新規ビジネス開始時や小規模開発、Webサービス立ち上げ時のコスト削減に効果を発揮するといわれるPaaSですが、大規模なシステムに対してもメリットがあるのです。
今回は、PaaSに適さないといわれていた基幹業務システムのクラウド化についてまとめます。
PaaS導入がメリットになりやすいシステムとは?
PaaSはコスト削減に役立つ仕組みであるとの認識を持っている方は多いのではないでしょうか。もちろん、新たなアプリケーション開発環境や、テスト環境、Webサービス立ち上げの基盤を素早く低価格で手にいられるという意味では、コスト削減に役立ちます。しかし、システムの種類によってはPaaSの導入が必ずしもコスト削減をもたらすとは言い切れません。
特に、大きなビジネスを長年にわたって支えていくような基幹業務システムは、PaaSの導入がかえってコスト高を招く可能性があるといわれてきました。果たして、本当に基幹業務システムにPaaSは適さないのでしょうか。
基幹業務システムはPaaSに適さない?
基幹業務システムは企業内で処理されるさまざまな業務を包括的に管理し、昼夜を問わず稼働していることがほとんどです。そのため、いくつかの異なるサブシステムがデータを連携しています。
単に基幹業務システムといっても、そのシステムは単一の技術やパッケージで成立しているわけではなく、複数のリソースを含んだ呼び名であると考えるべきでしょう。基幹業務システムがPaaSに適さないといわれていた背景には、このような基幹業務システム自体の規模の大きさ・複雑さを、PaaSに落としこむことが難しいという理由があります。
しかし、ERPパッケージベンダーを中心として、基幹業務システムについてもクラウド化を推進しようという動きが活発化していることも事実です。
ERPパッケージはもともと、複数のサブシステムから構成される基幹業務システムをひとつのパッケージに統合し、企業内のリソースを一元管理するという使命を負っていました。すでにERPパッケージによって統合されているのであれば、PaaSへの落とし込みも容易だといえるかもしれません。つまり、オンプレミス型で提供されていたERPパッケージ導入済みの基幹業務システムを、さらなる効率化を目指してクラウド化しようというのです。これをクラウドERPと呼んでいます。
ERPパッケージベンダーが提供する仕組みは非常に便利ではあるものの、ランニングコストや導入コストが高い傾向にありました。しかし実際に大手ERPベンダーが提供するPaaS型クラウドERPでは、リソースは国内に配置しつつ実際の運用は人件費の安い海外にオフショアすることによって、ランニングコストの低減を見込めるとしています。また、場合によってはリソース自体も海外にオフショアし、さらなる総コストの削減も可能です。
このような手法は世界中に拠点をもつベンダーだからこそ可能で、いわゆるスケールメリットを活かしたコスト削減方法といえるでしょう。
クラウドと現行システムの相性が大切
PaaSをはじめとしたクラウドサービスの導入においては、現行システムとクラウドサービスとの相性が大切です。クラウド化の目的はビジネスへの貢献であることを忘れず、導入後のコストなども踏まえて検討することをおすすめします。
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