ICTを駆使した独自のデジタル マニュファクチャリング システムにより、カスタムパーツの試作から小ロット生産をオンデマンドかつ画期的な速さで受託製造するプロトラブズ。
国内でも3,000社様近くにご利用頂いている同社から、切削加工および射出成形品を効果的かつコスト効率良く設計し、材料を選択するためのアドバイスや提案をお伝えします。
今回のDesign Tipでは、ロッキード・マーチンの子会社Procerusが開発した、業務用の無人飛行機(UAV)「Indago Quadcopter」について、3Dプリンターによる試作から射出成形による試作に踏み切ることになった経緯や、製造性を意識した設計を支援する製造性解析機能(DFM)の活用などについてご紹介してまいります。
代表的な利用者はカナダ騎馬警察隊(RCMP)で、捜索・救助、交通事故の再現、犯罪現場の法鑑定をはじめとする様々な空中からの警察業務に、新型ドローン「Indago Quadcopter」が活用されています。
「Indago Quadcopter」の典型的な利用者はRCMPのような捜査機関、一般市民で構成される救助隊、あるいは軍隊ですが、他にも消防、不動産、農業、建設土木など多岐にわたって活用されています。
Indago Quadcopterの仕様
- 重量:約2.3kg
- 折り畳み式
- 統合アンテナソリューションを装備
- 操縦可能範囲:地上の操縦者から最大で距離約5km、地表面から高度0.15km、海抜5.5km
- 飛行時間:最大積載状態で平均45分強
設計プロセスの加速
課題を解決するにあったては一人で考えず、同僚に相談することが解決の近道であることがよくあります。Indago Quadcopterの開発を担当したミゲル・ペレス氏は、プロトラブズを利用したことのある同僚、サム・ラッセル氏と話をしてプロトラブズの早さを知ったことが、開発の全プロセスにおける決定的なステップだったと振り返ります。設計プロセスを加速させるためにも、とにかく早くパーツを必要とするのは製品開発における常であり、短納期製造の重要度が増すポイントということです。
早さは納期だけでなく、見積りが早かったことについても、設計プロセスの加速効果が絶大だったといいます。プロトラブズの自動見積りシステムは、製造性を意識した設計を支援する製造性解析機能(DFM)を搭載しており、そのパーツが製造可能なのか、設計変更が必要か、どのように変更する必要があるのかが、3D CADデータをアップロードするとその日のうちにわかります。「他の業者では、見積り回答に1週間かかることもあるので、違いは明白です」とペレス氏は述べています。
見積りシステムをガイド役として活用
ペレス氏は、製造を依頼するにあたって、どのパーツでもDFM解析がガイド役として重要な役割を果たすことに気がつきました。Indagoのパーツは元々は3Dプリンターによる試作形状になっていました。DFM解析は、そのパーツを射出成形による量産に展開するための、設計変更をしていく際のガイド役になったのです。
ペレス氏が直面した課題は、3Dプリンターによる試作のための初期設計を「射出成形で成形可能な」設計に変更することでした。『そのパーツが成形可能であるかどうか、金型とパーツにどのくらいのコストがかかるのか、大抵はその日のうちにわかります。プロトラブズの見積りシステムは、射出成形パーツの設計を私に教えてくれたともいえます。今回の製品開発をするまでは、私は射出成形パーツの設計についての経験は、あまりありませんでした』。ありのままのモデルをアップロードすると、見積りの3Dビューで金型の固定側(キャビ側)、可動側(コア側)の構成や、スライドが必要な部分がわかり、成形不可の形状がハイライトされていたりします。
『その後、フィードバックされた情報に基づいて、設計思想を維持しつつ、そのパーツを複数の組み合わせのパーツになるように分割しました』とペレス氏は説明します。パーツを修正したら再度アップロードし、さらなるフィードバックを見積りシステムから得ます。このフィードバックで、金型がどのように作られるのか、見落としたアンダーカット、必要な抜き勾配の角度や適切な抜き方向、金型加工に使用する工具の関係上、必要なフィレットや成形ができない形状などが明確になります。
『このようなデータの修正とフィードバックのサイクルが迅速に行われたことで、より素早く反復設計のアプローチが実現できました』とペレス氏は述べています。このプロセスによって、その形状は成形性の観点からどうなのか、また成形性を考えた設計をするには何をすべきか、より効果的に学ぶことができました。そして、見積りに含まれるDFMの解析結果を、どのようにパーツを修正する必要があるのか、それをより少ない設計の反復で実現するにはどうしたら良いかを考えることができました。新しいデータをアップロードし、私が見逃した修正すべき形状にも注意が向けられ、それらを確認することで正しい方向に向かうためのフィードバックを迅速に得ることができたのです。
射出成形によるプロトタイプについての妥当性
ペレス氏によれば、ドローンの初期のコンセプトモデルは、ナイロン樹脂を使ったSLS(粉末焼結積層造形)方式の3Dプリンターで造形されました。
そこでペレス氏は、射出成形にすると、どのくらいのコストになるかを知るために、いくつかのパーツに対して射出成形の見積りをとりました。目的はの調査でした。ドローンの注文量が増加していたので、射出成形でパーツ製造をすることについて、経営陣を説得できるかどうか確認するためでした。
自動見積りシステムのDFM解析機能が、射出成形パーツの設計を支援し、ドローンのパーツを射出成形で作ってもコストの問題はないと確信に至ったわけです。そして経営陣は、『これで行こう』と承認しました。
そのときから射出成形への移行が決まりました。ペレス氏によれば、現在、プロトラブズの射出成形サービスは、最新のIndago 2用と小ロット量産用の両方のパーツの製造を担っており、材料は耐久性のあるナイロンを使っています。元々、そのパーツはSLS(粉末焼結積層造形)ナイロン12を使って作られていました。現在は特に強度のあるナイロン66を使った射出成形で製造しています。これにより、パーツ全体の強度が改善されました。
Indago 2は2015年12月に販売が開始されています。ペレス氏も、彼の同僚も結果に満足しており、特に開発のスピードについて、もう一度そのインパクトを語らずにはいられませんでした。射出成形でパーツを作ると決定してから4か月で、最終製品用のパーツを手にし、組み立てることができたということです。
ペレス氏によれば、現在そして将来の注文のボリュームに対応するために、2016年はIndigo 2の生産量を増やす計画になっています。
耐衝撃性を強化したナイロンを使って、プロトラブズで製造したIndago用のパーツの一つ |
人命を救うために協力
2015年に、ロッキード・マーチン社とプロジェクト・ライフセーバー・インターナショナルとの間で、人道主義に基づく捜索救助活動を進めるためのパートナーシップが締結されました。Indagoドローンはレオン・エンジニアリングが開発した軽量のアンテナとレシーバーに統合され、このシステムによって、プロジェクト・ライフセーバーの関係機関と救助隊が、遭難者を迅速に捜索することができるようになります。
ご参考:
■CNC旋盤加工パーツ設計ガイド
■FirstQuote(R)無料解析&見積り
本コラムは、プロトラブズ合同会社から毎月配信されているメールマガジン「Protomold Design Tips」より転載したものです。
これまでの連載「ものづくりを強くする-Protomold Design Tips-」はこちら >>
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