初期コストがほとんど必要ない上に、非常に低額な月額料金で安定したインフラ環境を利用できることが魅力のIaaS。すでに国内の名だたる企業がIaaSを提供するクラウドベンダーとして名乗りを上げています。クラウドベンダーは大資本を持つ企業であることが多いですが、国内でもその傾向は強く、富士通、IDC、さくらインターネットなどがその代表と言えるでしょう。

今回はこれら国内クラウドベンダーの特徴と、セキュリティに関する考え方を紹介していきます。

ISP、データセンター運営、ホスティング事業者などが並ぶ国内事業者

国内におけるIaaS型クラウドサービスを提供しているベンダーの特徴は、大きく二つあります。まず一つは、クラウド登場以前からサーバー、ネットワークに関するサービスを展開してきた企業であるこということです。

例えば国内では最も長い歴史をもつISPの一つ「ニフティ」も、クラウドベンダーとして「ニフティクラウド」を提供しています。国内に2か所、独自のデータセンターを持ち、サーバー性能の良さで人気を集めています。また、電機メーカーとして有名だった「富士通」も富士通クラウドを設立してクラウドサービスの提供を開始しています。その他ホスティングサーバ事業で実績のある「さくらインターネット」やYahoo! JAPANグループが運営する「IDCFクラウド」なども大資本を背景に運営されているクラウドサービスです。

これらのクラウドベンダーはもともとクラウドサービスと類似するサービスを提供していましたが、クラウド全盛の時代になり事業の内容を一部カスタマイズしながら対応していると言えます。

さらに、二つ目の特徴として、日本独自のきめ細やかなサービスが挙げられるでしょう。国内のクラウドベンダーは障害対応や電話による相談受付、ネットワーク転送料金の無料化など豊富なアフターサービスが魅力です。障害時に24時間対応の電話受付をサポートするなど、インフラ担当者には心強いサービスも展開しています。良心的なサービス内容とサポートは日本企業独自のものと言えそうですね。

セキュリティホワイトペーパー比較

クラウドサービスを利用するにあたり、最も重要視されるのが「セキュリティ」です。クラウドはある程度限定が可能とはいえ、不特定多数の人間が至る所から同一のリソースにアクセスするために、セキュリティに関する高い意識が必要とされます。そこで国内の主要事業者が開示しているセキュリティホワイトペーパー(セキュリティに関する考え方や取り組みをまとめた白書的な文書)から、事業者ごとの特徴を見ていきましょう。

  • ニフティクラウド

ニフティクラウドではセキュリティホワイトペーパーを公開しており、ニフティの責任範囲とユーザの責任範囲を明確に区別しています。ニフティが所持するインターフェース・物理的設備・各種機能やサービス管理についてはニフティ側の責任範囲とし、ユーザが任意に変更可能なデータ・アプリケーション・OS・ネットワーク・IDやパスワードなどはユーザの責任範囲としているのです。ニフティのセキュリティホワイトペーパーはとても簡潔で、セキュリティに対する知識が浅いユーザでもその概要が理解できることが特徴です。

  • さくらのクラウド

さくらインターネットでは具体的なセキュリティホワイトペーパーは公開していないものの、セキュリティへの取り組みをまとめたページを公開しています。ニフティに比べると専門的な技術用語が多い内容ですが、ホスティングサーバ事業者として培ってきたセキュリティ技術が、クラウドサービスにも活かされていることがわかるでしょう。VPCルータ(仮想ルータ)の設置とファイアウォールによるセキュアな接続、SSLによる暗号化、WAF(webアプリケーションファイアウォール)の無料提供などが謳われています。

  • IDCフロンティア

IDCフロンティアではクラウドサービス全般に対するセキュリティ概要をまとめた資料を公開しています。これはどちらかと言いえば規約のような文書で、具体的な技術やサービスについて記載されているものではありません。IDCFが提供する個別のサービスに関するセキュリティ仕様などは、別途問い合わせたほうが無難と言えそうです。

以上、3社のセキュリティホワイトペーパー(もしくはそれに準ずるもの)を紹介してきましたが、それぞれに企業の特徴が垣間見える結果となりました。セキュリティホワイトペーパーで公開している情報は、企業としての考え方や概要の部分が多く、企業ごとに情報のレベルがかなり異なりますので、利用するサービスの具体的なセキュリティ仕様は、別途問い合わせる必要があるでしょう。

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