■事例先企業情報
企業:株式会社マインディア
所在地:東京都港区赤坂8丁目5-8

消費者のメールデータとインターネット上の公開データを組み合わせ、解析することでインターネット上の購買行動を可視化するEC購買データプラットフォーム「Mineds for EC Data」を運用する株式会社マインディアにとり、データ分析速度の向上は大きな課題だった。同社はこの問題をSnowflakeのデータプラットフォームを活用することで解決。企業のマーケティング部門が求めるデータを即座に提供する環境を構築した。現在同社は、ライブデータをセキュアに共有するSnowflake データマーケットプレイスにも参加し、Snowflake上での直接的なデータのマネタイズにも取り組んでいる。

■ご利用のSnowflakeワークロード
・データウェアハウス
・データシェアリング

■ストーリーハイライト
・データ分析に要する時間の圧倒的な短縮化
・データウェアハウス運用工数の大幅な削減
・データ資産自体の収益化に向けた基盤を構築

課題:膨大な量のメールデータからの情報抽出をより速く行いたい

株式会社マインディアは、マーケティング活動のデジタルトランスフォーメンション(DX)を支援するスタートアップ企業。そのサービスは大きく二つに分けられる。一つは独自開発のオンラインインタビューシステム「Mindesfor Insight Data」による定性調査で、映像とAI自動文字起こしデータをインタビュー終了後即座に提供し、より深い消費者インサイトの発掘を可能にする。そしてもう一つがEC購買データプラットフォーム「Mineds for ECData」に基づく、インターネット上の消費者購買行動データの提供である。オンライン購買行動の分析はこれまで、Amazonや楽天市場などのプラットフォーマーが独自集計したデータに基づき行われてきた。それに対し、許諾を得た会員(消費者)のメールデータと公開データを組み合わせ、解析することで、消費者ベースでオンライン購買行動の可視化を実現するのがMineds for EC Dataの最大の特長と言える。データサイエンティストの平永悠氏はその仕組みをこう説明する。

「ECを利用すると注文を確認するメールが消費者に届きます。その情報を膨大な量のメールデータから的確に抽出していくことで、ECモールを横断してオンライン購買行動を把握することがMineds for EC Dataの基本的な考え方になります。これまで困難だった消費者ベースの購買行動を把握し、分析するためのツールとして、すでに多くのナショナルクライアントに活用いただいています」(平永氏)

許諾を得た会員は現在約5万人。Mineds for EC Dataはメールの自然言語データに対し機械学習などの独自技術で正規化を行い、構造化データとして利用する。だが、前例のないユニークなサービスを本格的に提供していくうえでは、大きな課題が存在した。それは膨大な量に及ぶ自然言語データから必要な情報をいかに迅速に抽出していくかという課題だった。

「データ提供は、その都度クライアントの求めに応じMinedsfor EC Dataから必要な情報を抽出する形で行いますが、RDBを使って構築したプロトタイプ環境では、1クエリの処理に1時間以上掛かることも珍しくありませんでした。データの抽出には何度も試行錯誤を繰り返すため、クライアントが必要とするデータを揃えるには数週間という時間が必要でした。クライアントのニーズに確実に応えていくうえでは、リードタイム短縮は避けて通れない課題でした」(平永氏)

さらにMineds for EC Dataのデータ分析の負荷は、同じRDBに構築したオンラインインタビューシステムにも影響を及ぼしていた。データ分析に特化した新たな環境の構築は急務の課題になっていた。

解決策:処理速度が速くワークロード管理も容易なプラットフォームを採用

EC購買データプラットフォームMineds for EC Dataの新たな基盤として同社が選択したのは、Snowflakeのデータプラットフォームだった。その理由を取締役 CTOの松倉友樹氏はこう説明する。

「日本に上陸して間もなくのことだと思いますが、そのパフォーマンスを高く評価するコメントをSNS上で目にしたことがSnowflakeの名前を知ったきっかけでした。その後、新基盤の選定にあたり、各社製品を比較する中で、その名前を思い出し日本法人にコンタクトを取りました。まずトライアルを行ったのですが、驚かされたのが、これまで1時間以上掛かっていたクエリが2、3分で完了してしまう処理速度の速さでした。Mineds for ECDataはその性質上、EC購買データだけでなく、航空チケットの発券予約など多様なデータの抽出が可能です。新市場を創出するうえでもこの速さはとても魅力的でした」(松倉氏)

また管理の容易さも松倉氏が注目したポイントの一つだった。

「データウェアハウス(DWH)の運用では、多くの場合ワークロード最適化が重要な課題になります。クエリ処理層とストレージ層が階層化されているSnowflakeのアーキテクチャの場合、クエリ単位でコンピューティングリソースが選択できるため、ワークロードを考えることなく運用が開始できます。私どものようなスタートアップの場合、エンジニアも含め、限られたメンバーですべての業務に対応していくことが求められます。それだけにワークロードを管理する手間が不要になることは大きな意味を持ちます」(松倉氏)

結果:納期の大幅短縮は市場開拓に 貢献コスト削減でも大きな成果を得る

革新的サービスを提供する同社にとり、Snowflake導入の第一の成果は、納期の大幅短縮に伴う商機の拡大にあることは間違いない。

「クエリ処理が2、3分で終えられるようになったことで、これまで数週間掛けて準備していたデータが1、2日で納品できるようになりました。企業のマーケティング部門の場合、『こうしたデータが今すぐ欲しい』というニーズも珍しくありません。リードタイム短縮化は、ビジネスチャンスの創出に確実につながっています」(平永氏)

コスト面でもSnowflakeへの評価は高い。

「当社の場合、一部業務で他社のDWHも併用しているのですが、コスト体系が分かりにくいこともあり、その都度料金を確認するというひと手間を掛けたうえでクエリ発行を行っています。しかし動作時間に対して課金されるSnowflakeであれば、直感的な判断でクエリを発行しても想定内のコストに収まります。またそもそもの料金体系も非常に安く、正確な比較は行っていませんが、処理速度の速さもあり、他社製品と比較すると4割程度のコスト削減が実現できていると判断しています」(平永氏)

さらに利用時間に応じた課金というシンプルな料金体系は、ムダのない運用にもつながっている。

「固定費が生じるサービスは提供されるリソースを使いきれない懸念があります。しかし使った分だけ課金されるSnowflakeであればこうした心配は無用です。当社のような規模の場合、そのメリットも大きいですね。またAWS上にサービス基盤を構築している当社の場合、Snowflakeへのデータ転送コストが不要という点もメリットの一つです」(松倉氏)

・1時間以上掛かっていたクエリが、2,3分で終えられるようになった
・他社製品と比較して40%のコスト削減
・数週間掛けていたデータ準備が、1,2日で終えられるようになった

将来:MinedsのデータをSnowflake上で収益化する取り組みも開始

Snowflakeを活用し、ユニークなデータ分析サービスのスムーズな提供を実現した同社は現在、Snowflakeデータマーケットプレイスにも参加している。既存のデータ提供方法であるSaaSプロダクトとしてのMineds forEC Data販路の拡大を狙うとともに、Snowflake上でのデータ提供によって収益化を狙う新たなチャレンジを意図してのことだ。

Snowflakeデータマーケットプレイスは、データプロバイダーやデータサービスプロバイダーが所持する価値あるデータを市場に展開し、新たな価値を創出するプラットフォーム。ユニークで柔軟性の高いアーキテクチャによって、データ転送を行わずに安全かつ、ほぼリアルタイムに顧客やビジネスパートナーとデータを共有することを可能にすることがその特長だ。

「Minedsが蓄積する購買データ自体の収益化は、サービス提供当初から検討していましたが、デリバリー方法が標準化されておらず、相手先とインターフェースやプロトコルをその都度打ち合わせる必要があることが大きなハードルになっていました。それだけにデータをアウトプットするのではなく、Snowflake上で共有するという発想は大きな驚きでした。相手もSnowflakeユーザーであることが前提になりますが、データのプライバシーレベルを保ったまま安全、確実に顧客にデータを提供するという目的を容易に実現するSnowflakeデータマーケットプレイスは、当社にとってまさに願ったり叶ったりのサービスでした」(松倉氏)

同社がSnowflakeデータマーケットプレイスにAmazon や楽天市場などの大手EC モール上の消費者購買行動を可視化する「EC 購買データプラットフォーム」のサンプルデータを公開したのは2021年8月のこと。その反響は大きく、公開後2ヵ月が過ぎた取材時点ですでに複数の問い合わせが寄せられている。

「Snowflakeデータマーケットプレイスへの出品は、リード獲得が見込めることもあり、デメリットのない選択であると考えています。現在、お問い合わせいただいた日用消費財メーカーやECコンサルティング企業、広告代理店などと弊社のデータを利用いただくための商談を進めている段階ですが、今後は他社データプロバイダーが保持するデータとの連携にも注目しています。許諾を得た消費者の包括的な購買データを持つことが当社の強みですが、その性質上、母数の急速な拡大は難しいのが実状です。それを性質の違う他社データで補い、より高精度なデータを提供していくうえでもSnowflakeデータマーケットプレイスを活用していきたいと考えています」(平永氏)

さらに同社はSnowflakeが2021年中をめどに対応を進めるPythonなどプログラミング言語への対応にも大きな期待を寄せている。

「メールデータからはECサイトの購買情報だけでなく、アプリの課金情報やクレジットカードの申込・利用情報など、さまざまなデータを抽出することが可能です。一方、これまでは新たな情報を抽出・利用したいと考えた場合には、SnowflakeのDWHからデータを取り出し、別の環境で機械学習等による処理をおこなったうえでDWHに戻す必要がありました。その工程がSnowflakeで完結することは、当社にとり高速にデータカバレッジ、すなわちビジネスチャンスを拡大することに繋がり、まさに革新的な変化になると考えられます」(松倉氏)

Snowflakeのデータプラットフォームは、ライブデータの収益化も含め今後さらに大きな意味を持つことになりそうだ。

Snowflakeについて

Snowflakeは、Snowflakeのデータクラウドを用い、あらゆる組織が自らのデータを活用できるようにします。お客様には、データクラウドを利用してサイロ化されたデータを統合し、データを発見してセキュアに共有し、多様な分析ワークロードを実行していただけます。データやユーザーがどこに存在するかに関係なく、Snowflakeは複数のクラウドと地域にまたがり単一のデータ体験を提供します。多くの業界から何千ものお客様(2021年7月31日時点で、2021年Fortune 500社のうちの212社を含む)が、Snowflakeデータクラウドを自社のビジネスの向上のために活用しています。詳しくはsnowflake.comをご覧ください。

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※本記事はSnowflakeから提供を受けております。

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