2020年8月、横河レンタ・リースと日本マイクロソフトの共催によるWebセミナー「テレワーク実施で見えてきた課題を解決!」が配信された。セミナーでは日本マイクロソフト 認定トレーナーの赤井 誠氏によるテレワークでの生産性・安全性に貢献するMicrosoft Office 365についての解説がなされ、これを受け、横河レンタ・リースの田中 信行氏、長谷川 聡氏が、テレワークの質を高める同社のソリューションを紹介した。本稿では両氏のセッションに焦点を当て、その内容をリポートする。
VPNに依存せず、円滑なテレワークを実現するには?
テレワークの推進が求められる今、企業はいくつもの課題に直面している。田中氏は特に大きな課題として、社外からのアクセス急増に起因するVPNのパフォーマンス低下を挙げた。VPN接続が不安定になることで、オンライン会議をしても画面共有ができない、通信が不安定になるなど、生産性の維持に影響が出ている企業も少なくないという。
では、どうすればVPNに負荷のかからない仕組みづくりができるのだろうか。田中氏は、まず従業員のPCに入っている作業用データをすべて、オンラインストレージMicrosoft OneDrive for Business(以下、OneDrive)に移行し、普段の業務はその中で行うようにすることを提案する。これならVPNに接続するのは、ファイルサーバーに保存する必要のあるデータが発生したとき、あるいは基幹システムへのアクセスが必要になった時だけに絞れるので、ネットワークの負荷を大幅に抑えられる。
Passage DriveとデータレスPCで、VPNに左右されない環境をつくる
こうした運用を簡単に実現できるソリューションとして、田中氏は横河レンタ・リースが開発・提供しているFlex Work Place Passage Drive(以下、Passage Drive)というソフトウエアを推奨する。
Passage DriveをインストールしたWindows PCでは、ユーザーがアプリケーションからデータ保存の操作を行っても、本体のドライブには保存されない。自動でOneDriveにリダイレクトされ、保存される仕組みになっている(そのため同社ではPassage DriveをインストールしたPCを『データレスPC』と呼んでいる)。ユーザーはデータがどこに保存されているのかを意識することなく、普段通りに作業を続けられる。
OSやアプリのプログラムデータは「データレスPC」に残されるので、処理はPC側で実行できる。VDI(仮想デスクトップ環境)のように、大人数でサーバーのリソースを共有することがないため、安定したパフォーマンスを得られるのが特長だ。
Passage Drive を利用することで、VPNの混雑状況によって仕事の進行が左右されることはなくなる。自宅のインターネット環境が整ってさえいれば、オンライン会議もストレスなく行えるだろう。さらにスマートフォンやタブレットからでもOneDriveに保存したデータにアクセスできるため、どこででも、どのデバイスからでも仕事を進めることが可能だ。
「この10月には、ファイルの印刷やコピーを制御するオプションもリリース予定で、テレワーク環境下でのガバナンス強化、データロスの防止にも役立つものとなります」 同社ではこうしたツールと高性能のPCをセットにして提供することで、テレワークを支援していくと、田中氏は語った。
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[次ページ目次]
- 在宅勤務に使われているPC、更新プログラムの配信・管理はどうする?
- テレワーク環境での更新管理を実現するUnifier Cast、AppSelf、SharePoint