「モノが売れない」、「競争が厳しく利益が上がらない」という言葉が製造業の現場から聞こえてくる。東京都港区で、10月にNECネクサソリューションズが開催したセミナー「伸びる会社・つぶれる会社 ~成長会社になるために、今こそ経営者に求められるもの~」では、東京理科大学名誉教授 日本経営システム協会会長 田中雅康氏を講師に迎えて、伸びる会社とつぶれる会社の大きな違いが紹介された。

売れないのは水溜まりで釣りをしていることに気が付いていないから

東京理科大学名誉教授 日本経営システム協会会長 田中 雅康氏

田中氏は、学術論文や原価企画・原価管理やVE(価値工学)などの分野で、数多くの学術論文や著書の執筆実績を持ち、日本の企業経営を長くにわたり見てきた。「モノが売れない」という現状については、どんなに優れた製品でも顧客の課題が存在していなければものが売れないと述べる。すべてがソリューションビジネスだと述べる田中氏は、存続し発展し続けるという宿命を負う企業は課題を解決するところに対価が生じる。"課題がないところには利益は生まれない"ことをわかりやすく例えてくれる。

「"最新の道具を揃えた。釣り名人に依頼した。だから絶対に釣れるはず"そう思い込んでいつまでも水溜りで釣りをする。だが、そこには魚という名の顧客は存在しない。そんな間違いをおかしている企業が数多くある」

では、どうすれば水溜まりから抜けられるのだろうか?田中氏の答えもまた、現状分析同様に明解だ。

「身近な周囲しか見ていないと、そこが水溜りだとは気が付かない。ですがもっと視野を広げて辺りを見渡せば、ちゃんと魚のいる池や川、海が見付かります。後は普通にソリューションビジネスをすれば、ちゃんと儲かるんです」

水溜まりに居ることを認識し、池や川、海と魚がいる場所を探すこと。あとは普通にソリューションをやることが肝要なのだという。

また、田中氏は"強い"企業が持つ7つの特徴と、"伸びる"企業が持つ6つの要因も明解に掲げている。強い企業が持つ特徴の第1に挙げているのは、社長の方針だ。

1.社長の方針・考え方が正しく伝わっている

但し、あくまでも自分の言葉で伝えなくてはならない。また伝わるまで何度も繰り返し、伝わっているかの確認も怠らない。

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