医療機関では、個人情報をはじめとした大切な医療情報を扱っており、セキュリティに細心の注意を払いながら、信頼性の高いネットワークを構築し、診療における精度の向上、業務の効率化、スピードアップが求められています。その一方で、中小規模の医療機関では、専任の情報システム部門やネットワーク管理者が不在といった構造的な問題と向き合っています。ここではL3スイッチがそうした課題を解決する例を見ていきましょう。

ネットワーク障害への対策という課題にどう対処するか

今回紹介する総合病院もそうした状況の中、患者第一のサービスを提供するための施策の一環として、信頼性の高いネットワーク構築を進めています。医師や医療スタッフ合わせて50名ほどの、中堅の総合病院に位置づけられている同病院は、地域密着型の医療機関として、中規模病院だからこそできる小回りの利く診療を実現しようと、地域住民の医療を長年支え続けてきました。

この病院は2~3年前から、ネットワーク障害への対策という課題を抱えていました。院内の端末から、サーバーやインターネットへの接続が不安定になることが多く、エラーが発生することも少なくありませんでした。同病院のネットワークは、ルータの配下にL2スイッチを配置している構成で、L3スイッチは導入されていません。

  • ルーターの配下にL2スイッチを配置した例。ルーターやL2スイッチに処理が集中し、ネットワークのパフォーマンスが低下している

    ルーターの配下にL2スイッチを配置した例。ルーターやL2スイッチに処理が集中し、ネットワークのパフォーマンスが低下している

また、昨今の医療機関は、診療に関わるさまざまな作業や情報が電子化され、医療機器も高度な電子機器となっており、さらにそれぞれがネットワークでつながっています。そのため、多くの端末からの通信が発生してしまい、L2スイッチやルータに処理が集中していました。それが原因でネットワークの負荷が偏り、ネットワークのトータルパフォーマンスを落とすことになり、ネットワークが不安定になっていたわけです。このような場合、ルータの配下にL3スイッチを導入することで、負荷のバランスをとるという方法が有効です。

実は、同病院では、過去に一度、L3スイッチを含めたスイッチ全般の導入を計画したことがあったのですが、専任のネットワーク管理者を置くコストの問題が解消できず、導入を断念した経緯があります。

とはいえ、このままでは、患者第一のサービスを提供できないという、サービス品質の低下に直結する恐れがあります。現場や管理職からも「ネットワーク障害が増えると、診療がスムーズに進まず、効率が悪い」「必要なデータが取れない恐れが出てくる」「そもそも、患者に不安を与えてしまうのではないか」といった不安の声が上がっていました。

スムーズに行えたL3スイッチの導入

同病院がヤマハのスタンダードL3スイッチ「SWX3200シリーズ」、インテリジェントL2スイッチ「SWX2300シリーズ」の採用を決定したのは、実際の導入より半年ほど前のことです。

ヤマハのネットワーク機器は、高速でセキュアな通信ができ、安定していることで定評があります。すでに同病院ではヤマハルータを導入していたことから、ヤマハのネットワーク機器を導入すれば、ネットワークが安定するだろうというのは予想できており、その点が採用の決め手になったとのことです。

実際にL3スイッチを導入するにあたり、トラブルなく機器を入れ替えられるか、安定したネットワーク運用が可能かといった点も不安だったようですが、代理店のこまめなサポートにより、検証を含めて半年程度で導入が完了したとのことです。

  • ルーターとL2スイッチの間に「L3スイッチ」を設置した例。負荷が分散され、ネットワークのパフォーマンスが向上した

    ルーターとL2スイッチの間に「L3スイッチ」を設置した例。負荷が分散され、ネットワークのパフォーマンスが向上した

ネットワーク障害への対策だけでなくセキュリティ対策にも寄与

スタンダードL3スイッチ「SWX3200」や、インテリジェントL2スイッチ「SWX2300」の導入により、ネットワーク障害対策といった課題が解消されただけでなく、不正な端末接続の拒否、セキュリティ対策の充実への寄与といった副次的な効果も得られたのも大きいといいます。

ヤマハのネットワーク機器は、ネットワークの「見える化」が強みとなっています。ルータに搭載されている「LANマップ」は、スイッチにも搭載されており、「LANマップLight」と呼ばれる同機能は、ヤマハのルータやファイヤウォールがない環境でもLANの見える化を実現してくれます。

スイッチ単体でループや端末の異常状態を把握したり、LANに接続されている端末の管理や設定ができたりする点は、担当者にとっても障害時の対処がしやすく、ありがたい機能といえるでしょう。現在の同病院には専任の情報システム部門やネットワーク管理者が配備されていないのですが、ネットワークが不安定になると、兼任の担当者がそのLANマップを参照し、必要に応じてSIerや保守業者などに連絡するといった運用ができているといいます。

同病院の患者からも「診療や会計の待ち時間が短縮された」といった意外な反響があり、今後は系列病院や、地域の別の医療機関への採用を広げるといったことも検討しているようです。L3スイッチ導入による効果を実感できたことで、さらに情報ネットワークを整備し、地域の医療機関と連携して、質の高い診療につなげていければ、患者の多様なニーズに応える体制も整ってくることでしょう。同病院によると今後も診療の進化を目指し、データの共有と活用も積極的に進めていければ、とのことでした。

ここまで中堅の総合病院における事例を紹介してきました。ネットワーク障害への対策や、専任のネットワーク管理者が不在という課題に対して、有効な手立てを導き出せないでいる企業では、スタンダードL3スイッチ「SWX3200」や、インテリジェントL2スイッチ「SWX2300」の導入を検討する価値は大いにあるといえます。

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