日々蓄積される膨大なデータの中から、ビジネス向上につながる情報をいかにして発見・抽出し価値につなげていけるか――。この成否によって企業の経営は大きく変わってくる。去る12月20日に開催された「売上・反応アップに効くBI導入事例セミナー」(主催:マイナビ/協賛:クリックテック・ジャパン)では、クリックテック・ジャパン マーケティングマネージャー 安部知雄氏が登壇。独自のインメモリ連想技術によって従来のBIツールではなしえなかった「関連性の見える化」を可能にする同社のBIソリューション「QlikView」の紹介を中心に、データへの精緻な分析で企業経営がどのように変革していくのかについて解説した。

クリックテック・ジャパン マーケティングマネージャー 安部知雄氏

解を得るための分析には「自由度」が不可欠

今から20年前の1993年にスウェーデンで創業したクリックテックは、独自のインメモリ連想技術を実装したBIソリューション「QlikView」の開発元である。研究開発拠点をスウェーデンに残し、本社を米国ペンシルベニア州に置く同社は2010年7月にNASDAQに上場し、100を超える国々でグローバルに事業を展開している。日本においては、2009年3月に製品販売を開始して翌2010年1月に日本法人を設立。国内でもすでに500社以上の導入実績を持っている。

セッションの冒頭で安部氏は、来場者に対して「データ・サイエンティストのような専門家を除いて、分析という作業自体を好きこのんでやる人はそうそういない。一般的な企業の現場で働く社員が分析を試みるモチベーションとは何か」と問いかけ、典型的なモチベーションとして、ビジネス上の問題の発見・解決/自社新規ビジネスの開発/コスト肥大化の原因究明/利益の追求の4つを挙げた。

そして同氏は、「分析の後に解決というアクションがなくして、この作業は成り立たない。そうした解を得るための分析には高い自由度が必要で、これがないと、分析のモチベーションを持ってからアクションを起こすまでの間にモチベーションが削がれてしまう」と指摘。蓄積されたデータ同士の関連性を見ながら、競合他社よりも早く解を得られるようにするには、分析のモチベーションを持ったユーザー本人がさまざまな切り口で探索できるツールが用意されていなくてはならないと語った。

従来型のBIと、インメモリ連想技術を駆使するQlikViewとの違い

安部氏は従来型のBIツールにおける最大の問題として、精緻な分析ができても"探索"ができないことを挙げた。同氏は、従来型のBIの場合、分析作業の前に、蓄積されたデータの中から情報を抽出・集計処理し、さまざまな切り口で見られるようにするためのキューブの設計など事前の要件定義が必要で、データ・サイエンティストのような高度なスキルを持った専門家でないと使いこなせないという技術的な制約が存在しているとした。「技術的な制約は、膨大なデータへの分析のアプローチを限定してしまう。ビジネス上の問題を解決したいユーザーは、データをさまざまな角度から見たいと思っても、従来型のBIツールでは要件定義に沿った形でしか分析を行えず、別の観点から分析するには要件定義を変更するしかない」と同氏。その際には、キューブの設計のみならず、データの抽出方法までも一から変更しなくてはならないケースがあり、IT部門に大きなコストと作業負担を強いるものになってしまうという......

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