クラウドサービスのなかでも、環境構築にかける手間やコストを省けるというメリットを持つのがPaaSです。特にオープンソースを有効活用しつつ、柔軟に環境構築が可能という特徴があります。

そこで、自由度の高い開発環境を実現するPaaSについて、より自由度を高める選び方や工数削減の仕組みなどを紹介します。

開発環境にはこれだけの投資が必要!

まず、ごく一般的にシステム開発環境にどれだけの準備が必要かを考えてみましょう。

新規に開発環境を構築するためには、ハードウェア面の整備が必要になります。サーバ・ネットワーク機器・OSを複数用意し、開発環境(ビルド環境)、テスト環境などを構築していきます。また、これらを準備するにあたり、それぞれの分野に精通したエンジニアの確保も欠かせません。さらには、環境を維持するための人件費や光熱費、空調設備の確保にセキュリティ対策と、環境を構築するだけで相当な初期費用がかかってしまいます。

これらの費用をできるだけ小さくし、構築に要する時間を短縮できるのが、PaaS最大のメリットといえるでしょう。

自由度の高さを求めるなら「Open PaaS」

PaaSのなかでも、さまざまなオープンソースを有効活用しながらひとつのサービスとしてまとめ上げているものを、Open PaaSと呼びます。

Open PaaSの特徴は、選択できるOSやミドルウェア、ツールなどの範囲が広く、利用者がそれらを自由にカスタマイズして素早く環境を構築できることです。単一のベンダーに技術を依存しないことで、柔軟性と後々のビジネス展開の可能性を広げます。また、使用可能な言語、フレームワーク、DBなどが複数用意されていることから途中で開発の方針が変更になった場合にも対応可能というメリットがあるのです。代表的な例ではレッドハットのOpenShiftなどがあります。

また、広く仕様が公開されているオープンソースソフトウェアを組み合わせることで、特定のベンダーに依存する「ベンダーロックイン」を防ぐといった効果もあることもおさえておきましょう。

PaaSの活用で工数削減も可能

PaaSを有効活用することで、開発工数の削減も可能になります。大手PaaS事業者のなかには、独自機能としてプログラムレス開発が可能なツールを用意している場合があり、これらを活用することで開発工数の短縮が可能です。

これはノンプラグラミングPaaSと呼ばれるサービスで、ほとんどの開発作業の大半でプログラミングが不要になります。PaaS事業者が用意した専用画面へブラウザでアクセスし、直感的にGUIを操作しながら、ビジネスロジックや画面遷移を組み立てることが可能で、言語に対する知識が浅い場合でも開発に参加できるというメリットがあります。また、デバックやテストといった工程も短縮されるため、従来型の開発に比べて時間的にも人的にも大きなコストダウンが見込めるのです。

ちなみに、ランタイムPaaSと呼ばれる従来型の開発手法をトレースしたサービスもあります。こちらは実際にプログラミングが発生するため、オンプレミス型の環境に近いイメージです。ランタイムPaaSにおいても、事業者が用意したアドオンを利用すれば開発工数の削減は十分に可能でしょう。

PaaSの活用で保守・運用フェーズも効率化

本記事では主に開発環境の構築や、実際の開発作業の効率化という観点からPaaSを紹介してきましたが、PaaSのメリットはそれだけではありません。開発が終了し、実装が完了したあとの運用・保守フェーズにおいても、PaaSは威力を発揮します。自動的なスケールイン、スケールアウトがおこわなれるため、サーバの増設・設定・管理といった作業から解放されるのです。

開発・運用・保守を一貫して効率化するためには、PaaSの活用が必須といえるかもしれません。

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