情報処理には2つの階層があります。インフォメーションとインテリジェンスです。
情報は収集しただけではインフォメーションに過ぎず、ある観点から整理・抽出された状態をインテリジェンスと呼びます。
BI(Business Intelligence)はまさにインテリジェンスを作るためのツールです。企業活動に関わるさまざまなデータのマイニングや、ビジュアライズが行えます。
BIツールは情報処理を迅速化し俯瞰を可能にする
では、BIツールによってどのような問題が解決可能なのでしょうか。
その特徴は主に「処理の迅速化」、「情報の俯瞰化」の2点に集約可能です。
まず、「処理の迅速化」ですが、これはインフォメーションをインテリジェンス化するにあたり、その作業のスピードを上げることです。いかに大量の情報が収集されていたとしても、経営判断に活かすには、それらの情報が検討材料として使えるかたちに変換されなければなりません。
一般的な組織では、一般社員が作成した資料がベースとなり、経営陣が経営判断を下すことになります。このとき、情報の収集から資料のアウトプットまでにかなりの時間と労力が投入されています。資料の内容にもよりますが、BIツールを用いればこの作業が大きく効率化されます。
さらに条件を変更しての再作成も、パラメータを変更するだけで完了するため、作業負担は大きく軽減されます。分析を外注している場合は、そのコストの削減にもなるでしょう。
次に「情報の俯瞰化」ですが、これはビジネスの現状を一目で把握可能な状態で表現することを意味しています。例えば、ある程度以上の規模を持つ組織になると、情報の収集から、分析し、提出するまでにタイムラグが発生します。その時間を短縮しようとすると、必要とされるマンパワーは幾何級数的に増えていくため、1週間から1ヶ月程度は覚悟しているケースが多いのではないでしょうか。
しかし、そうなるとリアルタイムではビジネスを把握できないというジレンマに直面します。BIツールを使えば、分かりやすいかたちで各部署の現状がリアルタイムで把握可能となり、社内での各事業の進捗状況の共有が容易になります。
BIツールの多彩なバリエーション
以上のようにリアルタイムに俯瞰的な分析結果を出力するためには、大きく4種類の処理が必要です。
まず、必要なデータを揃える処理。売上データや仕入れデータ、営業社員の稼動記録、顧客データなど、さまざまなデータソースからデータを集め、必要に応じて加工し、ユーザーの求めに応じて取り出す必要があります。この処理はETL(Extract/Transform/Load)と呼ばれます。
続いて、ETLにより集積したデータから統計的手法を駆使して新なた関係性や傾向性を見つけ出す処理。こちらは、データマイニングと呼ばれます。
さらに、分析結果や集積データをオンラインの画面で表示し、気になる部分を掘り下げて解析したり、違った軸で解析して表示したりするなど、インタラクティブな処理を実現する処理。こちらは、OLAP(Online Analytical Processing:オンライン分析処理)という名称が付いています。
そして、集積データから定型レポート(PDF、Excelなどファイル形式はさまざま)を自動生成したり、OLAPの結果から非定型のレポートを生成したりする処理。こちらは、そのままレポート機能です。
そのほかにも、「インテリジェンス」の名を冠しているだけあり、現状把握に役立つ機能が多々搭載されているケースもあります。
効果的な運用のチェックポイント
BIの特徴であるリアルタイムな分析を行うには、リアルタイムなデータソースが必要となります。
つまり、BIツールの前段階で行われる各システムでのデータ更新の頻度と質こそが重要で、それらが分析の質に直接反映されるのです。特にデータの質の部分はBIの肝であり、信頼性の低いデータが混在していたり、分析に向かないかたちでデータを保持されていたりすると、それをリカバリーするには膨大なコストが必要になります。
また、BIツールには、さまざまな機能を搭載したものがありますが、その機能の充実度に比例して導入コストも上昇します。そのため、自社に必要なアウトプットを十分に吟味して選定することが、費用対効果を高める鍵となります。
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