既存システムの置き換えや新規開発環境の構築など、PaaSが利用されるシーンはさまざまです。しかしそのいずれもが、ビジネス上の課題を解決するための手段であることに変わりはありません。課題に応じてPaaSをうまく活用するためには、提供事業者の選定が重要になります。

では、一体どのような観点でPaaS事業者を選んでいけばよいのでしょうか。

クラウド化対象のシステムが「守り」か「攻め」か?

PaaSを使ったクラウド化を想定しているシステムが、ビジネス上で「守り」の役目を負うのか「攻め」の役目を負うのかで、PaaS事業者の選び方は変わってきます。

守りとは基幹業務システムのような、日々の業務をこなすために必要なシステムを指します。これらは規模が大きく、運用年数も長くなる傾向にありますので、必然的に多額の予算が必要になるでしょう。また、システムを構成する技術もできるだけ統一されていることが望ましく、ERPパッケージのように単一カテゴリのソフトウェアで管理することも珍しくありません。

一方、攻めの役目を負うシステムとは、柔軟で小回りが利き、新しい分野に切り込んでいけるようなものです。革新的なWebサービスはモバイル向けのアプリケーション開発など、新規にビジネスを立ち上げるために必要になることが多いでしょう。このような攻めのシステムは、できるだけ単一のパッケージやソフトウェアに依存せず、OSS(オープンソースソフトウェア)を組み合わせることで実現する傾向があります。

それぞれに適したPaaS事業者

では守りと攻めのそれぞれに適したPaaS事業者とは、どんなものなのでしょうか。

まず、守りのシステムに適しているのは「垂直統合型PaaS(Proprietary PaaS)」と呼ばれるタイプの事業者です。垂直統合型PaaSを提供する事業者は、サーバ・ネットワーク・OS・ミドルウェアに至るまで単一のベンダーによって構成されることが多く、仕組みに共通点があることが特徴です。そのため、もとがERPパッケージで管理されているような基幹業務システムであれば、垂直統合型PaaSによってクラウド化を進めていくべきでしょう。

これに対し、攻めのシステムには「Open PaaS」が適しています。その名の通りさまざまなOSSをひとつのサービスとして取りまとめ、柔軟性と守備範囲の広さを売りにしている事業者が多いでしょう。Open PaaSにはできるだけ多くのフレームワークや言語を使用し、自由度の高さが求められるモバイル向けアプリ開発などがマッチするといえます。例えばiOS向けアプリとAndroid向けアプリを同時開発しつつ、モバイルユーザをターゲットにしたWebサービスを開始するというようなケースでは、OSや言語をできるだけ広くカバーできたほうが有利になるわけです。

このように守りと攻めにはそれぞれに適したPaaSが存在するため、どちらを得意とする事業者なのかをよく吟味して選定する必要があります。

課金方式やセキュリティ面

PaaS事業者の多くは従量課金制を採用していますが、その内容にも注目しておきましょう。例えばソースコードを実行する時間で課金する方式なのか、環境を利用するユーザー数で課金する方式なのかで、コスト計算は大きく変わってきます。

また、どの程度のセキュリティ対策を求めるのかも重要です。特に守りのシステムには何よりも堅牢性が重視される傾向がありますから、セキュリティ対策に重きをおく事業者を選ぶ必要があるでしょう。

「明確な課題」がクラウド化成功のカギ

主に2種類の選択方式を紹介してきましたが、クラウド化を成功させるには、どちらの場合でも明確な課題の設定が不可欠です。PaaSによるクラウド化がクリアすべき課題は何かを具体的に整理し、コスト削減やスピードアップを実現させましょう。

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