今から約3年前、クラウドサービスが次々に登場していた時期に、すでに日本における代表的なクラウドサービスのひとつであったニフティクラウドを試すという企画「【コラム】現役エンジニアが本音で試すニフティクラウド」に取り組んだことがある。未経験の状態で、マニュアルもヘルプも一切読まず、どこまで使えるのか本音で試していくという企画だ。

あれから3年、クラウドサービスは特別な存在ではなく日常のツールになった。オンプレミスからクラウドに移行する企業も増えている。このあたりでニフティクラウドが、どのように変わったかエンジニア目線で振り返ってみたいと思う。

現役エンジニアが本音で試すニフティクラウドを再び

ニフティクラウドはオペレーションのわかりやすさや、「操作のしやすさを追求した独自のコントロールパネル」を搭載した扱いやすいクラウドサービスとして登場した。当時の企画は実運用を意識しつつ、事前知識なしの状態でどこまで使えるか試してみるという内容で、全6回に渡って次のような内容を試した。

・仮想環境の作成とサーバーへのログイン
・Webサーバーの構築とDNSの設定
・サーバータイプの変更とベンチマーク
・ファイアウォール設定
・ロードバランサー設定
・オートメーション機能(スタック、レイヤー、サーバー、アプリ、デプロイ)
・オートスケール機能の確認

参考:当時企画の目次ページ

現在のニフティクラウドを、読者の皆さんが3年前の企画ページを見ながら操作することは十分に可能だと思う。しかし、ニフティクラウドはここ3年の間にさまざまな機能追加を行っているし、クラウドサービスを始めて利用する初心者の人も増えているので、改めてニフティクラウドの操作がどのようなものか、代表的な操作画面の最新のスクリーンショットとともに振り返ってみたい。さらに使いやすくなった今のニフティクラウドを見てもらえればと思う。なお、著者は今回も、「2年間のブランクを経た上で」マニュアルやヘルプは見ないで利用したが、ニフティクラウドのヘルプやマニュアルは非常に充実していることを念のため付け加えておきたい。

変わらないUI/UX、変わらない使いやすさ

操作手順は簡単だ。ニフティクラウドの左側に並んでいるメニューから作業したい内容を選択し、右側に表示されるダイアログの内容を操作していく。ページの左側のメニューに項目が存在しないものについては、左上の「∨」のアイコンをクリックしてメニューを表示させ、その中から選択すればよい。過去の企画で取り上げたDNSとオートメーションについてもこちらのメニューから選択することになる。過去に紹介したそれぞれの項目について代表的なページをひととおり掲載しておく。

仮想環境の作成とサーバーへのログイン

ニフティクラウドのダッシュボード:サーバーの基本的な情報が確認できる

インストールするサーバーイメージを選択

作成が完了したサーバー情報

ターミナルからリモートログインして操作

Webサーバーの構築とDNSの設定

ドメインの取得とDNSの設定

サーバータイプの変更とベンチマーク

サーバータイプを変更して強力なインスタンスにチェンジ

タイプが強力なものに切り替わっていることを確認

コア数が増えていることを確認できる

ファイアウォール設定

ファイアウォールの作成

ファイアウォールの設定

ロードバランサー設定

ロードバランサーの作成

オートメーション機能(スタック、レイヤー、サーバー、アプリ、デプロイ)、オートスケール機能の確認

オートメーションの有効化

スタックの作成

レイヤーの追加

基本的なUI/UXは変わっていないが、確実に進化している。

あえて操作手順を過去の企画と同様に解説しなかった理由は、端的に言えば、「新しい解説は不要」だと考えたからだ。

数年の経過でたしかに細かい部分は変更されているが、どれも従来よりもわかりやすくなっている。基本的なUI/UXは当初のまま引き継がれているし、操作方法もほとんど同じだ。ひととおりの操作は、過去の記事「【コラム】現役エンジニアが本音で試すニフティクラウド」で説明したものがそのまま適用できるだろう。

著者も今回2年ぶりに利用したが当時の知識をそのまま活かすことができた。現場のエンジニアにとってこれは、とても大切なことなのである。

「変わらない利便性」と「常に発展する機能」を両立

3年前と比較すると、利用できるサービスや選択できるオプションが増えている点に気がつくはずだ。主な機能追加は、大きくわけて「オンプレミスからクラウドへの移行支援」「エンジニアの負荷軽減」という2つの軸を重視しているように感じる。

ニフティクラウドの仮想化環境は、vmwareのテクノロジーが使われているため、仮想化されたオンプレミスからのクラウド移行がしやすいと言われているが、さらに移行のハードルを下げるための機能・ソリューションが追加されている。また、エンジニアの負荷軽減という視点では、「エンジニアリングパーツ」と呼んでいる「PaaS」を年々充実させているのが判る。エンジニア視点でサーバー運用の自動化を実現する様々なツールが追加されているが、特に注目しているのはいわゆるIoTのシステム開発に必要なツール、いわゆるIoTプラットフォームを着々と拡充している点だ。ニフティクラウドでは特にIoTデバイスが収集したデータの分析・活用に力を入れてツールの提供を行っているのが特徴だ。

このように最新のビジネスニーズをキャッチアップした機能追加が行われている一方で、基本的な機能のブラッシュアップ、さまざまな場面で選択できるオプションの増加といった言葉は悪いかもしれないが地味なアップデートを随時行っていることにも注目したい。たとえばサーバを作成する段階で、選択できるオペレーティングシステムが大幅に増えていることに気がつくはずだ。同じLinuxといっても、ディストリビューションが変わると操作方法も変わるし設定ファイルの場所や名前も違ってくる。同じディストリビューションでもバージョンが変わるとまた内容が変わってくる。自分の馴れたディストリビューションを選択できるというのは、それだけで業務効率が変わってくるというものだ。

新機能とオプションをエンジニア目線で試す

ニフティクラウドはスタンダードになりつつあるクラウドの中でも、特に日本のエンジニア向けのサービスだと位置づけられると思う。まずは使い出していろいろ試してみることをお薦めしたい。社内のいくつかのサービスや機能はニフティクラウドに移行させることができると気がつくのではないかと思う。

ということで本連載では、エンジニア目線で新たに追加された機能やオプション、意外と知られていない便利な機能について触れていくことで、ニフティクラウドを検討中の皆さんに役に立つ情報を提供したいと思う。次回は「ニフティクラウドMachine Learning」を取り上げる予定だ。

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