クラウドサービスの中でもビジネスのイニシャルコスト削減に貢献することが多いPaaS。PaaSにはどのようなメリット、デメリットが存在するのでしょうか。

今回は、ビジネスにスピードとリスクヘッジをもたらすPaaSのメリットとデメリットについて解説します。

PaaSのメリットとは?

PaaSのメリットは、冒頭でも述べたように環境構築にかかるコストとリスクを削減できることです。Webサービスを使った新たなビジネスを立ち上げる場合や、アプリケーションの開発・テスト環境を構築する際には、それなりのコストが必要となります。サーバ・OSはもとより、ネットワーク環境やバックアップシステムの用意などが必須です。加えて、これらの環境を運用・保守する人員も必要になるでしょう。

利益があがるかもわからないビジネス・アプリケーションを立ち上げるためにこれだけのコストをかけるのは、リスクが大きいと判断されがちです。このような場合、PaaSを利用することで初期費用を無料もしくは数万円以下におさえ、なおかつスピーディに環境を構築することができます。

また、既存のシステムをPaaSに置き換える方法も考えられます。これらは主に、ランニングコストや事業継続性(BCP)の観点からメリットがあるといえるでしょう。大企業の基幹業務システムは10年単位で稼働するものも珍しくありません。

さらに、災害やテロなど外的な要因でビジネスの継続が不可能になることがないよう、リスク管理も必要になります。オンプレミス型で自社内もしくは所有する施設内にシステム本体を配置する方法では、これらを担保するために多大なコストがかかってしまいます。一方、基幹業務システムをPaaSに置き換えてしまえば、中長期的に考えてランニングコストが低下し、不測の事態においてもPaaS提供事業者のバックアップを受けられるのです。

このようにPaaSには、新規ビジネス・既存ビジネス双方にメリットをもたらす仕組みであるといえます。

PaaSのデメリットとは?

PaaSには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。それは、場合によってはオンプレミス型に比べて自由度が低く、セキュリティ面の堅牢性に不安があるという点です。

PaaS提供事業者の中には、幅広いOS、ミドルウェアを組み合わせ可能で、自由度を高めているケースもありますが、やはり完全にゼロからシステムを構築するオンプレミス型に比べると、システム構成の自由度は落ちてしまうでしょう。顧客へ提供する環境を、一定のパターンに絞ることでコスト削減を実現しているため、ある程度は致し方ないことといえます。

また、セキュリティ面についても、オンプレミス型に比べて若干の不安を抱える場合があるようです。通信の暗号化対策やネットワーク、サーバのセキュリティリスクをしっかりと計算している事業者を選択すべきでしょう。解約後の顧客データの取り扱いについても明確なポリシーを打ち出しているかどうかを確認しておきたいところです。

PaaSとオンプレミスの良いとこどり? ハイブリッドクラウド

これまでPaaSのメリットとデメリットをあげてきましたが、PaaSのメリットだけをうまく享受し、デメリットを緩和するものとしてハイブリッドクラウドがあります。

ハイブリッドクラウドとは、いわばオンプレミス型とPaaSなどのパブリッククラウドの中間的なサービス。利用者側が自己所有のサーバ・ネットワーク機器を利用しつつ、そこからクラウド上のシステムへ接続することで、システムの可用性や安定性を高めながらコストを削減するというものです。また、クラウド提供事業者とデータセンターのサービスを組み合わせて使うハイブリッドクラウドも存在します。

このようにハイブリッドクラウドは、セキュリティの堅牢性やシステム構成の自由度を担保しつつ、PaaSの利便性を享受するうえで、重要な仕組みといえるでしょう。

PaaSの有効活用は明確なポリシーから

PaaSは比較的デメリットの少ないサービスであるものの、何の計画もなく導入してもあまり意味がありません。イニシャルコスト、ランニングコスト、事業継続性、セキュリティリスクなどを十分に吟味したうえで、活用していきましょう。

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