ICTを駆使した独自のデジタル マニュファクチャリング システムにより、カスタムパーツの試作から小ロット生産をオンデマンドかつ画期的な速さで受託製造するプロトラブズ。
国内でも3,000社様近くにご利用頂いている同社から、切削加工および射出成形品を効果的かつコスト効率良く設計し、材料を選択するためのアドバイスや提案をお伝えします。

プロトラブズの切削加工サービスでは、ねじ加工も簡単に行うことができます。また、新たにサービスを開始した旋盤加工によって、ねじ加工のオプションもさらに豊富になりました。ねじには、外ねじと内ねじという2つの種類がありますが、ここではそれぞれについて説明します。

内ねじ加工

内ねじの加工では、従来から使用されているタップとは異なるシングルリップのタップを使用しています。内ねじ加工が必要なパーツの場合には、そのパーツの3Dモデルから、ねじのフィーチャーは省略し、下穴の情報だけにする必要があります。弊社のソフトウェアでは、以下の条件が揃った場合に、それをねじ穴と認識します。

  • その穴の直径が、弊社が定めるねじ穴としての適切な寸法範囲に収まっていること。
  • その穴の方向が、マシニング加工における直角6面方向のいずれかと同じ方向であること。
  • 旋盤加工の場合は、回転軸に対して水平または垂直方向であること。

プロトラブズのねじ加工で対応しているのは、右ねじのみで、インチねじの場合には、UNC、またはUNF、サイズは#2から1/2インチまで、メートルねじの場合には、M2からM20まで対応しています。パーツ上のねじ加工の場所や、加工方法によっては、目的とするねじ加工ができない場合がありますのでご注意ください。

もう一つ忘れてはならないのが、ねじ穴の最大深さです。例えば、#2のねじ穴の場合には最大0.2インチまでの対応となりますが、1/2インチのねじの場合には、もっと深く1インチの深さまで対応可能です。メートルねじの場合には、ねじのサイズによって、5.08mmから最大で25.4mmの深さまでの対応となります。対応可能なねじの深さは、ねじの直径に比例して徐々に深くなります。これについては後述します。

内ねじ加工は旋盤加工のパーツに対しても可能です。回転工具を備えたCNC旋盤でも、マシニング加工とほぼ同じ条件で加工できると考えて良いですが、マシニング加工と比べた場合、加工できるねじ穴が限定されます。UNCとUNFの場合には、#4-40から1/2-20まで、メートルねじの場合には、M3からM10までになります。回転工具が旋盤に備わっていることで、回転軸に対して垂直、平行、および回転軸上にねじ加工が可能です。ねじ加工に際しては、弊社からの見積りの内容を詳細に確認していただくとともに、不明な点、疑問などがありましたらカスタマー・サービスのエンジニアにご確認ください。対応しているねじサイズの一覧表は、切削加工によるねじ加工に掲載しております。ねじ加工をご依頼の際には、こちらの一覧に用意されているものをご使用ください。

プロトラブズの旋盤加工では、上図のような穴加工が可能です

内ねじの加工の際に、弊社で加工可能な深さよりも深いねじの深さが求められる場合があります。そのような場合の選択肢は、条件に応じて以下があります。

  • 対応可能なねじ加工の深さよりも長い貫通穴の場合には、図1に示すように、ねじを取り付ける側の穴からねじ加工をします。ねじ加工を貫通穴全体に対して行う必要がある場合には、二次加工で、貫通するようにねじ加工を行っていただく必要があります。
  • 図2に示すように、穴の両側からねじ加工を行うこともできます。しかし、この場合には、両側から行われたねじ加工が、互いに一番深い部分で重なってしまう可能性があります。穴の両側からねじ加工をするリスクはまさにこれで、ねじ山が途中でクロスしてしまい、実際にねじを反対側まで通すことができなくなることが考えられます。しかし、図3に示すように、ねじ山が穴の中間で重ならない場合には、一般的には、穴の両側から加工しても、特に問題はありません。

最大到達距離

外ねじ加工

旋盤加工のサービス開始とともに、外ねじ加工に対してもより広範に対応できるようになりました。そのパーツが旋盤加工で対応できるものであれば、様々なサイズの外ねじ加工が可能です。また、旋盤加工のプロセスでは、上記でご紹介した内ねじ加工も併用できます。

弊社のシステムが適切にねじの情報を認識するためには、内ねじと同様に外ねじについてもCADデータからねじのフィーチャー情報を削除または省略する必要があります。

旋盤で外ねじ加工されたパーツ

ヘリサート

より強力な内ねじが必要な場合には、ヘリサートを使用することができます。穴に対して、ヘリサートタップを使用しますが、製造の途中ではヘリサートは組み込まれません。ヘリサート自体は、パーツの製造後、パーツのアセンブルをする前に、お客様自身で行っていただく必要があります。ヘリサートは、UNCとUNFでは、#2から1/2インチまで、メートルねじの場合には、M2からM12までが可能で、深さは同サイズの内ねじの場合と同じです。プロトラブズでは、HeliCoilブランドのヘリサートに最適化しており、標準のサイズと長さに対応しています。

CADソフト上でねじを定義する

ほとんどのCADソフトでは、ねじフィーチャーを、ねじ下穴ドリル、ねじ山、あるいはねじ山外径の指定を含めて、異なる2種類程度の方法で指定することができます。プロトラブズのシステムでは、この下穴の径を75% 下穴ドリル サイズに合わせていただくことで目的のねじを弊社からお送りする見積りの画面上で選択できるようになっています。

ねじ加工を必要とするパーツの場合のCADのファイル形式は、STL以外である必要があります。弊社のソフトウェアが、STL形式では下穴のフィーチャーを認識することができないためです。可能な限り、IGESやSTEPのような中間ファイル形式をご用意ください。

旋盤加工部品の外ねじ加工の場合も、内ねじの場合と同様に円筒の直径 -最小値~最大値の数値にて外ねじになる円筒形状の外径を設定してください。

具体的なサイズについては切削加工によるねじ加工をご覧ください。

見積りにおけるねじ

プロトラブズの見積り上で、ねじの種類を指定することができます。見積り画面の「ねじ加工の指定」タブを開くと、完全にインタラクティブな3Dモデルが表示され、加工が可能なねじフィーチャーを選択できます。ねじに該当する各フィーチャーがハイライトされ、そのフィーチャーの径に則したねじの種類を選択できます。また、UNC、UNF、メートルねじのいずれにおいても、ねじを個別のフィーチャーごとに定義するだけでなく、まとめて選択することができるので、より迅速にねじを選ぶことができますが、意図しないねじを指定する可能性も出てくるので、注意が必要です。

使いたいねじが選択肢の中にない場合には、フィーチャーの径を再確認して、切削加工によるねじ加工に記載されているねじのガイドラインに収まっているか確認してみてください。見積り画面には、マシニング加工か旋盤加工かを選択するトグルがそれぞれのタブに用意されており、それぞれの加工方法に応じたねじが選択できることにもご注目ください。ご発注前に、すべてのねじの選択とその情報の保存をしていただく必要があります。加工方法や材料の変更によって、ねじの選択内容に変更が生じることがありますので、「ねじ加工の指定」のタブ下の情報を再確認してください。

プロトラブズの双方向見積りでは、モデル上でねじフィーチャーを指定できます。このサンプル見積りにはこちらからアクセスしてお試しください

2015年10月現在、プロトラブズでは、マシニング加工では樹脂、アルミ、真鍮へのねじ加工に対応します。旋盤加工についてはアルミへのねじ加工を承っています。ヘリサート穴は、UNC、UNF、メートルねじに対する加工の用意がありますが、ヘリサート自体の提供や取り付けには対応しておりません。マシニング加工また旋盤加工におけるねじ加工の詳細なガイドラインは、切削加工によるねじ加工のページをご覧ください。

ご参考:

CNC旋盤加工パーツ設計ガイド
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本コラムは、プロトラブズ合同会社から毎月配信されているメールマガジン「Protomold Design Tips」より転載したものです。

これまでの連載「ものづくりを強くする-Protomold Design Tips-」はこちら >>

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