物流機器製造やソリューション提案により、大手飲料メーカー、食品メーカー、通信販売事業者や各種製造業者の物流現場を支えるオークラ輸送機グループ。なかでも“コンベヤのオークラ”のメッセージを掲げるように、コンベヤをベースとするさまざまな製品群が看板商品で、自動仕分けシステム、パレタイジングシステムなど幅広い機器を提供している。物流の最前線で活躍するこれらの機器は、業種によっては24時間止まらずに動き続けなければならない。同社ではコンベヤを流れる荷物をパレットに積みつけるパレタイジングロボットに、Secomeaの「SiteManager」を組み込み、リモートアクセスによる状態監視とメンテナンスサポートを実施。同時に、トルクデータなどロボットのデータ収集・分析を担うIoTゲートウェイを組み込むことで、機械のトラブル時期を予知する予防保全サービスの取り組みもスタートした。

導入前の課題 導入後の効果
トラブルが起こっても技術者が現地を訪れるまで状況が明確にわからず、十分な準備ができないうえに、解決するまで設備を止めてしまうこととなる。 技術者が現場を訪問する前に、お客様の設備の状態や稼働データが見えるのでより短期間で復旧できるようになった。かつ、最新の製品にはSiteManagerのソフトウェア版「SiteManager Embedded」をシステムに組み込み一体化したことで、設置において省スペース化とコスト削減も図ることができた。

顧客設備のダウンタイムを最低限に抑えるための模索

私たちが通販サイトで購入したい商品をクリックしたとして、もしも物流の現場が止まっていたら、商品が短時間で届けられることはあり得ない。この“止まらない”物流の現場を設備・システムの面から支えているのが、2027年に創業100周年を迎える老舗企業・オークラ輸送機だ。

24時間止まらない現場へのニーズが近年高まるなかで、障害が発生したときいかに早く対応し、設備自体のダウンタイムを短くするかが重要な課題となる。ところが従来は、トラブルが起きた際は顧客から電話などで連絡が入り、それを受けて技術者が顧客先の現場を訪問するかたちだった。保守メンテナンスに当たるグループ会社、オークラサービスの施工技術研究開発室 室長の渡辺和弘氏は、次のように話す。

「現場を訪れるまでトラブルの状況は明確にはわからず、十分な準備ができないうえ、訪問までの間は設備を止めてしまうかたちになります。なおかつ修理に必要な部品も現場で状況を確認してから手配することもあり、どうしても対応が遅くなってしまいます。過去には数日止めざるを得ないケースもありました。この保守メンテナンスの方法を改善し、とにかく設備を止めないようにしたいというニーズから、現場訪問前にトラブル内容をある程度確認するためにリモートアクセスの導入を検討しました。これならトラブル時の復旧も短時間で済ませられ、お客様設備の安定稼働に貢献できます」

  • オークラサービス株式会社 技術本部 施工技術研究開発室 室長 渡辺 和弘 氏

    オークラサービス株式会社
    技術本部 施工技術研究開発室 室長
    渡辺 和弘 氏

ソフトウェア版のリモートソリューション導入を決定

こうした流れのなか、パレタイジングロボットの最新機種に組み込むリモートアクセスソリューションの検討を始めたオークラ輸送機。研究開発部で主に「ロボットパレタイザ」シリーズのソフトウェアを担当する技師の澤田 英樹氏は、今回のリモートアクセスソリューションの選定を中心になって進めた。選定にあたり澤田氏が何よりも重視したのは「セキュリティ」だという。

実は、短時間での訪問が物理的に難しい欧米の顧客に輸出する「ロボットパレタイザ」には、設備監視のために以前からリモートアクセス機能を搭載するハードウェアを付加していた。米国向けはVPNの仕組みを採用していたが、欧州向けに搭載したのがSecomeaの「SiteManager」のハードウェア版だった。

あらゆる産業機械・設備と接続してリモートアクセスのゲートウェイとして機能する「SiteManager」は、ルーティング技術に依存せず、あらかじめ登録設定した機器のみをリモート対象とする。インターネットに接続可能なのは「SiteManager」のみで、ほかの機器からはインターネットに接続できない仕様になっているため、セキュリティ性がきわめて高いのが特徴だ。

「ほかのソリューションと比較したとき、Secomeaの『SiteManager』はセキュリティに優れているため、もともと信頼感が高かったですね。それに加えて、リモートアクセスがつながりやすい点も高く評価していました」と澤田氏。検討の結果、「ロボットパレタイザAi700・Ai1800」には「SiteManager」のソフトウェア版である「SiteManager Embedded」の採用を決定した。

  • オークラ輸送機株式会社 R&D統括部 研究開発部 技師 澤田 英樹 氏

    オークラ輸送機株式会社
    R&D統括部 研究開発部 技師
    澤田 英樹 氏

従来製品に搭載していたハードウェア版ではなく、ソフトウェア版を選択した理由について澤田氏はこう話す。

「IoTゲートウェイとリモートアクセス用のハードウェアを別々に設置すると、お客様先により広い設置スペースが必要になりますし、導入コストも増えてしまいます。一方、リモートアクセス機能を実現するソフトウェアをIoTゲートウェイのシステムに組み込み、一体化するかたちであれば、設置の省スペース化とコスト低減を図ることができます。『SiteManager』はソフトウェア版が提供されているため、今回はそれが決め手となりました」

  • 従来製品には「SiteManager」のハードウェア版を搭載し、最新機種にはIoTゲートウェイのシステムにソフトウェア版を組み込んでいる

    従来製品には「SiteManager」のハードウェア版を搭載し、
    最新機種にはIoTゲートウェイのシステムにソフトウェア版を組み込んでいる

トラブル対応が円滑になり、設備の短期間復旧を実現

実際の導入後、保守メンテナンスの現状はどう変わったのだろうか。オークラサービスの渡辺氏はこう語る。

「Secomeaのリモートアクセスソリューションとオークラ輸送機が自社開発したIoTゲートウェイを活用することで、当社の技術者が現場を訪問することなく、お客様の設備の状態や稼働データが見えるようになりました。これまでのように電話で話を伺うだけではわかりにくかったトラブルの状況も視覚的に監視するWebカメラを設置したことで、トラブル発生前後の状況を鮮明な映像で訪問前に確認できるので以前より短期間での復旧が実現され、リモートアクセスのメリットを強く実感できています」

まだ導入から間もないためトラブルの発生件数自体が少なく、効果の定量的測定には至っていないというが、トラブル対応については間違いなく進めやすくなったことを感じていると渡辺氏は強調する。「SiteManager Embedded」自体に対する課題も現状ではとくに上がっていないという。

“止まらない”現場に向けて予知予防保全をスタート

このリモートアクセス機能とIoTを活用し、遠隔からの設備状態確認とメンテナンスサポートを実施するのはもちろんのこと、オークラ輸送機では新たなサービスも打ち出した。それが「予知予防保全」である。稼働データを分析・診断して、設備の状態変化や劣化の兆候などを察知。動作の異常や故障を予知することで不意の緊急停止を防ぎ、“止まらない”現場の実現に貢献するものだ。

予知予防保全サービスについては、現時点では一部顧客の設備で試験導入を行っている段階で、今後対象の設備を増やし、予知の精度をさらに高めていく予定だという。「グループを挙げて予知予防保全の実現に向け取り組んでいきます」と渡辺氏は力を込める。

ちなみに今回は「SiteManager」のソフトウェア版を導入したが、従来製品に採用したハードウェア版との使い分けについては、パレタイジングロボットのようにIoTゲートウェイの開発が済んでいる製品に関してはソフトウェア版組み込みというかたちで進め、開発できていない製品ではハードウェア版の採用を考えていくという。いずれにしても同社グループでは、今後もさまざまな製品にリモートアクセス機能を搭載し、遠隔での状況確認とメンテナンスサポートに予知予防保全サービスも加えて、顧客の“止まらない”現場を目指していく姿勢だ。

創業100周年を前に、新社屋を建設中のオークラ輸送機。社屋は2021年の完成予定で、この年はオークラサービスの設立50周年にも当たる。未来に向けて顧客に対し価値を提供し続けるオークラ輸送機グループを、これからもSecomeaのソリューションが支えていく。

  • 建設中の本社新社屋

    建設中の本社新社屋

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[PR]提供:Secomea