• 一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 代表理事 吉政忠志氏

    著者:吉政忠志
    一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 代表理事

今回は思いっきり個人的な見解を書いてみようと思います。

■Pythonプログラマーとして生計を立てる上で必要な2つのこと

さて、前回のコラムでも書きましたが、コロナ前の2019年5月のPython求人数はIndeed Japan集計で22,930件。 前年比1.6倍成長でした。そして、コロナ禍である2021年3月のPythonの求人件数は23,665件でした。コロナ禍で求人数が減少傾向にある中、求人数が伸びています。

Pythonは人工知能、機械学習、ビッグデータ、インフラの分野で中心的に使用されている技術の一つです。 これらは今後も長期的に成長が期待されている分野であり、Pythonのプログラマーは長期間にわたって仕事がある可能性が高いことも意味しています。

しかしながら、ユーザーからしてみると、Pythonはソフトウェアで使用されているプログラミング言語にしかすぎません。 つまり、ユーザーにとってはそのソフトウェアが便利であるかどうかが重要です。そのため、Pythonプログラマーとして生計を立てる上では以下が必要であると考えています。

・Pythonコーディング能力(PythonicやPythonZenのようなお作法と文法、効率さ、正確さ、読みやすさ等)
・ソフトウェアが利用される分野の土地勘

上記以外にもプログラマーとして知っておいた方が良いものはたくさんありますが、Pythonプログラマーに関してはこの2つを推したいです。

・コーディング能力について

特にPythonコーディング能力の基本ともいえるPythonicとPythonZenはプログラミングの哲学や心得、考え方は必須です。 何事も基本ができていないとうまくいかないですよね。Pythonプログラミングの基本ができていないと、品質や保守性が低下します。

※PythonicとPythonZenについては以下をご覧ください。
https://www.pythonic-exam.com/pythonic

・土地勘について

さて、本題の土地勘についてです。 土地勘?と思われる方もいるかもしれませんが、現場の業務を知っているプログラマーの方が良いソフトウェアができる可能性が高いのは当たり前ですよね。

そして、Pythonは多くの分野で使われています。たとえば以下のような分野があります。

・データ分析や機械学習
・情報収集や情報の整理などの自動化
・Webシステムのバックエンド
・インフラ分野やOSツール
・IoT 他

この各分野からさらに細分化されて、用途ごとに使われ方も違ってきます。 分野も広ければ用途も広いです。これらすべてをマスターするにはとても時間がかかりますし、現実的ではないと思っています。

■さいごに

そこで、これから学ぶ方は、どれか一つの得意分野を作ることをお勧めします。 初学者の方であればPythonをマスターしても仕事を選べる状態ではないかもしれません。 Pythonは仕事が多く、全求人の7割が未経験者求人(2021年3月時点)となっていますが、やはり仕事は経験者に流れていきがちです。 最初は経験を積むことが大事なので、仕事を選ばない方が良いことが多いように思えます。

とはいっても、長期的に考えると、Pythonが使われているそれぞれの分野はとても大きいので、どれか一つを極めるのも大変であり、極められれば、その分野の専門家として食べていけると思います。 その意味でも、ご自身の得意分野を掘り下げて、Python+土地勘の強みを作っていただくのが、Pythonで生計を立てるうえで大切なことだと思っている次第です。 ご参考になれば幸いです。

[PR]提供:Pythonエンジニア育成推進協会