ただし、これまで ICT を積極活用できなかった教員の教務用デバイス利用が推進されることで、教育上の効果が出てくると確信しています。そこへ向け、今回の環境整備だけでなく、教員へ向けた活用支援といった取り組みも進めていきます」(片桐氏)。

現在同校は、マイクロソフト協力のもと、教員向けの研修を実施しています。さらに、生徒や保護者の評価のもと毎年実施している、「ベストティーチャー制度」と呼ばれる評価制度の指標へ、「ICT の有効活用」という項目を盛り込むことで、教員が能動的に教育現場で ICT を活用する動機付けも強化しています。これらは、Surface Book の導入により先の土壌を築いたことで、ようやく本格的な取り組みとして開始することができたと、片桐 氏は語りました。

Surface Book を活用する山田先生の授業風景。今後、こうした積極的な ICT 活用が全教員に浸透していくことで、さらなる ICT 教育の発展を見通している

また、自らも教壇に立ち授業を行っている山田 氏は、教員、そしてシステム管理者の視点から、Surface Book の利点について次のように語ります。

「Surface Pro 3 を使用してきた 2015 年と比べ、電子教材活用の利便性が高まったと感じます。(教材を) 作成したデバイスをそのまま授業で利用できますので、シームレスな運用が可能になりました。また、ペン入力の精度はさらに向上していますので、タブレット用途としての有効性は以前よりも向上しているでしょう。また、システム管理者としてみると、デバイス一本化におけるセキュリティ リスクを軽減する機能を備えている点も魅力です。片桐も申しましたが、Surface Book は Windows Hello の顔認証に対応したカメラを備えているため、認証レベルを一段階上げることも可能ではないかと考えています」(山田 氏)。

校務で Surface Book を利用する職員室の風景。ドックにつながった (セキュリティ キーを備えた) USB で認証を行い校務ネットワークへアクセスすることで、セキュリティを担保している

今後の展望
1 人 1 台の世界の実現へ向け、ICT 環境の整備とその教員の有効活用を推し進める

2015 年度では生徒向けに 600 台の Surface Pro 3 を、また、2016 年には教職員向けに Surface Book を導入し、ICT 教育のさらなる発展を目指す東海大学付属高輪台高等学校・中等部。片桐氏は、今後の同校の ICT 教育について、生徒 1 人ひとりが 1 台のデバイスを購入するフェーズへ移行していくと語ります。

「現在は校内に設置した (生徒向け) Surface Pro 3 を利用し、ICT 教育を行っています。しかしこの方法では、反転学習や休学時の教育継続といった面でデバイスや ICT を活用することができません。アクティブ ラーニングをより深く実践するためには、生徒 1 人ひとりが 1 台の専用デバイスを利用することが必要になると考えています。この構想を実現するためには、生徒側にデバイスの購入をお願いすることになります。相応の購入意義を提示するためには、いかに当校の教員が ICT 教育への理解とスキルを所有し、それを実践しているか。さらにそのための ICT 環境が整備されているかを示すことが重要になります。教員向けの環境も整備できましたので、これから 2 年ほどかけて、1 人 1 台の世界を目指し、まい進していきたいと思います」(片桐 氏)。

こうした同校の先進的な取り組みは、教育業界全体へ好影響を与えることも期待されています。東海大学付属高輪台高等学校・中等部では、国外を含めた学校機関からの見学を積極的に受け入れています。同校だけにとどまらず、今後、東海大学全体や他の学校機関へも、最先端の ICT 教育が伝播されていくでしょう。

「日本マイクロソフトには、今後もぜひ、先進的な事例や教育システムを紹介していただきたいと思います。たとえば Skype for Business や Office 365 を用いれば、学内だけでなく学外とのコミュニケーションもより活性化できるでしょう。デバイスだけでなく、こうしたサービスなども含めた最新の ICT 活用法を共有いただきたいですね」(片桐 氏)。

ICT 環境の整備だけでなく、それを最大限活用するための教員育成へも力を注ぐ、東海大学付属高輪台高等学校・中等部。ICT 教育の先端に立つ同校は、最適なアクティブ ラーニングの実現へ向け、今後もまい進していきます。

ユーザー コメント
「2016 年 2 月に Surface Book の案内を受けましたが、ノート PC としても、そしてタブレット デバイスとしても非常に完成度が高く、その場で『これだ』と感じたことを覚えています。Surface Book はまず、優れた性能と大きな画面を搭載しながら、携行性に優れていました。また、Surface Pro 3 の導入で、ペン入力の精度を含む、タブレット用途としての高い完成度も理解していました。現在まだ未実装ですが、Windows 10 で搭載された生体認証機能『Windows Hello』に対応するカメラも搭載しており、セキュリティ レベルの向上も期待できます」

東海大学付属高輪台高等学校・中等部
校長
片桐 知己治 氏

(マイナビニュース広告企画:提供 日本マイクロソフト)

マイクロソフト法人導入事例サイトはこちら

[PR]提供: