BI(ビジネス・インテリジェンス)やDWH、ETLという用語を耳にしたことがある方も多いかもしれません。しかし、これらの用語の意味・違いを正確に理解できているでしょうか。この記事ではdwhとETLの概念や機能を中心に解説していきます。紛らわしいBI、DWH、ETLといった用語の意味をしっかりと押さえておきましょう。

DWH(データウェアハウス)とは

DWHはデータウェアハウスの略称です。ウェアハウスとは倉庫という意味で、あらゆる情報をまとめたサーバーやソフトウェアとなります。「データならデータベースに蓄積されていっているのでは?」と思われた方がいるかもしれません。通常のデータベース(DB)では現在進行中の状態を格納し、アプリケーションからの要求に対して即座に取り出すことができるようになっています。たとえば、スーパーのレジから入力される売上データも、営業中は常に更新され続けています。円滑に業務を行うためには処理速度も重要な要素です。そのため、一定期間を過ぎたデータは削除したり、DBの負荷が大きい大規模な集計処理は閉店後に行ったりする必要があります。

一方、DWHは情報を時系列に保管するという役割があります。精度の高いデータ分析を行うには、大量データが必要です。そのため、数年分の過去データを保管する必要が出てきました。また、DWHは次の4つの定義を満たしている必要があります。1つ目は、過去データをサブジェクト(内容)別に保存していることです。2つ目はDBごとの情報を統合することで、ラベル名を統一します。たとえば、「取引先」や「顧客」といった部署によって言い方は違うけれども同じものを指すラベル名をそろえます。3つ目はデータが時系列であることです。たとえば、通常のdbが現在の在庫量のみを保持しているとしたら、DWHは過去から現在までのすべての在庫量の変化を持っています。4つ目はデータを削除しないことです。原則として過去から今までのすべてのデータを保存して分析に使用します。

また、DWHが保持するデータは大きく、使うデータを取り出す際に時間がかかる傾向です。素早く必要な情報にアクセスするため、利用する部門や目的ごとに抜き出したデータベースを作成することもあり、これをデータマートと呼びます。

ETLツールはデータを収集するためのもの

ETLツールのETLとは、Extract(抽出)、Transform(変換)、Load(書き出し)の略です。言葉の通り、データを抽出し、同じ形式に変換、dwhに書き出す機能を持っています。企業は販売管理システムや顧客管理システムなど、複数のシステムを持っています。それぞれデータベースに保存されているデータの形式もバラバラです。それらを収集して、同じ形式で扱えるように変換するのがETLツールの役割です。

データ分析においては、最初のステップであるデータの収集に時間がかかることも珍しくありません。ETLツールはデータ収集に費やす時間や手間を大幅に削減するツールです。

ETLツールはDWH活用に不可欠

DWHを充実させるうえで課題となるのが、データの収集です。1つのデータベースからそのまま過去データを投入するだけであれば問題ありません。しかし、企業にはさまざまなシステムがあり、それぞれにデータベースを持っています。そのため、これら複数のシステムからデータを取り出し、DWHに受け渡す仕組みが必要です。そこで、開発されたのがETLツールです。データ分析を行うためには、データの質・量の両方が必要になります。ETLを使うことで、多くのシステムからたくさんのデータを統一的に扱える状態で保存することができるため、DWHを使ううえでETLツールはなくてはならないものです。

DWHはBIの一部

BIツールは企業や組織のデータを収集・蓄積・分析するためのものです。最終的には分析結果を出力し、経営上の意思決定に役立てます。BIツールを使うためには、分析の対象となるデータが必要です。DWHは、この分析対象のデータを最適な形で収集・管理するためのものです。つまり、DWHでデータを収集・保管し、そのデータに対してBIツールで分析をするということになります。そのため、DWHとBIツールはセットで導入するケースも多いといえるでしょう。

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