一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会(以下、当協会)の顧問理事の寺田学です。私は試験の問題策定とコミュニティ連携を行う立場です。

最近では、データ分析に興味を持った方がPythonの学習を始めることが増えています。Pythonにはデータ分析に有用なライブラリが豊富で、必要なAPIが大体揃っているためだと考えられます。 たしかにPythonだから楽できるところはありますが、データ分析の世界でPythonが必須かといえばそうではありません。 また、データ分析を学ぶ方の最終的な目的はデータ分析でしかないため、ほとんどの方がプログラミングの必要性を感じられず、ツールの使い方を学ぶことが優先となりがちです。しかし、それがネックとなって学習を深掘りできず、挫折する方を時折見かけます。

今回は、Pythonを身につけることがデータ分析を極めるのにどう影響するかをテーマにお伝えしていきます。

■Pythonの基礎を知っているとデータ分析の学習がはかどる

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著者:寺田学
一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 顧問理事

データ分析は範囲が広いため、最終的には自分が目指したい分野に関連する学習をしなくてはならないことに変わりはありませんが、Pythonの基礎知識を身につけることは、その先の学習を進めるのに非常に重要なポイントです。

それは、ほとんどの教科書がPythonを知っていることを前提として書かれていることに起因します。 関数にimportが必要なものと要らないものがあることや、importしなければならない理由、Pythonの基本的なデータ型(リスト、辞書等)とその違いなど、Pythonの基本的なことが解説されていることはほとんどありません。 基礎を知らずにデータ分析の学習を始めても、その教科書で使われている言葉の意味がわからないため先に進めず、さらに、本来使えるものを使えないという思い込みや、便利な使い方やツールを知らないままということにもつながります。

たとえばpandasへのデータの引渡しは辞書やリストが使えますが、教科書で「辞書を使う」とだけ書かれていた場合、基礎を知らなければ暗黙的に辞書を使い続けることになります。 そうしたことを防ぐためにも、Pythonの基本的な知識はどうしても必要なのです。

■Pythonができると「応用力」が身につき、データ分析がはかどる

昨今は基本的な知識がなくとも、比較的簡単にプログラミングができたり、ツールも豊富なのでさらっとデータ分析ができたりしますが、どれも基礎がなければある程度でしかなく、その精度にはどうしても疑問が残ります。 Pythonの基礎が身につくと、その知識を応用して既存のプログラムを改変できるようになり、できる範囲も広がります。

たとえば、何かの分析に使用したプログラムを少し改変して別のデータ分析に使用したり、ライブラリを上手く使ってテキストの単語分割や品種の分別ができたりします。

また、データ(CSV、Excel、SQL)の加工、集計、グラフ化ができるpandasを使用する際、Pythonの基礎知識があればアウトプットするデータを自分好みの形式に加工することもできます。 このように、中身をしっかりと知ることはできる範囲が広がるということであり、それはプロとして必要なことだと言えます。

■どう学ぶかに正解はないが、目標を定め、手を動かそう

Pythonとデータ分析、どちらから勉強するかは非常に難しいところではありますが、最終的に自身が進みたい方向性や実現したいこと、挑戦したいと思う分野をしっかりと定め、そこに向かって学習をすることが肝要です。どんな学習でも勉強にならなかったということはありません。それぞれの目的や好きな方向性を見つけていきましょう。

・まずは手を動かし、そして経験を積む

本を読みながらでも構いませんので、とにかくプログラミングをしてみましょう。経験を積み、知識を増やすことで、ある程度の情報でも理解できることが増えます。

・一冊の教本で満足せず、動画やWebサイトも活用

基礎試験の主教材であるチュートリアルは他の言語を学んでいた人向けの仕様書のようなものであるため、初学者は簡単な本から学習することをおすすめします。最終的にチュートリアルを全て読めるようになることを目指しましょう。 また、一冊で伝えられることには限りがありますので、ぜひさまざまな本を読んでいただければと思います。 最近では解説動画やWebページも増えていますので参考にしてみましょう。 初学者向けのおすすめ本は前回もご紹介しましたが、作りながら覚えたいという方は『いちばんやさしいPythonの教本』(インプレス)という本もおすすめです。

・高校数学+αの知識を身につける

機械学習の分野に進むなら、高校数学+αの知識と概念を理解しておかないと辛くなります。

・認定スクールへの通学や、師匠・仲間を探す

相談できる相手や結果が見えない状態が続くと、学習が苦になり挫折に繋がります。教え合える仲間や、師匠のような存在がそばにいることは学習のモチベーションにつながります。恥ずかしがらずにコミュニティなどに参加してみましょう。当協会の認定スクールに通うのもおすすめです。

■最後に

今回はデータ分析とPythonの関係性や学習に必要なことについてお伝えしました。 基礎試験ではPythonの基礎知識が身についたかの確認ができ、データ分析試験ではPythonを使ったデータ分析の知識が身についたかの確認ができますので、学習の進捗確認にお使いいただければと思います。

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