連載第1回では、自然な会話で調べ物や文章作成ができる「ChatGPT」、連載第2回では、多彩な画像を生成できる「Stable Difusion」を紹介した。これらは、特定の分野が得意なAIサービスであるが、ここ最近は、既存サービスの中にこうしたAI機能を取り込む流れも加速している。今回はオンラインデザインツールとして知られる「Canva」のAI機能とビジネスにおける活用法について紹介しよう。
誰でも無料で今すぐ始められるオンラインデザインツール「Canva」
Canvaは、PCはブラウザから、スマートフォンやタブレットはアプリからと、端末を気にすることなく、どこからでも利用できるオンラインデザインツールだ。無料版でもテンプレートや素材が大量に用意されており、ノンデザイナーでも簡単におしゃれなデザインを作成できる。SNS投稿用画像はもちろん、印刷用の高解像度なデザイン作成にも対応している。Canvaからそのまま印刷の注文も可能だ。
有料版を利用すれば、利用可能なテンプレートや素材が大幅に増えるほか、高度な機能も提供されるようになる。ビジネスで利用する場合は特に企業ロゴや写真、コーポレートカラーなどをまとめて登録しておける「ブランドキット」機能が便利だろう。別のテンプレートを利用する場合にも適用することで統一感あるデザインが作れる。
そんなCanvaは、2023年3月のアップデートでAI機能を多数追加した。有料サービスであるプロ版でしか利用できない機能や、まだ日本語版で利用できない機能もあるが、今すぐビジネスで活用できる機能ばかりだ。たとえば、ChatGPTで作成した文章をPowerPointに貼り付けるような手間が不要になり、すべてCanva内で簡潔できる作業が増えたわけだ。より効率的な活用がしやすくなったといえるだろう。
プレゼン資料や企画書への活用で営業部門でも活躍
オンラインデザインツールとなると、ポスターやパンフレット、名刺、SNS投稿画像といったクリエイティブなものを作成するものというイメージを持つ人が多いかもしれないが、Canvaにはプレゼンテーションや企画書のテンプレートも用意されている。新たに登場したAI機能を組み合わせれば、営業部門でも利用しやすいはずだ。
特に魅力的なのがAI文章作成・自動生成機能「Magic Write」だ。Open AIを利用しており、ChatGPTのように対話形式で文章の作成依頼をし、生成できる。画像作成時のテキストやプレゼンテーション資料作成時などに使うことで、手を止めずに作業ができる。
また「Magic Presentation」というプレゼンテーション資料作成に特化したAI機能も存在する。これはプレゼンテーションの概要や内容をテキストで入力すると、その内容にあったオリジナルのデザインテンプレートを自動的に作成してくれる機能だ。ブランドキット機能で予めコーポレートカラー等の設定をしておけば、それらを適用して生成することもできる。
クリエイティブなコンテンツを簡単に生成
Canva内にある素材では物足りない場合や、オリジナリティある画像を利用したい場合に便利なのが、画像生成AI機能「Text to Image」だ。多くの画像生成AIが英語でのプロンプト記載を必要とする中、日本語に対応しているのは嬉しい。生成される画像のスタイルも写真風や水彩画風、ネオン風と豊富なメニューから指定できる。フリー素材をかき集めて利用する場合、1つのドキュメントの中で画像に統一感をもたせるのは難しくなるが、「Text to Image」は統一感のある画像を生成できる。
既存画像の一部を編集する機能「Magic Edit」も面白い。たとえば、人物の髪部分を選択して金髪にするなど、部分的に生成画像を組み合わせてイメージを変更できる。
もう1つ、既存画像の編集としては不要物を消去する「Magic eraser」がある。Photoshopでは以前から存在する機能で、近年はスマートフォンアプリの機能としても人気があるが、写真に映り込んだ不要な人物や車などを選択して消去してくれる。
ほかにもビジネスに役立つ機能が満載
ほかにもビジネスに役立つ機能がある。社内会議やディスカッション時などに活躍するだろう。
ひとつは共有・共同編集機能だ。作成したものを回覧・編集する場合、複数人で同時編集することができるため、相談しながら営業資料や提案書を作成できる。オンラインデザインツールだけにペン描画がスムーズなのはもちろん、フォントや素材も多彩なため、細かな修正ができる。
またホワイトボード機能も魅力的だ。アイデアマップやブレーンストーミングといったテンプレート以外に、無地のホワイトボードも表示でき、それぞれズームアウトすると相当な広さで利用できる。複数人で書き込みしながらのディスカッションもしやすい。フローチャートの簡単な作成支援機能や、付箋機能なども利用すれば話題を整理しながら会話を進められる。ホワイトボードの中から部分的に選択してダウンロードすることも可能で、まとまった部分だけをダウンロードする、共有する必要のある部分だけをダウンロードしてメールやチャットで共有する、という使い方もしやすい。
デザインだけじゃない!ビジネスで活きるCanva
これまで紹介した以外にも、Canvaは非常に多彩な機能を持っており、また機能の追加や強化にも積極的だ。手書きの図形をなめらかに扱いやすい図形へ変換する、デザイン上にある文章をページ単位で指定して翻訳するといった機能も搭載されており、PowerPointだけではやりづらい作業をスムーズにこなしてくれる。ノンデザイナーのためのオンラインデザインツールというイメージは正しくはあるが、それ以上のことができるものだとわかってもらえるだろう。
サテライトオフィスではCanvaの導入支援も行っている。基本的な利用方法から一通りの機能解説と活用を学べる動画教材の提供やセミナーの開催など、Canvaをビジネスに活かしたい企業におすすめだ。
また今後もサテライトオフィスでは、ChatGPTを中心としたAI導入支援サービスを強化するほか、ビジネスで利用しやすい形でChatGPTをカスタマイズしたサービスも続々と公開を予定している。次回からはそのサービスの一部について紹介していこう。
監修:原口 豊(はらぐち・ゆたか)
大手証券会社システム部に在籍後、1998年、サテライトオフィス(旧ベイテックシステムズ)を設立。2008年、いち早くクラウドコンピューティングの可能性に注目し、サービスの提供を開始。Google Workspace(旧称:G Suite)の導入やアドオンの提供で、これまで実績6万社以上。「サテライトオフィス」ブランドでクラウドサービスの普及に尽力している。
サテライトオフィス
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さまざまなビジネスモデルに最適なソリューションパッケージを開発し、ユーザー目線に立った戦略の企画・提案を行っています。業界トップクラスの導入実績を持つGoogle WorkspaceやMicrosoft 365、LINE WORKS、ChatGPT など、AI関連ならびにクラウドコンピューティングに関わるビジネスの可能性を追求しています。
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