東京都墨田区に拠点を構え総合建設業を営む、坂田建設株式会社。主に土木、建築工事を請け負う同社は、60 年以上もの間、地域の工事現場を支えてきました。

土木、建築業は、現在、東京オリンピックの影響でそのニーズが首都圏に集中しつつあり、競争は激化の一途をたどっています。とくに土木事業は入札契約制度による競争が激しい分野となり、単純な価格競争だけでなく、独自のノウハウも必要とされます。このような背景において、坂田建設株式会社では、2014 年の iPad 導入を皮切りに、近年、ICT 活用による土木現場の生産性向上と業務効率化を積極的に進めてきました。さらに 2016 年には、デバイスを Microsoft Surface 3 へ変更することで、業務効率化を大きく発展させています。坂田建設株式会社では今後、オフィス内に設置する社内 PC を Surface 3 へ一本化することで、働く場所を選ばない労働環境の整備とワーク スタイル変革の実現へも取り組んでいきます

プロファイル

950 年の設立以来、60年 以上にわたり、土木と建築工事を主とした総合建設業を行う坂田建設株式会社。東京都墨田区に拠点を構える同社は、「信義を守り相協力して共通の目的を完遂する」ことを社是とし、安全で豊かな社会環境をつくるため、長年培った技術と対応力をもってサービスを提供し続けていきます。

導入の背景とねらい
場所を選ばずに業務が行える環境の整備を見据え、ICT 活用を推進

1950 年の設立以降、60 年以上にわたり地域に密着した総合建設業を営む、坂田建設株式会社 (以下、坂田建設)。同社の従業員はその業務の性質上、工事現場と事業所とを日々行き来する必要があります。とりわけ、遠隔地における工事が多い土木工事において、現場事務所から現場までの移動時間や現場管理をするために現場に常駐する時間は、業務効率を妨げる大きな要因となります。坂田建設ではこの課題を解消すべく、「場所を選ばずに業務が行える環境の整備」を見据えた ICT の活用を、2014 年の iPad 導入を皮切りにして進めています。

坂田建設株式会社

土木の工事現場で業務する従業員向けに iPad を配付したこの取り組みは、生産性と業務効率を向上しました。坂田建設株式会社 取締役 土木本部長 鈴木 正司 氏は、iPad の配付により、特に工事現場のオペレートが最適化できたと語ります。

坂田建設株式会社
取締役
土木本部長
鈴木 正司 氏

「iPad を導入したことにより、たとえば図面の PDF 化によるペーパー レス化や手荷物の削減、移動中のメール対応といった面で、一定の効果を得ることができました。また、工事現場での作業指示に際し、iPad で撮影した現場写真へ修正箇所を書き込むことで、指示内容をより精密化することも可能になりました。これらは、現場の生産性を向上させるとともに、認識の齟齬やヒューマン エラーの減少にも貢献し、当社のサービス品質の向上に結びついたと考えています」(鈴木 氏)。

2014 年の取り組みは、ソフトバンク株式会社 (以下、ソフトバンク) が提供する LTE 対応の iPad を配付することで、さまざまなエリアにある工事現場の業務を最適化しました。iPad の配付から間もない 2015 年初頭からは、「場所を選ばずに業務が行える環境の整備」をさらに 1 段階推し進めるための ICT 活用についても、同社は検討を開始します。

「iPad の配付によって、工事現場のオペレーションの質を向上することができました。しかしすきま時間の有効活用という点は、依然として課題が残っており、社内業務が出先でも行える環境の整備が急務でした。iPad は情報の閲覧性には優れるものの、入力作業に適しているかというと、そうではありません。加えて、土木業務や現場で使用するソフトウェア (CAD や工事写真整理ソフトウェアなど) の多くは、Windows で動作しています。当社が目指す ICT 活用においては、入力業務も行える Windows デバイスの配付が必要になると考えました。そこで、iPad の活用と並行しながら、ICT 活用を次期フェーズへ推し進める方法についても検討を開始しました」(鈴木 氏)。

システム概要と導入の経緯
社内業務が出先でも行える最良のデバイスとして、iPad から Surface 3 への切り替えを決定

坂田建設では、ICT 活用の次期フェーズとして、「出先のすきま時間の有効活用」を目的に掲げ、検討を進めました。その実現においては、これまで現場事務所内で行う必要のあった以下の業務を出先で行うことができるよう、環境を整備する必要があったといいます。

環境の整備に向けては、そこに適したデバイスの配付と、出先から社内システムへアクセスできる環境構築が不可欠となります。坂田建設は、この検討を本格化した 2015 年春にソフトバンクより、同時期に提供を開始した Surface 3 の提案を受けました。鈴木 氏は、ソフトバンクより提案を受けたこの Surface 3 が、課題を解決するデバイスとして最適だったと語ります。

「建設現場と異なり、土木の工事現場は日々その場所が変動しますので、現場への無線 LAN 環境の構築はできません。そのため、デバイスが LTE 接続に対応していることは必須要件でした。加えて、社内の業務システムへのアクセスも必要になりますので、Windows デバイスであることも求められます。Surface 3 はその双方を満たすとともに、キーボードを着脱するだけで、タブレットとしてもノート PC としても利用することができます。iPad で有していた情報の閲覧性を持ちながら、さらに入力作業も行えますので、これ以上のデバイスはなかったのです」(鈴木 氏)。

さらに、Surface 3 の導入は、坂田建設における TCO を最適化する大きな一歩にもなりえたといいます。これまで坂田建設では、iPad をサポート デバイスとして位置付けており、業務の中心を担うのは現場事務所内のノート PC でした。この状況は、デバイス コストが二重化するという観点から、TCO 上で課題だったのです。しかし、デバイスを Surface 3 に切り換えることで、こうした状況の打破が期待できたといいます。

坂田建設株式会社 管理本部 総務部 部長 池田 元一 氏は、Surface 3 の導入において期待した TCO 観点のメリットについて、次のように説明します。

坂田建設株式会社
管理本部
総務部
部長
池田 元一 氏

「単純なコスト比較をした場合、Surface 3 は iPad と比べてコスト高となります。しかしそれは、あくまで社内のノート PC と Surface 3 を並存させた場合の話です。『場所を選ばずに業務が行える環境の整備』が Surface 3 で実現できるのであれば、現在利用しているノート PC を撤廃し、Surface 3 への一本化を行うことも可能です。これは TCO 削減の面で大きな効果を生み出します。もちろん、突然一本化しては現場も混乱しますので、まず iPad を Surface 3 へ切り替え、操作性などに問題がないかを検証した後に、一本化を進めていくことを構想しました」(池田 氏)。

この構想のもと、坂田建設は 2015 年 8 月より、ネットワーク環境の整備についても検討を開始します。iPad は人と人との間でのやり取りを主としていたため、社内システムへのアクセスについては特に留意する必要がありませんでした。しかし、現場事務所における業務を出先でも行うべく採用する Surface 3 の場合、社内システムへのアクセスこそが重要になります。

「たとえばパトロール業務における帳票作成作業においては、社内にある帳票システムへのアクセスが必須となります。また、工事で使用する図面や写真などは、当社にとって非常に重要な機密データであり、セキュリティが確保された社内のサーバー上で管理すべきものです。Surface 3 を導入するうえでは、出先からこういった環境へアクセスすべく、ネットワークと社内システムの環境整備が必要です。2016 年の初頭まで、この点についての検討を進めました」(鈴木 氏)。

VPN の採用やファイル サーバーの整備といった計画立てが完了した 2016 年 3 月、坂田建設は正式に、iPad から Surface 3 への切り替えを決定。4 月から 5 月にかけてキッティングを行い、6 月より土木事業部の従業員 50 名に、Surface 3 が配付されています。

坂田建設が構想した、デバイスの 1 本化へ向けたロードマップ

導入製品とサービス

  • Surface 3

導入メリット

・Surface 3 を導入することで、出先のすきま時間を有効に活用できるようになり、業務効率の改善と残業時間の圧縮が実現できた

・社内システムへのアクセス環境を整備したことで、セキュリティを担保した形でデバイスが活用できるようになった

・新入社員研修の変化をはじめとした、ワーク スタイル変革への取り組みについても推し進めることができるようになった

導入の効果
業務効率化により残業時間が圧縮。ワーク スタイル変革の面でも効果が見えはじめる

坂田建設は、Surface 3 への切り替えによって、たとえば「(写真整理が現場でできることによる) 撮影したその日中での、写真整理業務の完了」や「工事で発生した変更箇所に関する、現場での図面修正」、「すきま時間における提出書類の作成」など、さまざまな効果が出ることを期待しました。その期待どおり、導入してまだわずかな期間ながら、生産性の向上や残業時間の削減といった面で、既に大きな効果が出ていると、鈴木 氏は語ります。

「土木本部においては、夜間工事となる現場が、毎晩 5 ~ 6 か所ほど稼動しています。当社社員は、それらの現場を巡回しながら安全管理や工程管理作業を行っています。社員の業務は、現場の作業員に対する工事の指示や進捗確認といった、作業員のマネージメントが主になり、iPad ではそういったマネージメント業務の効率化が図れました。さらに、デバイスを Surface 3 に切り替えたことで、現場での空き時間を利用して、安全パトロールの結果報告や提出書類の作成が行えるようになりました。結果、帰社後の業務を大幅に減らすことができ、従業員の残業時間は明らかに圧縮できています」(鈴木 氏)。

坂田建設が導入した Surface 3 は、Windows 10 を搭載しており、CAD の編集には必須ともいえるマウス操作とキーボード入力にも対応します。キーボードの着脱によって自動的にタブレット モードとキーボード モードが切り替わり、それが、工事現場での業務効率をいっそう高めているといいます。

さらに、Surface 3 の導入効果は、業務効率化だけに留まりません。池田 氏は、たとえば新入社員の研修フローとそのスピードの迅速化といったワーク スタイル変革の面でも、Surface が役立っていると続けます。

「これまで当社の新入社員研修は、初めの 1 か月は社内での CAD の研修で、翌月よりようやく工事現場での測量研修を行う形で進めていました。今回、新入社員へは 4 月の入社時より Surface 3 の配付を行ったのですが、CAD の研修を出先で行うことができ、工事現場の研修と並行して進めることで、短縮化が実現できました。こうした、旧来のワーク スタイルからの変化も、Surface 3 を導入した大きなメリットだと感じています」(池田 氏)

工事現場の従業員は、出先から社内システムへアクセスすることで、帳票作成や測量結果の入力が可能

CAD も Surface 上で利用することが可能。業務効率の改善に加え、ワーク スタイル変革の面でも効果が現れている

今後の展望
Surface 3 への一本化とそこから発展するワーク スタイル変革を目指し、セキュリティ レベルの向上を直近で計画

Surface 3 の導入により、坂田建設は、同社の目指す ICT 活用の実現へ向けた大きな手応えを得ました。今後同社では、土木事業部をまず対象とし、Surface 3 に一本化した社内 PC の運用を計画しています。

「従業員が現在利用している社内 PC と比べると、Surface 3 のディスプレイ サイズは小さく、一本化に向けて不安の声がないわけではありません。しかしそれは、たとえば社内にマルチ ディスプレイ環境を構築することで、十分に補うことができるでしょう。また、出先での用途でも、バッテリ面や耐衝撃性は現場での実用に十分に足る水準です。後述のとおり、セキュリティ面はさらなる強化が必要になりますので、それが完了しだい、今年度中をめどに、土木事業部における一本化を進めていく予定です」(鈴木 氏)。

「Surface 3 の配付で社内システムへアクセスできるデバイスが増加したことにより、デバイス管理の要件はこれまで以上に高まっています。既に、デバイスの紛失時にはすぐ、遠隔操作で対象のデバイスをロックする体制を整えています。また、認証基盤の強化も行い、リバース プロキシ型の SSO 環境も構築しています。これらの環境について、たとえば多要素認証などを採用したり、一部アプリケーションをクラウド環境に置いたりすることで、より高度なセキュリティが確保できる環境を構築しようと考えています。そこでは、マイクロソフトの提供する Enterprise Mobility Suite (EMS) や Microsoft Azure といったサービスの導入も検討候補に挙がるかもしれません」(池田 氏)。

場所を問わずに業務が行える環境の整備を、Surface 3 の配付により大きく推し進めた坂田建設。この取り組みは、同社のワーク スタイル変革へも貢献しています。鈴木 氏は終わりに、このワーク スタイルの変革へ向けた思いとして、2016 年 6 月の本格配付よりも一足早く同年度の新入社員へ Surface 3 を配付した背景について語ります。

「全従業員に先駆けて新入社員に Surface 3 を配付した際、『君たちが、Surface 3 をはじめとした社内の ICT を活用して新しい仕事のやり方を考え、みんなに共有してほしい』と伝えました。こうした新しい働き方を構築する際、リーダーシップをとるべきは、きっと若い人たちですから」(鈴木 氏)。

鈴木 氏の思いのとおり、60 年以上もの長い歴史をもつ坂田建設は、今後 ICT を積極的に活用する若い人材の活躍もあり、さらなる発展を遂げていくことが期待されます。

ユーザー コメント
「土木本部においては、夜間工事となる現場が、毎晩 5 ~ 6 か所ほど稼動しています。当社社員は、それらの現場を巡回しながら安全管理や工程管理作業を行っています。社員の業務は、現場の作業員に対する工事の指示や進捗確認といった、作業員のマネージメントが主になり、iPad ではそういったマネージメント業務の効率化が図れました。さらに、デバイスを Surface 3 に切り替えたことで、現場での空き時間を利用して、安全パトロールの結果報告や提出書類の作成が行えるようになりました。結果、帰社後の業務を大幅に減らすことができ、従業員の残業時間は明らかに圧縮できています」

坂田建設株式会社
取締役
土木本部長
鈴木 正司 氏

(マイナビニュース広告企画:提供 日本マイクロソフト)

マイクロソフト法人導入事例サイトはこちら

[PR]提供: