バックアップや災害対策(DR)を中心としたデータ保護環境が大きく変化している。背景にあるのは、ビジネスとITプラットフォームで起こっている変化だ。伝統的なITプラットフォームはサーバー、ネットワーク、ストレージの3階層モデルで構成し、オンプレミスで運用することが基本だった。しかし、近年はビジネスのニーズに対応できるように仮想化技術やクラウドサービスが発達した。それにともない、従来とは異なるバックアップやDRのアプローチが求められるようになってきたのだ。
例えば、メールやファイル共有については「Exchange Online」や「OneDrive」といったSaaSの利用が広がり、SaaS上に保存されているデータをどうバックアップするかが課題となっている。また、オンプレミスにおいても、「Nutanix」に代表されるように、ストレージにサーバー内蔵ディスクを使って構成するハイパーコンバージドインフラ(HCI)の利用が広がり、HCI基盤に合わせたバックアップ運用やDRの仕組みをどう構築するかが課題になってきた。
Arcserve Japanソリューション統括部 シニアコンサルタント 古川総秀氏 |
こうしたデータ保護環境の変化に対応していくためには何がポイントになるのか。バックアップソリューションの提供で長年の実績を持つArcserve Japanのシニアコンサルタント古川総秀氏は、大きく3つのポイントがあると指摘し、こう話す。
「1つめのポイントは、新しいITプラットフォームに迅速に柔軟に対応することです。SaaSやHCIのような新しいITプラットフォームが提供する機能を活用しつつ、そのデータを簡単かつ確実にバックアップすることが重要です。2つめはDRを効率的に行うことです。DRにおいても、オンプレミスとクラウドをハイブリッドで構成するケースが増えています。その際にはコストを抑えながら、業務再開までの時間や作業負担をいかに小さくするかが重要です。3つめはプラットフォームの変更にともなうデータ移行への対応です。データ量が増加したことで、サービスやサポートの終了(EOS)時にデータをどう移行するかは大きな課題になっています。ビジネスへの影響を少なくし、簡単に移行できることが重要です」(古川氏)