IaaSは国内外に複数の事業者がありますが、その事業者自体の規模もさまざまです。では大規模ベンダーが提供するIaaSと中小規模のベンダーが提供するIaaSにはどのような違いがあるのでしょうか。今回はIaaS提供事業者の規模による違いに迫ります。

大規模ベンダーが提供するIaaSの特徴や利点は?

大手ベンダーが提供するIaaSの特徴は、大資本をバックボーンとした安定感でしょう。IaaSを提供する事業者は、国内外問わずIaaS以外の分野で既に有名な企業であり、クラウドサービスの盛り上がりによって業界に参入してくるケースが多くなっています。そのためそもそもIaaS事業に投下できる資本が多く、サービスの根幹を支える電源設備や回線を備えたデータセンターを用意しています。

国内の大手IaaSベンダーの場合、多くが東西2か所にデータセンターを配置し、災害時や不測の事態にそなえた体制を敷いていることからも、その安定感が伺えるでしょう。また、仮想共有型のIaaSだけではなく比較的高コストな仮想専有・物理専有型のクラウドサービスにも対応しているため、クラウドといえども自社の専用インフラが欲しいという要望にも応えることができます。料金体系もきめ細やかに設定されており、特に国内の大手ベンダーでは仮想マシンのスペックをメモリ1枚、CPU1個単位で調整でき、それによって料金が変更されていく場合があることに注目です。

これに対して海外の大手ベンダーは、世界各地に設置されたリージョン(地域)単位での設備が複数存在するため、災害においてシステムが完全にダウンする可能性か極端に低くなるというメリットがあるでしょう。例えばアジア地域に東京、ソウル、シンガポールにデータセンターを持つ大手ベンダーの場合、万が一東京の設備がダメージを受けたとしても、ほかの二つが稼働しているわけですから、サービス自体が継続不能になることは考えにくいのです。グローバルでサービスを展開するIaaS事業者の強みと言えますね。

中小規模ベンダーが提供するIaaSの特徴や利点は?

IaaS事業者の中には、事業者事態の規模がそれほど大きくない場合もあります。インフラ設備をクラウド上で仮想的に提供する企業とはいえ、やはりベンチャー的な企業は存在するのです。大手ベンダーが資本力を背景とした安定感のあるサービスを提供する一方で、中小規模のIaaSベンダーは独自の技術力を活かしたサービスを提供する傾向があります。例えば直感的に操作しやすいwebベースの管理画面であったり、特許を取得していたりと、大手ベンダーが提供していない部分を強化していると言えるでしょう。また、大手ベンダーは料金コースやマシンスペックの基本モデルが決められていますが、中小規模ベンダーでは基本モデルには無いサービス形態についても相談が可能なようです。

IaaSに期待するものを明確にする

大手か中小かという違いの他にも、IaaS提供事業者ごとに独自の強みを持っている場合があります。その強みは選定できるOSの種類であったり、ネットワーク伝送速度であったりと様々です。IaaSを利用するにあたり、何を重視するかで事業者の選定プロセスは変わってくることでしょう。

どうしてもWindows OSにこだわりたいといった要望や、ピークタイムでも伝送速度が落ちない回線が欲しいというこだわりがある場合は、ある程度事業者を絞って選定していくことになります。その他、ストレージ容量や仮想マシンスペック、月額料金の安さを重視する場合でも同様です。どのIaaS事業者も苦手分野をつくらないようなサービスを提供しているものの、やはり得意不得意はあるでしょうから、IaaSを利用するにあたって何を重視するかはあらかじめしっかりと決めておきたいところです。

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