不動産・住宅情報サービスLIFULL HOME'S のカスタマーサクセスマネジメントグループは、TISが提供する“自律型人材の育成を実現させる”対話実践アプリ「Practice」の導入により、チーム内に「リフレクション(内省)とダイアローグ(対話)」の機会を提供。この取り組みはメンバー間の理解を深め、「学習する組織」への価値観を浸透させつつある。
チーム運営に悩んだ過去──「リフレクション」との出会いで得た、自分への気づき
日本最大級の不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S(ライフル ホームズ)」を運営する株式会社LIFULL。550万件以上もの物件が掲載されているLIFULL HOME'Sにおいて、顧客の継続利用・満足度向上をミッションとするのが、同社のカスタマーサクセスマネジメントグループだ。
同所属の山下 太郎氏は、かつてチーム運営で手痛い経験をしたという。
「2020年頃、部下から『あなたの下で働くのがイヤだ』というフィードバックを受けたことがあるんです。確かに好調なチームとは言えなかったかもしれませんが、まさかそこまで嫌われているとは思わず、大きなショックを受けました」(山下氏)
その経験を機に、山下氏は自己変革に取り組むようになる。いろいろな本を読む中で見えてきたのは、「メタ認知」の大切さだ。メタ認知とは、自分自身の考え方や物事のとらえ方を認識していくこと、自分を客観的に理解することである。自己の強みと弱みをより深く理解できれば、それらを活かした振る舞いができるようになる。また、メタ認知力を磨くことで、他者の思考プロセスや感情も敏感に察知することが可能になる。
そんな折、会社で気になる研修が公募され、手を挙げた。それが、リフレクション(内省)とダイアローグ(対話)の第一人者、一般社団法人21世紀学び研究所 代表理事 熊平 美香氏による研修である。
「受講を終え、もっとリフレクションを使いこなしたい!と思い、もう一度研修に自費で申し込みました。すると、自分は『できている』と思い込んでしまうタイプであるということが見えるようになってきたんです。そこから毎日の“振り返り”の質が明らかに変わりました。熊平さんとの対話は私にとって非常に良い時間で、何気ない質問なのに『ああ、本当だ……』と、自分が見過ごしていた自分自身に気付かせてくれるんです。リフレクションを研ぎ澄ませた人の凄さを目の当たりにしました」(山下氏)
それ以降、日常生活でもリフレクションを取り入れ、日々のリフレクションを通じて少しずつ自分が進んでいるという手応えを得た山下氏は、カスタマーサクセスマネジメントグループにも取り入れたいと考えるようになる。そして2023年の夏、TISが提供する対話実践アプリ“Practice”の導入を決めたのである。
Practiceが導く、チームの内省と対話
TISと熊平 美香氏によって共同開発されたPracticeは、リフレクションと対話を通じて自律型人材を育むためのアプリである。
Practiceから投げかけられる「問い」を通じて、リフレクションの機会を提供する。「信頼を感じたことはなんですか?」「嫌悪感を覚えたことはなんですか?」「プレイヤーとしての成功体験を教えてください」といった問いに対して、自分の「意見」と、その意見はどのような「価値観」にもとづくのか、どんな「感情」が働いているのかを入力して、投稿する。公開可能なリフレクションはチームで共有され、フィードバックし合うことができる。
同社の カスタマーサクセスマネジメントグループにおけるPractice導入は、5,6名と小規模な人数でスタートした。 もともとメンバーとの1on1ミーティングはリフレクションを意識しながら実施しており、その記録にはGoogleスプレッドシートを使用していた。Practiceに切り替えることで便利になると伝えながら、導入を進めたという。
Practice導入の狙いの一つに「学習する組織」へのシフトがあると山下氏は言う。
「意識一つで、経験から得られる学びの質・量は大きく変化すると思っています。教材から学ぶだけでなく、毎日の仕事で現れた気づきをちゃんと拾って、こういう学びになったと言語化していけば、より良い組織へと進んでいけるはず。Practiceを使えば、『学習する組織』としての価値観をうまく醸成できるのではないかと考えたのです。そのため、『最近学んだことはなんですか?』という問いや、会社のクレドに関する問いを週次で投げかけるようにカスタマイズしています」(山下氏)
「学習する組織」としての価値観が浸透していく
Googleスプレッドシートを活用していた際は、メンバー間でのリフレクション共有はしておらず、あくまで自己のリフレクションを促すこと、またリーダーがそれを用いてマネジメントすることが目的であった。Practiceによって、チームメンバー同士でリフレクションのシェアと対話が可能になり、組織全体での価値観共有に繋がっている。
Practiceの利用は次第に広まっていき、現在ではチーム内の正社員だけでなく、グループ会社など業務委託先のメンバーとも互いのリフレクションを投稿し合う関係となっている。
カスタマーサクセスマネジメントグループでは正社員は週3出社、業務委託先はフルリモートでの勤務となっている。そのため、同じ仕事をしていてもずっと顔を合わせないこともある。「長いこと一緒に働いている業務委託先のメンバーの、ぜんぜん知らなかった一面が分かりました」と、山下氏はPracticeによる他者理解の深化を語る。
「最近では、私が直接見ていないチームもPracticeの利用が広がり、リフレクションを投稿してくれるメンバーが増えました。投稿にフィードバックをし、それに対しまたコメントを返してくれる。この対話を続けていると、たとえ会社が違っていても、1on1ミーティングのような濃いコミュニケーションをしている感覚になります。別の組織に異動になったメンバーからは、『みんなと繋がっている感覚があるからアカウントを残して欲しい』と言われたこともありました」(山下氏)
リモートワークの普及をはじめとした働き方の変化や、チームの拡大といった組織体制の変動は、社員一人ひとりの「人となり」を理解するコミュニケーションの機会を奪いかねない。こうした時、Practiceならば場所や時間を問わず、互いに都合の良いタイミングで投稿・コメントしながら相互理解を進めることが可能だ。ビジネスチャットなどではどんどん投稿が流れていってしまうが、Practiceは「立ち止まって振り返る時間」を与えてくれる。
山下氏が導入の狙いとした「学習する組織」という価値観の浸透はどうだろうか?
「Practiceで学びに関する問いを毎週のように投げかけて、考えてもらうことで、着実に根付きつつあるという手応えを感じています。メンバーからも直接『自分も学ばなきゃな、って感覚にだんだんなってきました』と言われました。大切にしたいキーワードを、そして各自の経験や記憶を結びつけることによって、より身体に浸透していくのだと思います」(山下氏)
過去の苦い経験をバネに、より良い組織づくりを目指す
Practiceがタレントマネジメントサービスと連携できるようになれば、さらにチームワークが円滑化するのではないか、と山下氏は展望する。
「Practiceの中には、各メンバーが大事にしているたくさんの『価値観』が溜まっていきます。それをAPI連携によって、タレントマネジメントのシステム側からも見られるようになれば、メンバー入れ替えの際もすばやく相互理解ができたり、あるいは離職率低下に繋がるかもしれません。そうしたさらなる活用のためにも、まずは、1人でも多くのメンバーにPracticeを習慣化してもらえるように努めていきます」(山下氏)
最後に、チーム運営に同様の悩みを抱えているリーダーに向けて、山下氏からのメッセージを発信してもらった。
「私自身まだまだ課題ばかりで、メッセージなんておそれ多いことですが……それでも、自分自身がリフレクションで変われている実感があります。『嫌い』と言われたメンバーからも、あの頃と変わったというフィードバックをもらいました。きっと、この取り組みは間違っていません。だからこそ、マネージャーに限らずもっといろんな人にリフレクションできる機会を設けて欲しいと思います。その中で少しでもいいな、という感覚を得られたら、ともに活用していきましょう」(山下氏)
組織対話実践アプリケーション「Practice」
https://www.tis.jp/service_solution/practice/
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