キャンペーンサイトや簡単なECサイトを運営する場合、外部のレンタルサーバーやクラウドサービスを利用するのが一般的です。その際にしばしば悩まされるのが「アクセス過多」によるサイトの一時的なダウンです。

Webサイト上には「Service Temporarily Unavailable」といった素っ気ない画面が表示され、アクセスしたユーザーは、サイトのコンテンツをまったく見ることができません。ここで「あれ?」と感じたユーザーが行うのが画面の再読込です。

スマートフォンの画面を下方向にスワイプしたり、PCの画面で「F5」キーを押したりします。ユーザーが一斉にそうした操作を行うと、アクセスが集中してWebサイトがますますつながりにくくなっていきます。

こうしたアクセス過多によるエラー表示は、HTTPステータスコードの503を出力することから「503エラー」などと呼ばれています。ただ、HTTPだからWebサーバーだけの問題というわけではないのが、このエラーのやっかいなところです。

ある企業では、CMSで構築したECサイトを共用レンタルサーバーからクラウドに移行しました。背景にあったのがアクセス過多による503エラーの頻発です。レンタルサーバーの運営者に問い合わせると、同時接続の制限を超えてしまっているので、商品画像やスクリプトなどの読み込みを工夫したり、上位プランに変えてCPUやメモリ、帯域を増やしたりすることをすすめられました。

それでしばらくは問題がなかったのですが、ECサイトが人気になると再び503エラーが頻発するようになります。そこで今度はリソースを柔軟に増やせるようにと、CMSの基盤をそっくりクラウド(IaaS)へと移行することにしました。さらにWebサーバーの設定なども自分たちで行うようにしました。

しかし、問題はここからでした。単にWebサーバーの「同時接続数」などを増やすだけでは503エラーの頻発は解消できなかったのです。試行錯誤のうえ、この企業では最終的にトラブルシューティングを専門業者に依頼することにしました。

専門業者は、データベースサーバーやロードバランサーなどのリソースを含めて、システムが安定稼働する適切な値に再設計してくれました。これにより、アクセス過多によるエラーがでることはなくなったそうです。

アクセス過多による503エラーはさまざまな要因で起こります。Webサーバーの設定だけでなく、アプリケーションサーバーやデータベースサーバー、ロードバランサーの処理能力をきちんと見極めなければなりません。単純な設定ミスのようで、実はかなり専門的な知識とノウハウが求められるのです。ネットワーク監視やパフォーマンス監視などの専門家の手を借りながら、うまくトラブルに対処していきたいところです。

監修:シーティーシー・テクノロジー

シーティーシー・テクノロジーは、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)グループで、ITシステムの保守サポート、運用サービス、教育事業を提供する企業。1972年に創業し、全国に保守拠点を持つ。サポートする機器は契約台数約30万台に及び、年間約6万7,000件の障害対応を行うなど、トラブルシューティングのスペシャリスト集団である。

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