従来型BIの課題を克服すべく、データの可視化・視覚化機能を強化した「セルフサービスBI」と呼ばれる次世代型のBI製品が登場し、注目を集めている。その名が示唆するとおり、数理統計の専門家(データサイエンティスト)やIT部門だけが使うのではなく、ビジネス現場のユーザー自身が主体となってデータの集計・分析にあたり、状況をありのままに“見える化”するソリューションだ。その本質がどこにあるのかを探ってみよう。
ビジネスの状況を
ありのままに“見える化”する
最近、クラウドベースの家計簿アプリが人気を集めている。銀行口座のオンラインバンキングやクレジットカードはもちろん、ネットショッピングの購買履歴、航空機の残マイル数、電子マネーの残額にいたるまで、家計に関するありとあらゆるデータを収集し、洗いざらいに“見える化”するというものだ。
給与振り込みとは別の口座にコツコツと貯めておいた出張手当や、こっそり出かけたゴルフや飲み会の出費などもすべて白日の下にさらされてしまうかもしれない。本音のところ「妻には使ってほしくない」と頭を抱えている諸氏は少なくないだろう。
だが、自身が勤めている会社に目先を転じてみれば、同様のアプリを使えたら、どんなにありがたいことだろうか。どこで売上が落ちていて、どこのコストが過剰になっているのか、どの作業にリソースを割いているのかなど、見せたい相手は、直属の上司や経営者だ。現場の置かれている事情に希薄なのにも関わらず、日々の売上推移に一喜一憂して的外れな檄を飛ばしている上司たちに、データで、ありのままの状況を見せてやりたいものだ。
例えば特定製品の売上が急激に落ち込んだとき、その原因は営業チームの努力不足とは限らず、物流の停滞や必要部材の調達量の低下などがボトルネックになっているケースもよくある。
また、ある営業担当者の成績が伸び悩んでいるのも、他のメンバーと比べて能力が劣っているわけではなく、何か事情があるかもしれない。こうした背景やプロセスを把握することなく、部下たちに「もっと頑張れ、気合を入れろ」と促したところでモチベーションは上がらず、チームは空回りするだけだ。
ビジネス現場の“願い”に応える
セルフサービスBIとは
そこで求められるのが、事実を正確に解き明かすデータなのだ。家計を視覚的に表現し、現状を把握しようというトレンドがみえるのと同様に、販売管理をはじめ、物流や在庫、購買、人事など、社内のあらゆる業務システムを横串でとらえ、ありのままのデータをリアルタイムに収集することができれば、上司も過去の経験や勘だけに頼った判断を行うのではなく、直面している状況を客観的かつ正確に把握できるようになる。ひいては、より的確な対処を取るようになるはずだ。
「そんなビジネス現場の“願い”を体現すべく、我々が提供しているのが『セルフサービスBI(ビジネスインテリジェンス)』です」と語るのは、クリックテック・ジャパン マーケティング本部の本部長を務める安部知雄氏である。
「既存のBIツールを本気で使いこなしてデータを分析するためには、統計学に裏づけられた理論やそれを数式に落とし込んだアルゴリズムやモデリング、シミュレーションなどを駆使することができる、専門知識とスキルが求められました。
セルフサービスBIはもちろんIT部門が裏方から別の意味でサポートすることも重要ですが、専門知識やスキルをさほど必要とせずビジネス現場のユーザーが必要なデータを自ら選んで“見える化”できる、ビジュアル・アナリティクスの仕組みを提供します」と同氏。
自由闊達なデータ活用と
全社的データガバナンスを両立させる
もちろん、これまでもビジネス現場のユーザーに対して、まったくデータが与えられなかったわけではない。ポータルサイトやSFA(営業支援システム)などのシステムを通じて、定期的にレポートを配布している企業もよく目にする。
しかし、これらの支給データのほとんどが範囲の限られた定型的なものでしかなく、ユーザー側で自由に見方を変えたり、中身を掘り下げたりといった融通はきかない。月次や週次といったタイミングで集計されたデータが多く、鮮度にも欠ける。
そこで会社から公開されるデータに物足りないユーザーの間では、「スプレッドマート」とも呼ばれるデータ活用が進行している。ユーザーがそれぞれ個別に集めたデータをExcelなどの表計算ソフトに取り込み、集計や分析を行うのである。
一見すると個人レベルの創意工夫として高く評価すべきと思えるが、実際にはさまざまな問題を引き起こす要因となりかねない。こうしたデータ活用は属人的なものになりがちで、新たな“サイロ化”を引き起こす恐れがあるからだ。
データの精度は保証されておらず、そこから作成されるレポートや資料には誤りが含まれることも多い。そもそも各ユーザーがそれぞれ異なる情報源から収集したデータを元に分析や集計を行うのだから、導かれる結果も自ずと大きく違ったものになるのは当然である。さらに自分の成績を少しでも良く見せたい、あるいは失敗を隠したいとする意図が働き、都合よく加工・編集した報告が行われがちだ。
「全社的なガバナンスの効いていない個人任せのデータ活用は、ビジネスの現状をありのままに“見える化”するという方向から、どんどん外れていってしまいます。これに対してセルフサービスBIの仕組みのもとでは『Single Version of the Truth(唯一の真実)』となるデータを経営者からマネージャー、ビジネス現場の担当者いたるまで、すべての社員が共有し、それぞれの役職や業務目的に応じた分析を行います。そこには改ざんやバイアスが加わる余地はありません」と安部氏は強調する。
つまり、真のセルフサービスBIでは、IT部門の役割が、現場のニーズに日々対応することに追われてデータを加工する立場から、より戦略的なガバナンスを効かせたデータ分析環境を構築・維持することに専念する役割に変化するのである。
ビジネス現場のユーザーによる自活的かつ自由闊達(かったつ)なデータ活用を促進し、同時に全社的なデータガバナンスを確立する。これまでトレードオフの関係にあった、この2つの課題を両立させながら解決するセルフサービスBIにより、企業はエンパワーメント(組織を構成する一人ひとりの社員に能力と権限を与え、成長や改革への活力とする)を高めていくことができる。
尚、下記に「直観による視覚的な探索を可能にする次世代のセルフサービス型データビジュアライゼーションBI」について資料をまとめた。マーケティングご担当者やデータ分析に、ご興味のある方は是非一読いただければと思う。
直観による視覚的な探索を可能にする
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