IaaSを導入するにあたり、抑えておかなければいけないポイントはいくつかあります。特に初期費用やランニングコストといった費用面が重視されがちですが、安定性や堅牢性の観点からBCP(事業継続性)やDR(障害からの復旧)も非常に重要なポイントです。これらをしっかりと担保するためには、IaaSを提供している事業者の設備面も重視しなければなりません。そこで今回はIaaS事業者を選定するにあたり、設備面で重視すべきポイントを紹介します。
IaaS事業者が保有するデータセンターの立地に注目!
国内外問わず一定規模以上のIaaS事業者は、データセンター内に専用設備を保有しているケースが大半です。通常、データセンターは災害や停電、火災などを考慮しつつ、広大な敷地の中に厳重な造りをもって建てられているものですが、その数や場所に注目しておきましょう。データセンター自体が災害に強い構造を持っているとはいえ、100%ダメージを受けないという保証はありません。つまり1か所のデータセンターにIaaSを提供するための設備を集中させている場合、災害や非常事態によるサービス停止の可能性があるということになります。
よって、国内事業者の多くが日本各地に複数のデータセンターをサービス提供の基盤として確保しているのです。また、海外では世界各地にリージョン(地域)として分け、それぞれのリージョンに複数のデータセンターを配置しています。具体例として、大手IaaS事業者のデータセンター体制をまとめています。
- 富士通クラウド
富士通クラウドが提供している仮想共有型のIaaS「S5」では、東西二つのデータセンターを基盤とし、業務データの分散化やデータ復旧に役立てています。
- IDCフロンティア
東日本では白河データセンター、西日本では北九州データセンターを筆頭とし、東西複数のデータセンターを配置。東西二つのリージョンと、それぞれに独立した複数のゾーンを展開しており、続々と新サービスを追加しています。
- amazon web service(AWS)
グローバルに流通業を手掛けるamazonは、クラウドの世界でも最大手の一つとして君臨しています。amazonがアジアパシフィック地域において提供しているゾーンは、シンガポール、東京、シドニー、ソウル、ムンバイ、北京の5か所で、それぞれにデータセンターを最低1つ以上保有。この5か所が同時に大災害に見舞われる可能性は極めて低いと言えるでしょう。
このように国内外の大手IaaS事業者を見ると、必ず複数の拠点に1か所以上のデータセンターを保持していることがわかります。地域ごとにデータセンターを配置することで、リスク分散や障害復旧スピードが高まり、BCP/DR対策として有効と言えるでしょう。
サービス提供のために可用性・冗長性は確保されているか?
IaaS事業者選定においては、データセンターの立地と同様に、サービス提供のための可用性・冗長性が担保されているかという点も重要です。そこで前述した3つのIaaS事業者について、可用性・冗長性対策を見ていきましょう。
- 富士通クラウド
仮想共有型サービス「S5」では可用性を担保するため、物理サーバーが障害を起こしたときすぐに別のサーバーに仮想マシンが移動するようになっており、冗長性を高めています。この「物理マシン間を仮想マシンが移動する」仕組みによって、障害時でもおよそ10分程度でサービス復旧が可能です。
- IDCフロンティア
東西リージョン間で物理的な冗長構成や負荷分散構成をとっており、システムの可用性を高めています。
- amazon web service(AWS)
アジア太平洋地域においては、5か所(シンガポール、東京、シドニー、ソウル、ムンバイ、北京)においてそれぞれが冗長性と可用性を高めたデータセンターを保持しています。また、これら5か所は最低一つの独立したデータセンター内でサービスを提供しているため、この分散した立地自体が冗長性を高めていると言えるでしょう。
大手各社はいずれも可用性や冗長性についての対策を行っており、顧客のBCP/DRを意識していることがわかりますね。大手事業者による寡占化が進むIaaS業界ですが、今後はどの事業者においても高いレベルの可用性・冗長性が求められそうです。
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