クラウドサービスにはIaaS・PaaS・SaaSという3種類がありますが、その中でもPaaSは開発環境やビジネスの土台がほぼ丸ごと用意されるという便利なサービスです。しかし便利な反面、事前に知っておくべき注意点があることも事実です。

今回は、PaaS利用時の注意点についてまとめていきます。

ベンダーごとに異なる環境の違い

PaaSはどのベンダーを選ぶかで、選択できる環境が大きく変化することに注意しておきましょう。

各ベンダーも競争を勝ち抜くためにサービスの充実をはかっていますが、自社の環境にそぐわないものや自由度が低いものを選んでしまっては、無駄な投資となってしまいます。なるべくオープンソースの技術を使っていて、かつ自社内の環境と整合性がとりやすいような組み合わせを選択しておくと、より活用しやすくなります。

ランニングコストをシミュレーション

PaaSは環境構築のイニシャルコストが非常に低額で済むため、その安さにとらわれてランニングコストを忘れがちです。

PaaSベンダーの多くは従量課金制を採用しており、関数などの実行時間や割り当てメモリの大きさ、トラフィック量などで細かく料金が決められています。もちろん、単位あたりの料金は低いのですが、環境の使い方によってはオンプレミス型と大差ないランニングコストがかかってしまう場合もあるでしょう。オンプレミス型は比較的イニシャルコストがかかり、運用・保守にもランニングコストを要しますが、ある程度自由に調整が効くというメリットがあります。

ベンダーによっては1日単位で予算を設定することができるプランもありますので、想定する環境に応じたランニングコストの事前シミュレーションを忘れないようにしておきたいところです。

セキュリティ面への配慮

これはPaaSのみならずクラウドサービス全体にいえることですが、セキュリティ面のリスク管理を怠らないようにしておきましょう。また、ベンダーがシステムのどこまでを責任範囲とし、どこからが利用者側の責任になるのかも明確にしておきたいところです。

特に物理的な環境を共有するタイプのクラウドサービスは、利用者間での情報漏洩リスクも存在します。また、ネットワークやOSのセキュリティホールを突かれた場合の対応なども、事前に確認しておく必要があります。オンプレミス型であればサーバルームやデータセンターの入室管理などで、物理的にセキュリティを強化することも可能ですが、クラウドによる仮想化ではその点が弱くなる可能性があることを知っておきましょう。

独自技術・特定ベンダーへの依存

PaaSを提供するベンダーの中には、独自の技術や特定の製品だけを組み合わせたサービスを展開している場合があります。これ自体はデメリットではないものの、利用者側があまりにも独自の技術に頼ってしまうと、自社のシステムが柔軟性を失うことに繋がりかねません。また、オンプレミス型や他ベンダーへ切り替えを行う際、移行が難しくなってしまいます。

いわゆる「ベンダーロックイン」の状態に陥ることは、避けるようにしましょう。

二極思考に陥らない

PaaSは環境を丸ごとベンダーから借りることが可能ですが、それゆえに「クラウドかオンプレミスか」という二極思考に陥りやすいともいえます。

必要な部分だけを必要なだけクラウド化し、残りはオンプレミス型で運用するという「ハイブリッドクラウド」は、システムの可用性やリスク分散の面で有効な手段です。時にはコストか利便性か、クラウドかオンプレミスか、といった極端な考え方ではなく、できるだけ中間的な落としどころを想定した使い方が功を奏するのです。

クラウドサービスに振り回されないために

PaaSをはじめとしたクラウドサービスは、あくまでもビジネス上の課題を解決するためのツールです。このツールをうまく使いこなすために、事前のシミュレーションやベンダーコントロールなどを駆使し、ビジネスにメリットをもたらしていきましょう。

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