ITの劇的な進化にともない、ユーザーはさまざまな場所から商品やサービスの提供を受けられるようになった今、商品やサービスの購入・利用時にユーザーが感じる一連の体験や、そこで得られる心理的な価値である「カスタマーエクスペリエンス(CX)」を重視する動きが広がりつつある。顧客と企業との接点が複雑化する現在だからこそ、競合相手との最大の差別化要因としてカスタマーエクスペリエンスの提供が不可欠となっているのである。
このような背景を受けて、「顧客視点から読み取れ! 究極のカスタマーエクスペリエンスとは!?」と題するセミナーが、2017年9月14日に東京のJR新宿ミライナタワー・マイナビルームにて開催された。本記事では当日行われた講演の中から、サービスマネジメントグループ(以下SMG) 玉川篤史氏によるセッション「売上改善のためのCXプログラム」および、クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン 若月貴子氏による特別講演「『最高のドーナツ体験』は、お客様とともにつくる -カスタマー・ボイス・プログラムを活用した顧客満足度向上の取り組み-」について紹介する。
「また来てもらえる」店舗になるためにすべきこと
26年にわたり、世界130ヶ国で450を超えるブランドのサービス改善・売上成長を支援してきたサービスマネジメントグループ(SMG)。SMG社が得意とするのは、カスタマーエクスペリエンスプログラムによるサポートである。
「データ収集・データクレンジング・データ蓄積・リアルタイムレポート・データ分析・プログラム運用コンサルティング—これらすべてを一気通貫で回すことに意味がある」と玉川氏は語った。
最高のドーナッツ体験を追求すべく活用したプログラム
クリスピー・クリーム・ドーナツは、そのブランドを代表する商品である「オリジナルグレーズド」が米国で誕生して80年という歴史を有する。現在、世界31カ国で約1,300店舗、日本国内で46店舗を展開している。同社がブランドミッションとして非常に大事にしているのは『JOY』の概念だ。いかに顧客にJOYを届けて、生活を楽しくしてもらうかを念頭に、『最高のドーナッツ体験』の追求に日々取り組んでいる。最高のドーナッツ体験を追求すべくサービス改善の柱として活用したのが、SMGが提供するカスタマーエクスペリエンス(CX)プログラムである。
では、なぜクリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンではCXプログラムを導入したのだろうか。以前同社では、覆面調査員によるミステリーショッパープログラムを活用していた。このプログラムも、店舗での改善活動も活発になるなど一定の効果を示していたのだが、それでもCXプログラムへと変更した理由は、覆面調査員では店舗が本来めざすべき姿が見えにくくなっていたからである。
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“顧客中心カルチャー”を醸成し、売り上げアップをもたらすCXプログラムとは
≪目次≫
- ビジネスの成長のために現場でできることは、顧客を満足させること
- 覆面調査とハガキアンケートの落とし穴
- “顧客中心のカルチャー”をいかに醸成するか
- 顧客満足度の向上を目指すなか、覆面調査によるフィードバックで生じた課題とは?
- 各店舗から本社までの間に根付いたCXプログラム
- わずか一年でサービススタンダードの実施率を大幅に改善
- アプリの武器化や、既存店売上高向上の効果
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