BI導入事例セミナー 仏ル・クルーゼ アジア IT ディレクター ダニエル・トラスク氏

実用性とデザインの美しさを兼ね備えたキッチンウェアで知られるル・クルーゼ(Le Creuset)。フランス伝統のブランドが日本でも若い世代を中心に絶大な支持を集めるに至った"勝因"の1つに、緻密なデータ分析から導き出した独自の販売戦略がある。去る12月20日に開催された「売上・反応アップに効くBI導入事例セミナー」(主催:マイナビ/協賛:クリックテック・ジャパン)に登壇した仏ル・クルーゼ アジア IT ディレクターのダニエル・トラスク氏は、氏が主導した同社日本法人におけるBIプロジェクトの詳細を語った。

伝統のキッチンウェア・ブランドを支えるBI

ル・クルーゼの代名詞となっているのが、複数層ホーロー加工が施された鍋だ。保温性が高いうえに焦げ付きにくい"魔法の鍋"は、プロの料理家から一般家庭のユーザーまで幅広い層に支持されている看板商品である、1925年創業というフランスの伝統的なキッチンウェア・ブランドが1世紀近くにわたって世界中で支持され続けているのには理由がある。それは、顧客がキッチンウェアに求めるものへのあくなき追求であり、その取り組みを支えているのが、顧客の購買行動への徹底したデータ分析である。

セッションに登壇した仏ル・クルーゼ アジア IT ディレクター ダニエル・トラスク氏は、日本法人であるル・クルーゼ ジャポンをはじめ、韓国、台湾、香港、中国など同社のアジア地域の拠点のITを統括している人物だ。セミナーでは、同社のビジネスにおいて各種のデータがどのように生かされているのかと、日本法人における直近の取り組みである、クリックテック・ジャパンのデータ分析ソリューション「QlikView」の導入プロジェクトでの考慮した点が説明された。

仏ル・クルーゼ アジア IT ディレクター ダニエル・トラスク氏

分析の準備だけで数時間......非効率からの脱却が課題に

ル・クルーゼでは、品番で管理される商品データベースと連携させたERPシステムを基に、プロモーションやキャンペーンなどの販売促進活動を長年展開している。同社商品の品番は、商品のタイプ/モデル、カラー(外側と内側)、サイズ、出荷国を示す規則によってナンバリングされており、ル・クルーゼを取り扱うすべての小売店舗は、この品番を基に値付けや陳列、在庫確認などを行うかたちだ。

トラスク氏によれば、従来のデータ分析基盤の下では、売上データから新たなマーケティング施策立案のための分析を行う際に担当者は、ERPシステムからExcelにデータを必要な項目分に手作業でエクスポートして行わねばならなかったという。

「あるプロモーションを行った結果、どのぐらいの売上げがあり、季節の変わり目にどんな影響があったのかといった分析を行うのだが、そのたびに我々は単純にExcelにデータを取り込む作業だけで2~3時間はかかっていた」とトラスク氏。

ル・クルーゼでは合計6つのチャネルを介して商品を提供しており、季節ごとに商品群の入れ替えも頻繁に行っている。そのような環境で、分析やレポート出力を行うたびに膨大な時間がかかってしまっていては、業務効率の悪化は自明である。

シンプルで直感的なUIを特徴とするQlikViewを採用

上述したような非効率から脱却するために、ル・クルーゼ ジャポンでは新しいデータ分析基盤を構築するプロジェクトが始動。トラスク氏らは、その中核となるBI/データ分析ツールの検討に入った。

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