クラウドサービスの普及は、日常生活のみならず、企業にとっても顕著なものとなってきました。業務の効率化や経理などのバックオフィスにかかる経費の削減には、クラウドサービスの導入はもはや欠かせないものとなっています。

今後ますます普及するであろうクラウドサービスですが、クラウドは大きく分けて、SaaS、PaaS、IaaSの3つに分類することができます。ここでは、クラウドの中でも特に自由度が高いとして評価されているIaaSについて取り上げます。

公的機関が発表する情報セキュリティマネジメントガイドラインについて

クラウドサービスの利用に関して、ガイドラインなどの手引きを経済産業省が作成しています。平成23年にクラウドサービスの普及に伴って経産省から公表されたのが『クラウドサービス利用のための情報セキュリティマネジメントガイドライン』です。公的機関が公表しているクラウド導入のガイドラインですので、導入を検討している企業などは一度目を通してみるのが良いでしょう。

このガイドラインはIT業界の急速な発展を背景に、クラウド利用者や開発者などから強い要望を受け、平成26年に新たに改訂されました。この新しく公表されたガイドラインの中では、理論だけではなく、もう一歩踏み込んだ実務的で具体的な内容がまとめられた活用ガイドブックというものが作成されました。

アメリカが先駆けたクラウドファーストというコンセプト

クラウドファーストとは、2010年に世界に先駆けてアメリカ連邦政府が打ち出した考え方の愛称です。システムの基盤を自社で所有・運用するオンプレミスに比べ、クラウドサービスを優先的に利用することにより、大幅な効率化を目指そうとするものです。

一般的に広く認知されているクラウドサービスはSaaSに分類されるものが大きいですが、企業が導入するクラウドファーストという考えの中では、特にIaaSなどの自由度の高いサービスが想定されています。企業は、IaaSなどのサービスを積極的に利用し、それを基盤にさまざまなアプリケーションの開発や運用を行うことを指針とするものです。

経済産業省の作成する『情報セキュリティマネジメントガイドライン』にも関連しますが、圧倒的な経費削減につながるのにも関わらず、クラウドサービスの導入に二の足を踏んでいた企業が心配していたのはセキュリティ面でした。クラウドはどこからでもアクセスすることができるという特性上、外部からの攻撃などに対して脆弱性が指摘されてきたのです。しかし、近年ではこのセキュリティの問題も大幅に改善されたことで、日本でも導入企業は増えてきたという背景があります。

IoTにより得られたビッグデータを利用し情報を有効活用する流れ

上記のようなクラウドファーストの流れを受けて、日本でもクラウドサービスの導入を始めている企業は多くなってきました。

これに伴い、企業の発展のため、様々なモノとインターネットを繋ぐ、いわゆるIoTの導入も盛んに行われるようになっています。IoTによって得られたビッグデータを分析し、有効活用することは、今後のIT技術の発展に伴ってますます重要になってくるものです。このようなIoTなどのインフラ整備にも自由度の高いIaaSのようなサービスは利用されており、これらのインフラ整備を担当する技術者も必然的に必要になってくるため、世界中で新たな雇用を生み出すと期待されているのです。

IaaSは自由度が高く、柔軟なプラットフォームの開発が可能である一方、クラウドの中でも最も高等かつ専門的な知識が要求されます。クラウドファーストの流れが世界的に加速すれば、IaaSの需要はさらに高くなり、開発者にとって最も求められる分野になるでしょう。

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