クラウドサービスは数多く存在し、それぞれにメリットがある。だが、実際に自社で活用しようと検討をはじめてみると、どれを選べば良いか最初は判断しづらいはずだ。ここでは、それぞれのサービスの特長を活かしてクラウドへの移行を成功させた事例を見ながら、自社への導入をシミュレーションしてみよう。
Microsoft Azure
Microsoftが提供するクラウドプラットフォーム。PaaSとしては「Azure App Service」、IaaSとしては「Azure Virtual Machines (Azure VM)」などある。
グローバル規模の拠点間で活用する自社アプリケーションのベースにMicrosoft Azure VMを採用 - 製造業A
課題
- 広域サービスの提供における遅延
- WindowsとLinuxの両OSが必要だった
- サービス提供が急がれていたため、構築期間が短かった
Microsoft Azure VMを中心としたクラウドサービスでシステムを構築
解決
- リージョン数が多く、リージョン間のデータ転送スピードも高速
- 複数OS環境で仮想サーバが構築できるため柔軟な対応が可能に
- 実際のシステム構築から運用まで2カ月で完了
A社はグローバルに拠点を持つ製造業者だ。拠点間で利用するWindows、Linuxそれぞれで動作するアプリケーションをすでに開発しており、それを自社環境で提供していた。しかし、拠点数が拡大するに従いシステムが圧迫。データ遅延などが発生し、対策に追われていた。
そこでMicrosoft Azure VMを中心としたクラウドシステムへの移行を決定。アプリケーションを仮想サーバに載せ、テスト試行を繰り返してシステムを再構築していった。その結果、データ転送スピードが速く、拠点間のデータ連携も改善されると共に、システム移行を開始してから実運用まで2カ月という短期間でシステム構築は完了。現在、以前の拠点間で利用するアプリケーションはクラウドシステムとして安定した稼働を続けている。今後は、ディザスタリカバリでの利用も視野に入れている。
こんな企業にオススメ!
複数OS環境を統合したい企業。Windowsベース(Microsoft製品)のシステムをクラウド移行させたいと考えている企業
Amazon Web Services
Amazon.comが提供するクラウドコンピューティングプラットフォーム。PaaSでは「Amazon Elastic Beanstalk」、IaaSでは「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」などある。
オンプレミス環境で運用していた統合データベース基盤をクラウドへ移行 - サービス業者B
課題
- 会員数増加に従いデータベースが圧迫。オンプレミスでの新たなシステム構築が負担に
- 情シスが少なく、リソースが不足している中、早急な対策が必要だった
- クラウド活用が初めてのためPoCを実施しながら確実な移行を実現したかった
Amazon EC2を中心としたクラウドサービスでシステムを構築
解決
- IaaSへ既存のOSSのデータベースをそのまま移行
- オンプレミスで同規模のサーバ構築と比べてコストも期間も圧倒的に少なくできた
- PoCを実施しながらの移行でも1カ月で完了できた
日本全国に支店を持つサービス業者Bは、会員数の増加と共にデータベースの増強を求められていた。しかし、情シスが少なく、リソース不足の中でサーバの選定から購入、設置など、オンプレミス環境でさらに負荷が高くなる状況は避けたかった。
そこでB社はAmazon EC2を選択。データベースの強化を図りながらPoCを実施。最適なスケールを設定し、安定稼働を実現した。同規模のシステムをオンプレミスで構築したケースと比べ、圧倒的な短期間でのシステム構築とコスト削減を両立した。
こんな企業にオススメ!
スピーディーにクラウド化へ移行したい、手軽に簡単にシステムを構築・運用したい企業
Google Cloud Platform
Google Cloud Platformとして提供されるクラウドサービス。PaaSとして「Google App Engine」、IaaSとしては「Google Compute Engine」などがある。
強固で高速なインフラを活かしたクラウドサーバ運用 - 動画サービス業者C
課題
- 自社サーバで動画を提供していたが、サーバ増に従い障害発生率も増えていた
- Webサーバ側のスケーリングがアクセスの増減に対応できていなかった
- サーバ運用が難しく、適切なリソース管理に負担が掛かっていた
Google App Engineを中心とした配信システムを構築
解決
- 堅牢で高速なシステムがクラウド上で構築できた
- 自動スケール性能などによりアクセスの増減に余裕で対応
- 運用管理の負担も大きく軽減された
動画サービスを提供しているC社は、自社で運用していた配信システムに限界を感じていた。サーバを増強するとそれだけ障害発生率もあがり、運用の負担が増えてしまう。また、Webサーバのスケーリングも急激なアクセス増に対応しきれず遅延が発生することも多かった。
そこでC社はGoogle App Engineを中心としたクラウドシステムに移行を決定。故障や遅延などのトラブルとは無縁の堅牢で高速な環境での配信サービスが提供できるようになった。また、スケールも自動または配信日などに合わせて自在に調整でき、情シスへの負担は激減。新たなサービス開発などにリソースが割けるようになった。
こんな企業にオススメ!
堅牢なインフラが必要な企業。大量アクセスによるシステムダウンをゼロにするとともに、スケーリングが自由におこなえ、ピーク時の負担を分散したい企業
成功例から見えるクラウドによる効率化
クラウドを効果的に活用していくことで、多くのメリットが享受できることはお分かりいただけたかと思う。もちろん、ここで挙げた解説や事例はその一部でしかなく、すでに多くの企業がその恩恵を受けることに成功している。
ただし、やみくもにクラウド化を進めるのではなく、きちんとした準備も必要だ。そのためには自社で検討するだけでなく、豊富な知識を持ったパートナーの力を借りるのも一つの方法となる。多くの成功例を持つSIerに相談し、自社のITをクラウド化することで最大限の業務効率化を実現していただきたい。
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