ビジネスでAIを活用するとなると、現在真っ先に思い浮かべられるのはChatGPTを利用しての調べ物や代筆、プログラミングなどだろう。前回紹介したように、ChatGPTはたしかに非常に有用なものであるが、ビジネスで活用できるAIサービスはほかにもある。今回は注目を集めるAIサービスのなかから、画像生成AI「Stable Diffusion」について紹介しよう。
画像生成AI「Stable Diffusion」とは?
画像生成系のAIのなかで「Stable Diffusion」はオープンソースであることが大きな特徴だ。誰でも無料で使えて、商用利用もできる。教育利用、企業利用のどちらも可能で非常に応用できる範囲が広い。
利用環境が整っていれば、テキストでどのような画像が欲しいのかを指示するだけで画像が作成される。たとえば「海辺で遊んでいるかわいい犬」と指定すれば、そのような画像が生成されるわけだ。リアル調もコミック調も、現実にありそうなものもファンタジーのようなものも簡単に描いてくれる。
「Stable Diffusion」はインターネット上にある画像を大量収集してのディープラーニングや、画像にノイズを加え、そこから画像を復元するDiffusion Modelという技術を組み合わせて画像を生成している。「海を背景にリンゴを食べるウサギ」の場合、ウサギとリンゴと海の画像を個別に学習し組み合わせて出力を得ているイメージだ。
AIが描いた画像はビジネスでどう活かせる?
画像生成AIをビジネスで活かすとすれば、まずクリエイティブな場面での活用が考えられる。すでに海外では、広告デザインの作成、ゲームや映画のコンセプトアートなどへの利用が始まっている。
完成形の画像ではなく、ラフイメージとしてならさらに幅広く利用可能だろう。インテリアデザインやファッションデザイン、自動車デザインなどでもラフ案を作成するのに活用できそうだ。クリエイターが自分のアシスタントのように利用して作業効率化をはかることも可能だ。
そのほかにもSNSのアイコンを描く、アートワークを作成して販売する、メタバース用アバターを作るなど、さまざまな場所で活用できる。Webサイトやブログのキービジュアルなどにも利用しやすい。コミック調の画像も、写真のようにリアルな画像も、3D CGのような画像も作成できる。
プログラミング知識は不可欠! 意欲ある学習の入り口にもぴったり
Stable Diffusionは画像を手軽に生成できるだけでなく、プログラミング技術の習得と活用という意味でも役立つ側面がある。Stable Diffusionは誰でも無料で利用可能ではあるが、ChatGPTのようにブラウザからアクセスして即座に使えるというものではない。実行環境を整える必要があるからだ。
インターネット上に多くの情報が公開されているため、独学で取り組むことは難しくないが、使用する際は自分のPCまたはレンタルサーバなどにPythonの実行環境を構築する。最低限としてPython、GitHub、Stable Diffusion、WebUIの知識は必要だ。
Pythonの環境があらかじめ整っているGoogle Colaboratoryを利用すれば、もっと簡単に構築することができる。有料アカウントならばStable Diffusionの利用も可能だ。それでもモデルの選択やインポートなど、実際の利用までにはハードルがあるのが現実である。プログラミングに興味を持ち、実践するきっかけとしてはいいだろう。
プロンプトエンジニアリングやモデル選定は共有サービスを参考に学習
環境が構築できたとして、想像通りの画像を生成させるためにはプロンプトの壁がある。これはChatGPTでも重要だが、画像生成AIでは人間のイラストレーターに指示するのと同じように明確で詳細な指示がなければ希望する画像を生成するのは難しい。
簡単すぎる指示では想定とは異なる結果しか得られないのはもちろん、複雑すぎる指示もAIが混乱してしまう。利用者が十分に想像し、その意図を明確に指示しなければならないため、練習と学習が欠かせないだろう。
またモデルの選定も重要だ。利用するモデルによって出力される絵のテイストも変化する。どのモデルを使ってどんな指示をし、どのような設定を行ったかを共有するサイトは複数あるため、それを参考に学習するといいだろう。
画像生成 AIはクリエイターの優秀な相棒
さまざまな画像を生成することはできるが、誰でも瞬時に理想的な画像を手に入れられるかといえばそうではない。出力結果も完璧とまではいかないため、最終的には人が手を加えなければ高クオリティのものにはならない。
AIに仕事を奪われるのではないかという不安を持つ人も多いようだが、近い未来にそうなることはないのではないだろうか。それよりは AIをアシスタントとして使うことを考えたい。
Stable Diffusionは、オフィスワーカーのちょっとした需要に応えてくれることでほかの業務に専念できるのはもちろん、クリエイターにとってもよりクリエイティブな部分のクオリティアップに貢献できるツールだ。現状ではAIを敵視したり勝負したりするのではなく、優秀な相棒として使いこなしていくことを考えるのをおすすめしたい。
サテライトオフィスでは、Stable Diffusionを始めAIを活用した様々なソリューションの導入支援を行っている。AIを使って業務を効率化したい、クリエイティブな画像を簡単に作れるようにしたいとお考えであれば、ぜひ一度相談してみてはいかがだろうか。
監修:原口 豊(はらぐち・ゆたか)
大手証券会社システム部に在籍後、1998年、サテライトオフィス(旧ベイテックシステムズ)を設立。2008年、いち早くクラウドコンピューティングの可能性に注目し、サービスの提供を開始。Google Workspace(旧称:G Suite)の導入やアドオンの提供で、これまで実績6万社以上。「サテライトオフィス」ブランドでクラウドサービスの普及に尽力している。
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