第1回では、ビジネスAIチャットボットサービス「Mindlogic(マインドロジック)」が、複数のタイプのチャットボットをつくり出せること、それらが効率化や満足度向上に役立つことを解説した。第2回ではこれから需要が高まるかもしれないもう1つのタイプ、「ペルソナ対応チャットボット」について紹介したい。
実在の人物やキャラクターの人格(ペルソナ)を学習
第1回では、Mindlogicがつくりだせるチャットボットのタイプに、Webサイト内の情報をもとに、ユーザーからの質問に答える「ECサイト顧客サポート用チャットボット」、社内文書を学習し、従業員からの問い合わせに自動回答する「社内向けチャットボット」、そして複数のファイルから必要な記述を検索・抽出する「ドキュメント・チャットボット」があることを紹介した。
今回紹介する「ペルソナ対応チャットボット」は、特定の人物がこれまでに発言した言葉、記述した言葉を学習し、あたかもその人物のように「会話」するというものだ。Mindlogicの開発者の1人、キム・ヨンウ氏は「ペルソナ対応チャットボットは、YoutuberやVtuberと相性がいい」と語る。
実際に韓国では、オンラインで恋愛相談を受け付けている有名女性セレブが、このペルソナ対応チャットボットを利用しているという。Mindlogicが、彼女の言葉や言い回しを学習して質問や相談に対して言葉を返すので、ファンにしてみれば(それがボットであると分かっていても)あたかも本人とチャットしているような感覚を味わえる
また企業が自社のイメージ・キャラクターにしっかりとしたペルソナ設定をし、Mindlogicに学習させておけば、訪問者がそのキャラクターとのチャットを楽しめる場を設けることができる。24時間、いつでも会話ができる親しみやすいキャラクターの存在は、ブランドイメージの向上、ファンづくり、またタイムリーなマーケティング活動にもつながるだろう。
ノンフィクション作家、論文執筆者らが自著をMindlogicに学習させ、読者からの質問に回答するチャットボットを起ち上げるという利用方法も考えられる。著者自身が書いたものだけを回答のベースとするため、生成AIでしばしば問題視されるような著作権侵害や、ハルシネーション(AIが根拠のない回答をする現象)も起こりにくい。
「孤独」という課題の解決が、開発のきっかけ
連載の最後にとり上げたペルソナ対応チャットボットだが、実はこのタイプのチャットボットこそ、Mindlogic開発の当初の目的だったという。現代は人と人の関係性が希薄になっているが、コロナ禍でリモートワークが進んだことで、より顕著になった。イギリスでは2018年1月に孤独担当大臣が新設され、日本でも2023年6月に孤独・孤立対策推進法が施行されるなど、孤独が世界的な課題となっている。この課題を捉え、孤独を解決するAI開発に着手した結果、できあがったのがMindlogicだった。
こうした背景から誕生したペルソナ対応チャットボットは、長期記憶ができるようになっている。一般的なチャットボットが、一定量の「会話」を行うと過去の記録をクリアしてしまうのに対し、Mindlogicは数年にわたって相手の名前、会話内容などを保存し続ける。そのため会話を通じて相手についての理解を深め、親密な会話を継続的に行うことができるのだ。24時間いつ話しかけても、旧友のように言葉をかけてくれるとなれば、ユーザーの孤独感緩和に役立つだろう。またビジネスで利用する際には、長期的なマーケティングを可能にしてくれる。
人々の孤独を緩和しつつ、企業の人手不足解消にも貢献する新たなタイプの顧客接点として、今後ペルソナ対応チャットボットの需要は高まるかもしれない。
以上、Mindlogicのさまざまな利用方法について、2回にわたって紹介してきた。実際にMindlogicで作成したチャットボットとの会話を試してみたいと思われた方は、販売代理店であるサテライトオフィスのサービス紹介ページを訪問してみてほしい。
監修:原口 豊(はらぐち・ゆたか)
大手証券会社システム部に在籍後、1998年、サテライトオフィス(旧ベイテックシステムズ)を設立。2008年、いち早くクラウドコンピューティングの可能性に注目し、サービスの提供を開始。Google Workspace(旧称:G Suite)の導入やアドオンの提供で、これまで実績6万社以上。「サテライトオフィス」ブランドでクラウドサービスの普及に尽力している。
サテライトオフィス
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