一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会(以下、当協会)の顧問理事の寺田学です。私は試験の問題策定とコミュニティ連携を行う立場です。 さて、2022年10月14日(金)・15日(土)に、PyCon JPが3年ぶりに有明で現地開催されます。 PyCon JPはこれまで、毎年秋ごろに東京で開催されており、2019年は大田区など東京都内の会場にて、1000人ほどの規模で開催されました。 ここ数年はコロナ禍の影響でリモートでの開催となっていたため現地開催は久しぶりで、私自身とても楽しみにしていますし、玄人の方だけでなく、ぜひ初心者の方々にも参加してほしいと思っています。
そこで今回は初心者が安心して参加できるよう、PyCon JP 2022についての紹介と、楽しみ方についてお話したいと思います。
PyCon JPとはどんなイベントか?
「PyCon」はPython Conferenceの略称で、PythonのリリースをしているPSF(Python Software Foundation)が持っている商標です。 その後ろに開催国である日本を表すJPをつけて、「PyCon JP」となっています。 Pythonのカンファレンスは世界中で行われており、大体の場合「PyCon」の後ろに開催国の名前が付けられ、それがイベントの正式名称となります。
PyCon JPがスタートしたのは2011年ですが、私はその当時から関わりを持ち、一時期は座長(イベントのリーダー)を務めました。運営団体を法人化(一般社団法人 PyCon JP Association)したため、現在はその法人の代表理事として、イベントのサポートに徹してPyCon JPの開催を支えています。
PyCon JPは経験問わず、Pythonに興味がある人なら大歓迎
PyCon JPは年に一度開かれる1000人ほどのPythonユーザーが集まるカンファレンスですが、よく「経験や知識が深くなければ参加できない」と思っている人がいます。 実際のところ、全くそのようなことはなく、Pythonで何か作っているかや、ライブラリを使いこなしているかなどの経験値を問わず、Pythonに興味があるならどなたでも参加してもらえるイベントです。
初心者はもちろん、長くPythonを使っている人、海外からのゲストなど様々な参加者がいますので、刺激を受けたり、仲間や知り合いができたり、新しい情報を得られたりと、積極的に参加することで得られるものが非常にたくさんあります。
PyConは日本だけでなく世界各地で行われていますし、ほかの言語でも国内外でカンファレンスやミートアップ、コミュニティイベントが開かれており、それぞれ特徴は少しずつ違いますが、どんな場でも行けば情報や刺激を得られます。
ただ、有料イベントのため最初は躊躇するかもしれません。ですが、有料であっても参加したいと思うほど、楽しさや知識など得られるものが多いと感じている人が多いのではないかと思います。 たとえば、みんなは今どうPythonを使っているか、どんな取り組みをしているか、Pythonを使う人にはどういう人がいるのかといったことを知れるのは現地ならではですし、トークやスポンサーブースでもいろいろな情報を聞くことができますので、新しい情報を得るきっかけづくりになります。 私自身も必ず毎回参加していますし、現地に行くことを楽しみにしています。
初めて参加する人へ、イベントの楽しみ方
どこに行けばいいのか、どう過ごせばいいか、楽しみ方がわからないといった場合、興味がある知り合いと一緒に行くと心強いのでおすすめです。 もちろん、ずっと一緒にいる必要はなく、会場ではバラバラに過ごし、昼食で合流して情報交換するといった形でもいいと思いますので、会社の同僚や、一緒に行ってもいいよという人がいればぜひ誘ってみてください。
次にイベントの楽しみ方ですが、私がカンファレンスに参加するときに心掛けているのはオープニングにはなるべく参加することで、これは初心者の方におすすめです。 というのも、オープニングでは最初にスタッフからの案内と、メイントークが設定されているため、全体の流れと雰囲気に加え、イベントがどういうものか、どういう人が運営しているのかをそこで理解することができます。 イベントの雰囲気を感じ取るのは結構重要で、オープニングから参加しているとイベントに気持ちが入るので楽しみやすくなります。
また、私自身が主催者側であり、参加者でもあることも影響していますが、実のところオープニングイベント以外は簡単に流しています。というのも、確かにトークに良いものはたくさんあるのですが、たくさんあるトークをすべて見て、理解しようと思うと集中力が持たず、吸収しようと思っても頭に入りきらないからです。 そのため、気になるものは後日YouTubeで配信される動画で見ることにして、当日はブースを回ったり、周囲の人の話を聞いたりしています。 これは独特で、最初からみんなが楽しめる方法とはいかないかもしれませんが、いずれにせよ、頑張りすぎず、楽しみながらイベントに参加していってもらえればと思います。
友人知人を増やしていこう
イベントに参加したときにぜひやってほしいのは、友達や知り合いを作ることです。 なぜかというと、どうしても一人で勉強し続けると、効率よく新しいものや技術を知るのは難しく、学習が大変な時がやってきます。その時に、仲間や刺激しあえる相手が近くにいると、より学びが深くなりますし、学ぶスピードも速くなりますので、ぜひ積極的に知人を作ってほしいです。
ハードルが高いと感じるかもしれませんが、最初はスポンサーブースを回って、この人の話を聞けた、会えたというだけでもかまいませんし、近くなれる努力をすると良いと思っています。 ほとんどの方がトークを聞いて過ごし、中には登壇者との精神的な距離を感じる人もいると思います。ですが、スピーカーには話を聞いてくれる方が多いので、少しでも興味を持った内容があればスピーカー本人にも話しかけてみてください。 また、周りで聞いている人にどういうことをしているのか聞いてみるという手もあります。そうしたことを積み重ねることで新しい友人を得られ、情報も入りやすくなりますので、ぜひやってみてください。 もちろん、中には話しかけても冷たいと感じる反応や、聞いてもらえないという可能性もありますが、人間なのでどうしてもそういったことはあり得ます。とはいえ、たとえ無視や嫌われたとしても、人生に大きな影響を与えるわけではないと気持ちを強く持って話しかけてみるといいなと思います。
また、「自分は初心者だからわからないけど」と前置きする必要はありませんし、むしろ言い訳のようにこの言葉を使うのはあまりしない方がいいでしょう。 誰もが最初は初心者です。初心者を否定する人はめったにいませんし、いたらそういう人だと思えばいいだけです。そして、そういう人がいる一方で、初めて来た人に丁寧に対応してくれる人ももちろんいます。興味を同じくしている人と、TwitterなどのSNSでもいいので、刺激を得られるよう、とりあえずつながっている程度でもいいと思います。
実際、最近はDiscordやTwitterなどのオンライングループでつながっているシチュエーションが多いのですが、そのメンバーの中に自分が見たこと、話したことがある人が何か発言していれば話しかけやすくなりますし、相手も覚えていてくれることもあります。 そうしたコミュニケーションがとりやすい環境を作ることができれば、学習にも好循環が生まれてきますので、ぜひ積極的に仲間を作っていってください。
PyCon 2022について
2019年までのPyCon JPでは立食パーティーがチケットに一緒についており、初めて参加した人同士でも周囲とコミュニケーションをとる機会がありました。 このご時世ですので、現時点では立食パーティーができるかは未確定ですが、食事を共にするという時間は新しい知り合いを増やすチャンスなので、それができなくなってきていることは個人的には残念だと感じています。 なので、もしパーティーが実施されるようであればぜひ参加してみてください。 少し時間を共有すると、古くからいるメンバーに対して開発の悩みを相談できることもあります。そこで得られる情報のすべてが正しいとは限りませんが、一つの情報源を得られる場として交流を図ってみてほしいと思います。
Pythonエンジニア育成推進協会は今年もブースを設置することになっており、私もブース周辺にいると思います。ゆっくり話はできないかもしれませんが、ノベルティも置いてありますのでぜひ立ち寄ってください。もしブース周辺にいなくとも、何か話したいと思うのであれば探してみてください。
そして、お子さんがいらっしゃる方にとって朗報になりますが、保育士が常駐する無料託児所が用意されます。小さなお子さんがいてイベントの参加を見送っていた方はぜひご活用ください。子連れの夫婦での参加の方も結構いますので、気にせず参加してみてください。
(事前申し込みなどの方法は主催者の公式ページを確認して下さい)
さいごに
Pythonはコミュニティベースで作られているプログラミング言語です。 PyCon USを中心に開発のコミュニケーションが促進される機会が作られており、会ってお互いをより深く知ることでコミュニケーションが深まり、Python開発に役立てられています。だからこそPyConはより重視されているのだと思います。 今回、3年ぶりにリアルで会が開かれることになりましたが、過去の開催では北海道から沖縄まで、各地からたくさんの人が参加しました。
確かに本や動画でも知識としての技術をつけることはできますが、手を動かして何かを作るという学習の方が、圧倒的に学習効率がよくなります。この何かを作るという行為についても、サンプルを動かせればいいというわけではなく、実際に自分の必要なものを作り上げるということの方が重要です。そうして続けていくうちに、本やネットに書いていないなど、必ず壁にぶつかる時がやってきます。
だからこそ、普段であればめったに会う機会が得られない人たちと会えるこのチャンスを逃さず、東京近郊の人だけでなく、地方の人も遠いので大変だとは思いますが、ぜひ思い切って参加してみてほしいなと思います。 イベントは10月14日(金)、15日(土)の2日間です。申し込み方法やトークは公式サイトで決まり次第、順次公開されますので適宜ご確認ください。 どちらかの日程だけでも、両日での参加でもかまいませんので、ぜひ参加してみてください。お会いできるのを楽しみにしています。
[PR]提供:Pythonエンジニア育成推進協会