魅力を感じたのは、意外な業界
「情シスの仕事が爆発的に増加しているのにノンコア業務で忙しい」「事故が起こってからでないと経営者の腰が上がらない」……これらは「情シスレスキュー隊」を運営するソフトクリエイトが2019年9月18日に開催した『情シスサミット 2019 秋〜情シス運用を考える1日』での一幕である。
情報システム部門の仕事は、あらゆる企業の業務に欠かせない。ネットワークを保全し、セキュリティを守り、業務システムを進化させていく。にもかかわらず不思議と軽視され、「不幸」と感じている情シスは多い。
「ネットワークエンジニアとしてもっと新しいチャレンジをしたい」そう思って通信業界のベンチャーを辞め、2年前に転職活動をしたウエディングパーク コーポレートIT室 ネットワークエンジニアの瀬川一也氏も、情シスに対する世間一般でのネガティブなイメージは感じていた。
そんな瀬川氏が入社したのがウエディングパークだ。同社は2004年に、結婚式場の口コミサイトを日本で初めて立ち上げた会社である。ネットメディアとはいえ、ITのイメージが薄いブライダル業界。瀬川氏は、なぜこの会社を選んだのだろうか?
「会社のカルチャーがすごく魅力的だったのです。バックオフィスも営業も開発部門も分け隔てなく、互いに刺激し盛り上げている『競争と協調』が見えました。技術面でも、『2020年までにブライダル業界でNo.1の技術者集団になろう』という目標を掲げていたり、テックブログを2015年から継続して投稿し続けていたりと、技術への姿勢を感じました」(瀬川氏)
ウエディングパークは「Best Motivation Company Award2019」を受賞しており、チーム全員が力を発揮するための仕組みづくりに注力している。
「入社して驚いたのは、社内SNSの活用がすごく進んでいたことです。営業の受注や新機能の開発などの『花形』だけでなく、バックオフィス側のプロジェクトにも拍手が集まり、お互いに認め合って評価しています。目立たないどころか、ともすれば嫌われてしまう情シスのような部署にとって、すごく恵まれた環境だと思っています」(瀬川氏)
初めは「ひとりの情シス」だった
創業から20年。ウエディングパークは掲載会場数で日本最大級となり、当初は数人だった社員数は現在では200人近くにまで増えた。しかし、これまでの道のりは決して順風満帆だったわけではない。
口コミサイトを立ち上げてしばらくは、忌憚ないコメントを見た結婚式場からクレームが殺到したり、インターネット広告や口コミサイト自体に理解が得られず、なかなか営業がうまくいかなかったりした時代もある。コーポレートIT室 室長の西朗氏がウエディングパークに参画した10年前、アウトソースしていたシステムのアーキテクチャは古く、サーバー管理も見直しが必要な状態だった。
「私は、開発部門の責任者としてエンジニア社員の採用をすすめ、アーキテクチャを見直し内製で全てのシステムを刷新しました。ユーザーにあわせた可愛らしいデザイントーンのサイトを運用していて、当時は知名度もありませんでしたから、技術力のあるエンジニアの採用にも苦労したものです。社内インフラは、サービス開発部門のインフラエンジニアが兼務で見ていました」(西氏)
情シスが部門として完全に独立するのは、開発メンバーも数十人となり、既に会社規模が大きくなっていた2017年からとなる。
「サービス開発レベルは上がりましたが、その頃になってもまだ業務系は、注文書のやり取りがFAXだったりメールだったりと煩雑な状態。そこで私がサービス開発部門を離れて新しい部署を立ち上げ、全社のセキュリティポリシーの策定や、オンラインで完結する広告の受発注システムの構築などをおこなうことになったのです」(西氏)
さらにこの部門を強化しようというタイミングで、コーポレートIT室に瀬川氏が加わったのだ。
外部の力を借りて、少数精鋭を実現
ウエディングパークの情シス部門は「少数精鋭」主義だ。もちろん、定型業務は人を配置しないように自動化を進めているが、限られた人数で社内のIT基盤すべてを見るためには、多くの工夫が凝らされている。
グループウェアとして使っている「サイボウズ ガルーン」はクラウド化し、社内でのサーバー管理やメンテナンスを不要とした。
また、同社は事業の特性上、全国各地の結婚式場へ営業に行くことが多い。時には一週間ずっと外に出ていることもある。働き方改革への対応などもありエンドポイントセキュリティを強化するために、「LanScope Cat」を導入した。IT資産管理や内部不正対策・外部脅威対策をすべてまとめておこなえるツールであり、徹底してシンプルな運用で管理の手間を大きく省くことができる。
実は、こうした数々のプロジェクトには、ソフトクリエイトの手助けがあった。「情報システム部の味方」と名乗る同社と、ウエディングパークとの関係は10年になる。きっかけは「業務デバイスの調達だった」と、西氏は次のように語る。
「結婚式場は都市部だけではなくリゾート地にもありますし、打ち合わせするのが会議室でないことも少なくありません。『どこでも電波が繋がり、電源が取れないような場所でも使い続けられるWi-Fi』、『軽量で画面が美しくてバッテリーが長持ちするハード』といった複雑な条件にも、丁寧に対応してくれることが印象的でした。そういったところから、徐々に取引が増えていきました」
また、「LanScope Catの導入についても大いに助けになりました」と、瀬川氏は語る。
「当時私はまだ入社したばかりだったので、『当社の課題を理解していて、スムーズにサポートしてくれた』という印象が強く残っています。LanScope Catは『Microsoft Azure』に乗せたのですが、ソフトクリエイトが提供している『SCCloud』でなくても完璧に対応して頂けて、技術者としての守備範囲の広さにとても刺激を受けました」
なんのために仕事をするのか?
コーポレートIT室として情報システム部門を立ち上げたウエディングパーク。システム運用保守の責任が増しただけでなく、「思い切ったことにチャレンジできるようになった」と瀬川氏は語る。
「新しい試みとして、顔認証による入退室システムを導入しました。ICカードなしでも入退室できると利便性が向上されますし、なにより先進的な試みにすべての社員が触れる機会になればと思っています。能動的に動くことで必要な技術や知識も増え、エンジニアとしての興味関心も増しています」
コーポレートIT室は2020年から「技術で仲間と業界を幸せにする」という意義目標を掲げた。なんのために社内の業務基盤を作り、保守し、ソリューションを導入するのか。 それは幸せをもたらすため、という宣言だ。この目標について西氏は次のように語る。
「ウエディングパークの経営理念は『結婚を、もっと幸せにしよう。』です。自分たちが幸せにならなければ、結婚式場もカップルも幸せにする事はできないでしょう。人数が増えて能動的な施策が出来るようになりましたが、今後は、攻めを守るIT部門として安心して営業活動出来る施策や、他部署の業務プロセス改善支援など、もっともっとチャレンジしていこうと思っています。やりがいや幸せを感じながら、仕事に取り組む情シス部門であり続けます」
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