クラウド技術の発達により、社内システムのハードウェア機能をクラウド上で提供する、IaaSサービスを利用する企業が増えてきました。IaaSを利用する際には、既存の社内システムとの整合性やスケジュール、費用など、デメリットをなくすために押さえるべきチェックポイントがあります。
IaaSへの移行にあたってチェックしておきたい項目を紹介します。
既存のプログラムは利用可能か
IaaSに移行する以前の社内システムには、オンプレミスやコロケーション、共有ホスティングなど様々な利用形態があります。IaaS利用にあたり全く新しいシステムを構築する場合もありますが、オンプレミスなどで利用していた既存のプログラムを移行することも可能です。
基幹システムやメールシステムなどの基本的なシステムから、業種ごとに特化したシステムまで多様なプログラムを移行でき、たとえば物流会社や小売会社では販売物流システム、資材購買システム、在庫照会システムをクラウド上に移行した例があります。ただし移行にあたり、OSのバーションやハードウェアの種類、プログラムの性質などによって修正作業が多く発生する可能性があります。したがって自動修正ツールやバックアップシステムを活用しながら、既存システムに関わる事業を中断することなく移行していく作業が重要です。
モバイル端末への対応
IaaSの特徴の1つは、クラウド上の仮想サーバーに、自社のニーズに応じたOSをインストールし使用できる点です。この点のメリットとして、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末に対し、柔軟な対応が可能になったことが挙げられます。
たとえば小売店や薬局などの店舗事業では、業務中にタブレット端末経由で社内システムと接続し、在庫状況や医薬品の処方管理を行う事例が増えており、IaaSであればこのような場合にもスムーズなアクセスが可能になります。IaaS導入に際して、モバイル端末を活用したシステムを新たに構築することもありますが、既存システムですでにモバイル端末を組み込んだプログラムが実施されている場合は事前の検証が欠かせません。
移行方法による費用の差異
IaaSへの移行方法としては、初期段階で最低限のリソースを確保し、その後自社の事業展開に応じてサーバーやネットワークを増強していくものが一般的です。各サービス提供事業者によってパッケージ化されていることが多く、たとえばファイアウォールと仮想マシン1台などという単位で月額料金が決められ、仮想マシンやストレージなどを追加していくごとにオプション料金がかかるというパターンが多いようです。
このように必要最低限のリソースから始め、状況に応じて増強・削減していくパターンの他に、必要な時のみサーバーやサービスを一時利用するという方法もあり、それぞれで費用が異なってきます。自社の事業展開やシステム状況をIaaS移行前に整理し、長期的なスパンで計画を立てていくことが最も費用効率の良い移行方法の選択へとつながります。
移行スケジュールと経費
IaaSへの移行スケジュールは、必要となるリソース量や既存システムの内容により幅があります。しかしクラウド上でシステムを構築していくため、ハードウェアの移送・設置などの時間がかからないことが特徴であり、最小限の規模での移行の場合、数日で作業が完了するケースも多くあります。大企業での基幹システム移行など、大規模な作業であっても数か月で完了する場合がほとんどで、移行にあたっての業務への支障がわずかで済むといえます。
また経費としては、初期費用無料のサービスも多いためオンプレミスと比較し初期投資が少額で、システム拡大にともなってその時々に経費を使用していく仕組みになるため、システム管理と同時にコスト管理も容易になるでしょう。
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